お客様の幸せのために」カテゴリーアーカイブ

江戸からかみに学ぶ

週末に東京へ行っていました。
土日の2日間にわたり、 江戸からかみについて学ぶセミナー
「復興! 江戸からかみに学ぶ」
に参加してきたのです。

日本民家再生協会の若手メンバー(U-50)が企画・主催し、東京松屋様をはじめとする江戸からかみを今に伝える職方のみなさまにご協力いただいて実現したものです。

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第1部は東京松屋の伴社長様による、江戸からかみの総論とも言うべき解説でした。

まずは江戸からかみの歴史を紐解く話から始まりました。
関東大震災の後の火災と東京大空襲で、江戸に伝わっていた江戸時代の版木(はんぎ)はそのほとんどが消失してしまったそうです。

江戸からかみと京唐紙の違いや、なぜその違いが生まれたのか?など、大変興味深い貴重なお話を伺うことができました。

会場には、実物大の襖の下地工程(全10工程)を説明するための見本を展示してくださっていたのが素晴らしかった。
その10工程にわたる紙貼りにおいては、各工程ごとに異なる紙質・糊のつけ方・紙の切り方など、職方の繊細な心配りがなければ成り立たないことがよく判りました。

僕ら建築家にとっては、今回教えていただいたことをきちんとクライアントのみなさまにわかりやすく伝えることも大切な仕事の一つです。
そうすることで、クライアントのみなさまがからかみの本当の価値を評価し、からかみの仕事を依頼して下されば、職人さんが腕を振るう機会が増えて伝統も継承されていくからです。

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上の写真は、実際に型を捺すための版木です。
この版木の場合は、彫り残してある笹の葉や茎の部分にキラ(雲母)などをつけて、鳥の子(とりのこ)紙に捺します。

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その版木にキラを付けて鳥の子紙に型捺しする作業を、実際に職人さんが実演して見せてくださいました。
写真中央で実演して下さっているのが、からかみ師である唐源(からげん)の小泉幸雄さんです。

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この時使ってくださった小版の版木(↑)は天保年間のもの。

この作業、ビデオに納めたかったです。
(写真はたくさん撮りましたが・・・)

 このお二方へ取材をした記事がこちらのサイトで公開されています。
僕のつたない文章よりも臨場感に溢れていてずっとわかりやすいので、興味のある方はぜひご覧あれ。

放射線以外のがん治療法

昨日、5月の連休明けに竣工・リニューアルオープンした青木診療所様へ行ってきました。
(すみません、まだ写真撮れていません・・・今しばらくお待ち下さい)

リニューアルオープンして以来、青木診療所様では患者さんも増え、患者さんが「診療所内で木のにおいがする」、と好評のようで一安心しています。

僕も今回の工事で初めて知ったのですが、がん治療に患部を温めるだけの温熱療法というのがあるんです。
がん細胞は熱に弱いことは昔から知られていて、科学的にも証明されているのだそうです。
この性質に着目した治療法がハイパーサーミア治療システムなのですが、今回、青木診療所様ではリニューアルにあたりハイパーサーミアの治療器/大型のサーモトロンを導入されました。

放射線治療と違って、患部を高周波で温めるだけというのが安全で、すごい!と感じました。
イメージ図を貼っておきます。

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昨日伺った折に、新しくおつくりになられたという診療所のパンフレットを頂いてきました。

僕は専門外なので、これ以上詳しいことは以下のパンフレットを見て下さい。
ホームページは現在製作途中とのことなので、以下にPDFファイルのリンクを張っておきます。

便利な大阪駅前で検査・診断から緩和医療まで
ハイパーサーミア治療 青木診療所

テレビについて思うこと

先に断っておきますが、僕は基本的にテレビが好きではありません。
1人で住んでいたら、ひょっとするとテレビは家に置かない・・・かもしれません。

僕が小学校5年生の時、担任の先生が
「今日家に帰ってから明日学校に来る間は、みんな絶対にテレビを観ちゃダメだからね。
 たまにはそういう日をつくってみましょう。
 きっと頭の中がすっきりしてきれいになるから」
ということをクラスのみんなに実行させました。

この時から、あまりテレビが好きではなくなったような気がします。
( ↑ 当時の担任・U先生に感謝)

と、そんな個人的なことはどうでもいいのですが、家の設計をしているとテレビの置き場を考えるのに苦労することが多いです。

先日もクライアントのH様宅に伺ってテレビの置き場について考えていてふと思いついたのでH様にはお話ししたのですが、おそらく近い将来、テレビの置き場所について悩まなくても良いようになってくるでしょう。
 
すでに商品化されていますが、壁掛け型テレビやプロジェクターを使えば、テレビの置き場所は不要です。
プロジェクターも以前のものは光源が発する熱がすさまじくて、それを冷却するファンの音もやかましかったのですが、最近のLED光源のプロジェクターにすると、どうやら放熱もさほど問題にならないようです。

しかし現時点では、まだ録画・再生機能がテレビと別体になっているものを使うケースが一般的なので、テレビを置く場所で頭を悩ませることからは、いま少しの間離れられそうにありません。

でも、これから家を建てる方は
「当面の間はテレビをここに置く。
 でも将来はこの壁に掛けるようにする」
という風に、2通りの配置に対応したTVコンセントを備えておくことも考えた方が良いかもしれませんね。

というか、 個人的には
「姿が無いテレビ」
をぜひ開発して欲しい!と思います。

普段は透明の薄いパネルのみがあって、電源を切っている間はその向こうにあるお気に入りの絵が透けて見えるのですが、どうしてもテレビを見る必要に駆られた時だけ、画像が映る。
そんなテレビ、いいなぁ~。 

自分の机の前にかけてある、この絵を見上げて思いつきました。

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出てみたい!

木曜日の夕方は、月に3回茶道の稽古へ行くことになっています。
(とはいえ、1-2回行ければ良いほうですが・・・)
昨日も西宮の稽古場へ行ってきました。

先生といろんな話をしている中で、【朝の茶事】の話になりました。

【朝の茶事】とは、夏の暑さをしのぐために、夏の早朝に席入りして暑くなる前には茶事を終えてしまうという、いかにも夏向きの茶事だそうですが、そこで先生が

「『暁(あかつき)の茶事』っていうのがあるのよ」

と教えて下さいました。

朝の茶事は日が出てから席入りする夏の茶事ですが、暁の茶事は日が出る前の暗い時間に席入りして日の出の変化も楽しむ冬の茶事だそうです。
 
日の出の時間帯が大好きな僕にとっては、
「ぜひとも一度出てみたい!」
と思ってしまう暁の茶事なのですが、実際やろうと思うと、やはりう前の日から泊り込みになるそうです。

そうなってしまうと、前の日にみんなで飲んだくれて茶事の時間に間に合うように起きられないのでは・・・なんて要らぬ心配をしてしまいました。

でも、ぜひ出てみたいなぁ・・・。

兵庫県三田市の製材所 ご紹介します

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東風でいつも大変お世話になっている、兵庫県三田市にある西本製材所さんが、最近新たにホームページを作られましたのでご紹介します。

コンピューターなどは得意ではない、昔ながらのスタイルで商売をされているみなさんなので、ホームページも決して気の効いた感じのものではありませんが、社員のみなさまはとても親身になってこちらの要望を聞いて下さいます。

自社で独自に伐採を行い、敷地内にど~っさりと原木を積んであるので、そこらの材木屋さんではとても対応できないような材料も、ここに言えば何なく用意できる、ということがしょっちゅうです。

他所ではできない仕事をしてくれる、貴重な製材所&材木屋さんです。
自身をもってお薦めします。
どうぞよろしくお願いいたします。

→ 西本製材所さんのホームページはこちら

保温

下の写真は、神戸市の現場に先週搬入・設置されたユニットバスです。

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外から写しているので、大変味気な~い絵になってしまい恐縮なのですが、右下の部分に浴槽のお尻がちょこっと写っているのがわかりますか?
拡大するとこうなります(↓)

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よく見ると、浴槽が発泡スチロールで覆われているのがわかると思います。

ご存知の方も多いと思いますが、数年前から、
「浴槽に張ったお湯が湯冷めしないように」
という意図で、ユニットバスメーカー各社が浴槽の保温巻きを行っています。
(オプションの場合もあります)

今のライフスタイルを反映しているような商品ですね。

吹き抜けの使い方

日曜日の午後、京都市内で住宅の新築を考えていらっしゃるU様が、ご相談に東風事務所へお見えになりました。

ご夫婦+男の子という3人家族なのですが、息子様は飛行機が大好きなのだそうで、東風事務所でも
「お父さん、紙飛行機作って~」
とねだっては、嬉しそうに紙飛行機を飛ばしていました。

打合せが終わってみると、5機くらいの紙飛行機が出来上がっていてビックリ!

U様ご夫妻から、どんな家にしたいか?というご希望をいろいろ伺っている中で、吹き抜けが欲しいというお話になりました。
息子さんが京都のN様宅へ遊びに行った折、2階に上がってリビングの吹抜けに向けて紙飛行機を何度も飛ばし、とても喜んだのだそうです。

ちょうどこんな感じでしょうか(↓)

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なるほど、そういう使い方をしたら楽しいだろうなぁ・・・とミョーに納得しました。
大人では考えつかないですね ♪

半年がかり

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先週、神戸市 I 様邸の現場へ桧の床板を搬入しました。

この床板は、昨年の11月の新月期に和歌山で伐採した桧を製材し、製作したものです。
伐採してから製品になるまでは半年かかっていますが、人工乾燥は施していません。
杉だと半年では使えませんが、桧なら半年でも大丈夫だろうとの見込みで桧にしました。

上の写真にも写っていますが、7.5寸幅(225mm)の幅広の床板から、3.5寸幅(105mm)の狭いものまで、いろいろな幅に仕上げてあります。

本当は、一種類の幅にして揃えてしまった方が加工賃などは安くつくのですが、せっかく大きな木なのに小さな板幅に落としてしまうのはあまりにもったいないし、90年かけてここまで育ってくれた木に対しても失礼だと思い、様々な幅の床板に仕上げてもらいました。

もともと林業家の方が山の中から吟味して出して下さった木なので、節はありますが、とても素直で真っ直ぐなおとなしい木です。

既製のフローリングとは全然違う仕上がりになると思いますが、張り上がりが今からとても楽しみです。 
すごく香りが強いのを写真でお伝えできないのが残念ですが、やはり桧の香りはいいですねぇ~。

杉には杉の良さが、桧には桧のよさがあります。

フクザツですが・・・

みなさますでに報道でご存知かと思いますが、昨日、静岡産のお茶の中に含まれる放射線濃度が基準値を超えていないかどうかの試験結果が公表されました。

ほとんどの静岡の産地では基準値を超えていないが、一部の地域では基準値を超えていたため、自主回収などの対応をとるよう指示した、ということです。

東風事務所でいつも飲んでいる煎茶は、100%静岡茶です。
静岡市葵区の入島(にゅうじま)というところで作ったもので、今回の試験結果は基準値を超えていない、ということでした。 

正直なところ、これを聞いてちょっと安心したのですが、その一方で同じ静岡市内で製造されたお茶は基準値を超えているというのを聞き、関係者のみなさまの悔しさはいかほどかと想像すると、やるせない気持ちを感じています。

原発のことをとやかく言うのは嫌なのでここでは書きませんが、ちょっと早いお中元として、お世話になっている方々へ静岡の新茶をお贈りしようと思っています。

湿気と床板、快適性の関係

週末に、竣工したての奈良市O様邸へ行ってきました。
「とても住み心地が良い」と喜んで頂いており、まずはほっと一安心しています。

観測史上2番目の早さで入梅した今シーズンですが、O様によると
「この家は全然湿気ない」
のだそうです。

それを聞いていて感じたことがあります。

東風でつくる家は、構造材(柱・梁)が全て露出しているので、木部が湿気を吸ってくれるのは間違いないのですが、おそらく一番その効果を直接的に感じるのは、【床板の足ざわり】なのではないかと思います。

東風では杉のように柔らかい木を床板に使うことが多いのですが、杉は木材の比重が小さい=軽いので、ケヤキや楢(なら)のように比重が大きい=重い木材と比べると、材料の表面はスカスカ(※)です。
(※注:顕微鏡で見たときの話です)

参考までに、比重を並べてみると・・・

杉の比重はおよそ0.4
桧や松の比重はおよそ0.5
ケヤキや楢(なら)の比重はおよそ0.6~0.7

柔らかい木ほど傷はつきやすいという短所はありますが、その反面、梅雨時期の足ざわりは比重の大きい木よりもさらっとしていて気持ちが良いはずです。

床板の選定の際に、参考の一つとしていただければ幸いです。