うちの事務所のまわりには、まだまだ田んぼが結構あるのですが、散歩に行く時に見ると、写真のようにだいぶ穂が垂れてきました。
三田市の製材所に行く途中に見かける山間部の田んぼは、もっと穂が垂れています。
日中はまだまだ暑いのですが、朝晩はめっきり涼しくなってきて、少しずつ秋の気配が色濃くなってきていますね。
昨日、神戸市北区のS邸にお客様をお連れして、建物の見学をさせて頂きました。
お盆のお休み中だというのに、快く見学に応じて下さったS様、ありがとうございました。
S様のお宅の画像などはこちらのページでご覧になって頂けます。
S様のお宅は5人家族の1LDKという、考えられないくらい大胆な間取りなのですが、今回見学を希望されたK様はご夫婦お二人のみで使う建物を計画中とお話を伺って、
「きっとS様宅の間取りやコンセプトが参考になるのでは?」
と思い、ご案内しました。
昨日はとてもいいお天気でしたが、空気がからっとしていて建物内を通り抜ける風がとても心地よく、エアコンを設置していないS様宅でも
【 盛夏の14:00×エアコン無し 】
という悪条件をとても快適に過ごすことができました。
S様のお宅の特徴を一言で言うと、まるで体育館のような木が一杯の大きなワンルーム空間です。
間仕切り壁や廊下などを極限まで減らして、空間を目一杯有効に使い、それを家族全員で共有する、というコンセプトで設計した家なのですが、見学されたK様は
「すごくいいご家族ですね!
そしてまさにあのご家族のために建てられた家、という感じがします。」
と言って下さいました。
こちらが予想した通り、K様も家族全員で1室を共有するというコンセプトを気に入って下さったようで、これからご提案するK様のお宅でもほぼ同じ考え方に基づいて設計を進めることになりそうです。
さて、昨日S様のお宅へお邪魔するにあたって、何か手土産を・・・と思って、菓子折りも準備したのですが、ふと思いついて事務所のぬか床で漬物を作ってプレゼントしました。
下の写真がその漬物達です。
かぶ・かぶの菜、きゅうり、長芋、みょうが、瓜を朝のうちに2時間ほど漬けてみました。
長芋などは少し漬かりすぎて塩辛い感じでしたが、いろんな野菜の漬物が並ぶとなかなか壮観です。
仕事が忙しすぎてスケジュールが乱れ始めると、すぐに創作意欲が落ちてしまう事務所の漬物ですが、お盆前あたりからまた地道に毎日漬け始めています。
何度かトライしているかぼちゃの漬物が何べんやってもどうも美味しくできないんですが、何か秘訣がるのかなぁ・・・?
どなたかご存じありませんか?
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世界に、300年先も美しい風景を
日曜日に散髪へ行った時のこと。
いつも僕の髪を切ってくれている美容師の木下さんが
「今日、照明器具のところから水がポタポタポタ~って漏れてきたんですよ。
危ないですよね、漏電したらと思うと心配で・・・」
と、僕の髪を切りながら話してくれました。
散髪が終わって帰り際になると、ちょうど他のお客さんがいない時だったので
「どこから水が出たのか、ちょっと見てみましょうか?」
と言って、ちょっと調べてみることにしました。
水が落ちてきたのは1階の天井面からだったそうです。
当日は朝のうちは雨が降っていましたが、漏水した現場の上には2階があり、屋根からの雨水が直接伝ってくるとは考えにくい状況でした。
まずは2階のトイレや水周りの位置を確認しましたが、どうも位置関係から見てそこが原因ではなさそうです。
次に天井裏を覗いてみることにしました。
天井の照明器具(ダウンライト)を外して、懐中電灯を木下さんに借りて天井裏を覗いてみると、水が落ちてきた照明器具のすぐ真上に、天井埋込型換気扇のフレキシブルダクト(アルミ製)が通っていました。
他にもいろいろ頭の中で仮説を立てて検証してみましたが、どうも原因はこのフレキシブルダクトのようです。
フレキシブルダクトというのは、薄いアルミでできた蛇腹型のダクトです。
(こんなもの)
換気扇の給排気や、エアコンの吸気・吹出し口と本体とを接続し、空気の通り道として使われます。
住宅などでは、直径φ150mmのものが一般に良く使われます。
今回の原因は、雨や給排水機器から漏水したのではなく、どうやらエアコンの冷気を換気扇が吸い込んで、天井裏のモワっとした暖かい空間の中に走っているフレキシブルダクト内部の温度が冷気で下がり、フレキシブルダクトの外側で結露したのが原因だろうということになりました。
美容師の木下さんも、それを聞いて一安心されたようです。
今回のような結露はこれまでに発生したことが無かったらしいのですが、エアコンと換気扇を同時につけるたびに必ず発生する、というわけではありません。
気温や空気中の湿度などの条件が運悪く合致してしまった時に起こりうる現象です。
ただ、フレキシブルダクトと照明器具の位置を遠ざけたり、エアコンの温度設定を少し高めにするなどしておけば、結露が起こりにくくなることも確かです。
結露というと「冬場・断熱・気密・北面」という風に連想してしまいがちですが、夏季の室内であっても、こんな風に発生してしまうことがありますのでご注意を。
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世界に、300年先も美しい風景を
ブログの更新が滞ってしまいました。
すみません。
なんだかえらくバタバタした一週間で、夏バテ気味の体力低下も相まって、更新が滞ってしまいました。
また今日から毎日更新を目指しますので、どうぞよろしくお願いします。
静岡の地震、実は伊丹市でも揺れました。
僕はちょうどその時間、事務所にいたのですが、
「ユッサユッサ」
という感じで揺れて、地震だと気付きました。
まさか静岡だとは思っていなくて、6時ごろにYahoo! ニュースで
「静岡震度6弱」
という記事を見てビックリ!
早速、一番やばそうなところ(=地盤が弱そうな地域)に住んでいる小学校の同級生にメールを入れたら、数十分後にメールが返ってきて一安心。
山奥の方に住んでいるうちの親戚の家では、揺れも大したこと無かったようで、材木のストックヤードもきっと大丈夫だろうと思います。
地中で発生している地震エネルギー(マグニチュード)は同じでも、地盤がゆるいところにある建物では揺れが増幅されます。
だから、今回の
「静岡市葵区 震度6弱」
と一口に言っても、同じ葵区内で比べた場合に、実は震度5くらいの場所もあれば、震度6強くらいの揺れを感じるところもある、ということは現実的に起こるのです。
まぁ何はともあれ、発生時刻が早朝で助かりましたね。
(ほんと、奇跡としか言いようがない・・・)
東名も崩落したとは言え、犠牲者も無く、新幹線なども操業前で事故も無く。
本当に、ある種のメッセージを感じます。
でも、断水や停電で生活に支障をきたしている方々には、心よりお見舞い申し上げます。
一方で、兵庫県佐用町の浸水も、住民の皆様はさぞかし恐ろしかったことでしょう。
浸水被害を受けたところは、復旧まで完全に生活が止まってしまうので大変なことこの上ないですね。
僕も数年前に親類の家で床上浸水の復旧作業手伝いに行ったので、どんな惨状に陥るかはよく知っています。
浸水した時のことを考えると、昨今の住宅はどうしようもないですね。
やはり古民家のような仕様が、災害後の復旧には最も適しています。
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世界に、300年先も美しい風景を
昨日(8/2)、大阪府四条畷市のT邸で、竣工後2年経った伝統構法の家の見学会を開催しました。
来場してくださった5組13名のみなさま、そして今回の見学会開催に際し、全面的にご協力いただいたT様、本当にどうもありがとうございました。
心より御礼申し上げます。
「盛夏の14:00からエアコンなしで土壁の実力を実感する」
「2年間住んだ後に、住み手の本音を聴く」
という、設計者の立場としては無謀なことこの上ないような趣旨の見学会でした。
これって、一部の同業者からすれば、
『ついに気が狂ったか・・・』
とでも思われそうな趣旨ですよね(笑)。
確かにこんな趣旨で見学会を行う人はほとんどいないでしょうけれど、来て下さった方には
「すごく良かったです!」
と、大変喜ばれました。
土壁の実力を実感できて、忌憚無い住み手のお話を聴くことができる機会というのは、なかなか無いですからね。
ちょっと冷や汗も出ましたが(苦笑)、みなさまのお役に立てて大変嬉しく感じています。
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世界に、300年先も美しい風景を
先週末から4日間にわたり、出張に出ていました。
( ↑ ブログが更新されなかったのはこのためです)
土日は東京・世田谷で進行中のY邸リフォームの現場打合せ。
月火は静岡へ木材を出しに行っていました。
( ↑ この件は後日改めて)
世田谷区Y邸リフォームは、床板および内装壁・天井のプラスターボードも張りあがり、工事も折り返し地点まで来たという感じです。
土曜日は夜通しクライアントのY様ご夫妻と打合せ。
日曜日は施工者を含めた現場での打合せを行いました。
ここまで来ると、建物全体の形やイメージが具体的になってくるので、色や材料の質感など細かい仕上材の打合せが主なテーマになってきます。
今回は
○ 床板の色
○ 壁天井の仕上材の質感と色の決定
○ 枠や建具などの塗装を行う色と木目の出し具合
○ 家具の形状・材料(樹種)の決定
○ 襖紙の色や質感、引き手などの形状や色の決定
などについて、じっくり検討を行いました。
やはり、当初イメージしていた形と大筋では変更が無いとはいえ、細部は色や質感、樹種など微妙に変わってきています。
こういう打合せにおいて、クライアントの希望や意図をこちらが汲み取って、
「じゃあ、こんな感じはどうですか?」
と提案してみた時に、
「あぁ、なるほど。
それいいね。そうしよう!」
と言って頂けると、いい提案ができて良かったと感じ、こちらも嬉しくなります。
帰りがけにYさんのご主人にお願いしてみたところ、この現場の完成見学会を開催させていただけることになりました。
この現場は8月末に竣工の予定ですが、入居前はバタバタしてスケジュールが厳しいと思うので、竣工→入居後しばらく経って、引越し後の荷物も落ち着いた10月後半か11月ごろの開催になりそうです。
詳しい日程は決まり次第お知らせいたしますが、古材を使った内装のリフォームをお考えの方にとっては、なかなか参考になるいい機会を提供できるのではないかと思います。
僕にとっては首都圏での初めての見学会です。
どうぞお楽しみに。
なお、今週末には大阪府四條畷市で
『伝統構法の家 本音の見学会』
と題して、2年前に竣工・入居したお宅にお邪魔して、実際の住み心地なども聞かせて頂く、なんとも貴重な見学会を実施します。
( ↑ 作り手としては、緊張感たっぷり!の見学会です。
どんな手厳しいことが出てくるか・・・と思うと、ちょっとソワソワします)
入居前の完成見学会は割りと良く行われますが、入居後の見学会はなかなか機会が少ないですよね。
まだ若干余裕がありますので、興味のある方はぜひお申込下さい。
お待ちしております。
→ 見学会への参加・お申込はこちらからどうぞ
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世界に、300年先も美しい風景を
西宮市内の現場へ白蟻の専門家・阪神ターマイトラボの水谷さんに来ていただきました。
先週発見した蟻道(ぎどう)と白蟻のものと思われる蟻害を確認し、現場の状況を把握していただくためです。
先週、僕が発見した蟻道はこれ( ↓ )です。
砂みたいなものがうじゃうじゃと付いている部分が蟻道です。
(画像を拡大表示すると、もっと詳しくわかります)
この現場へ伺ったのは特に蟻の被害などで相談を受けたわけではなく、全く別の用事で行っていたのですが、たまたま蟻道を発見し、
「多分、白蟻じゃないかと思います。
専門家に見てもらってはどうですか?」
と進言し、今日水谷さんに来てもらった、というわけです。
水谷さんに見てもらうまでは、現状をそのままいじらずに放っておいた方がいいですよ、と進言し、住み手の方にはそのままの状態を維持しておいてもらいました。
で、今日水谷さんがやってきて、蟻道を壊したりしながら確認してもらったのですが、やはり蟻道を撤去した後には浅い蟻害(↓)が残っていました。
(拡大するとよくわかります)
でも、この程度で済んだのはとってもラッキーでした。
蟻道がサクサクと柔らかかったことから、この蟻道は白蟻が羽化するために作った蟻道であることが判明。
木を食い荒らす目的で作られた蟻道ではなかったという分析を聞いて、一安心。
水谷さんが持ってきてくれた調査機器(※)によって、すでに蟻害が確認された他の部位にも白蟻が生息していないことも判明。
あとは、内部床下を覗いて蟻道を確認→撤去し、今後の対策を施すことになりそうです。
※ オーストラリアで一般に使われている調査機械だそうで、
マイクロウェーブによって、木材の内部で動く物体の存在を
非破壊で確認できる機械
白蟻などの害虫駆除には、安易に強力(=有害)な薬剤を散布してしまう業者さんもまだまだ多いのが実情です。
(↑あまり大きな声ではいえませんが・・・)
その点、阪神ターマイトラボさんは、どうしても薬剤を使わなくてはならない状況でも人体には悪影響を及ぼさない薬剤を選択してくれるなど、安心して任せられる専門業者の一つです。
水谷さん、どうもありがとうございました。
【お知らせ-1】
2008年晩秋の新月期に伐採・葉枯らし乾燥させた
静岡産の杉・桧を使って下さる方を募集しています。
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【お知らせ-2】
2007年に竣工した伝統構法の家で、2年間住んでみた
感想を聞く見学会を8/2(日)に大阪府四條畷市で開催します。
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世界に、300年先も美しい風景を
今朝もまたいつものように散歩に行きました。
昨晩降った雨も上がっていて、気温も低かったのでとても気持ちが良かったです。
稲穂についたしずくがきれいで、稲の力強い生命力をグイグイと感じました。
稲が僕に
「見て見て!」
と訴えてきたものですから、思わず一旦戻ってカメラを取ってきて写真を撮りました。
散歩をしていると、いろんなことが頭に浮かんできます。
今日も歩いている途中に、7/20に投稿されたとんぼさんのブログの内容をふと思い出し、
「あぁ、そうそう。
かやぶき屋根ってとっても断熱性能が高くて通気性も良いから、
夏は涼しいんだよなぁ・・・。
見た目も美しいし、やっぱりかやぶき屋根って最高 ♪」
などかやぶき屋根にまつわる考えが頭の中を巡り始め、ふとまた新しい夢が僕の頭の中で結実しました。
それは、
「平屋のかやぶき屋根の家をこれから毎年最低1棟ずつ作り続ける!」
というものです。
またえらいことを決めてしまったなぁ・・・(笑)、と自分でも半ば呆れていますが、100年後に日本の約半分の家がかやぶきだったら、とっても素晴らしいと思いませんか?
そして僕は絶対にこういうことが現実に起こると思います。
だって、かやは育てさえすればタダで手に入るし、農業用の肥料としてちゃんとリサイクルできるし、夏は一番涼しいという、この上なく理想的な屋根材なんですよ。
個人的には、雨の日のかやぶき屋根の上を伝って落ちるしずくの落ち方が美しすぎて最高~♪と、またみなさんに全然共感してもらえないようなマニアックなところに深い魅力を感じてしまっているんですが・・・。
とにかく、まずはかやぶき職人さんに久しぶりに連絡してみて、いろいろ相談しながら進めたいと思います。
3年後からいろんなところでかやぶき民家がポコポコでき始めますのでどうぞお楽しみに。
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世界に、300年先も美しい風景を
先週はいつもお茶の稽古をしていただいている茶道教室でお茶事があり、参加してきました。
お昼前に集合し、
席入り→懐石を頂き→主(おも)菓子→中立ち→濃茶→薄茶→退席
という順序でお茶事は進みます。
(茶事全体の流れは、表千家のサイトにわかりやすく掲載されていますのでご参照下さい)
同席されたみなさんは稽古場の生徒さんたちなのですが、毎回亭主側と客側とに分かれてそれぞれの役割を務めます。
僕がお茶事に参加するのは今回で3度目です。
大分慣れてきて、全体の流れはよくわかってきましたが、細かい作法などについてはまだまだよくわからないことばかりで、諸先輩方に手ほどきを受けながら楽しく参加させて頂いております。
茶室を作るときには、こういう経験がとても役に立ちます。
知識として知っているだけでは駄目で、やはり経験が物を言いますからね。
僕がお世話になっている先生の稽古場には、露地のある茶室(小間と広間と水屋)がきちんと揃っているのですが、茶道教室が自前でこれだけの設備を整えている茶道教室はなかなか無いのだそうです。
(と、今回のお茶時の最中に先輩から伺いました)
ありがたいことだなぁ、と思います。
感謝。
【お知らせ-1】
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2007年に竣工した伝統構法の家で、2年間住んでみた
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あなたはどちらが好きですか?
30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2209年に言ってもらえる家
左の写真は、世田谷区で行っているY邸リフォーム現場の床板の塗装見本です。
板は栗(無垢材)のフローリングですが、塗装で色をつけたいというクライアントの希望により、工務店さんに塗装見本を作って欲しい、とお願いしてできたものです。
(羽田野工務店さん、および塗装屋さん、
どうもありがとうございました)
これは、板を2枚並べて撮った写真ですが、実は左の塗り見本と右の塗り見本はそれぞれ全く同じ塗料を使って、同じ回数だけ塗り重ねたものです。
(左と右は同じ塗料ですが、上と下とでは塗料の配合が違います)
しかし、左と右とで微妙に色が違うのがお分かりでしょうか?
(下の黒い見本は違いがよくわかりますね)
両者の違いは拭き取りの差です。
左のサンプルは、刷毛で塗ったあと、ウエス(布)で余分な塗料を拭き取って仕上げたもの。
右のサンプルは刷毛で塗った後はそのまま放置して乾かしたものです。
拭き取り仕上にすると色は薄くなりますが、刷毛ムラが残りにくく、木目がしっかりと浮き出てきて、メリハリの利いた仕上がりになります。
一方、塗り放しにすると、塗料がしっかり載っている分、木目が出にくくなり、材料自身のメリハリは出にくくなりますが、ボリューム感が出ます。
このように、同じ塗料を使っても、仕上げ方が違うと雰囲気も変わってきます。
実はここからさらにこだわっていくと、拭き取り仕上の場合に、塗料を塗りつけてから何分後に拭き取るか?(塗ってからすぐに拭き取るか、塗ってから5分後、または10分後に拭き取るか)などによって、さらに微妙な変化があります。
もうそのあたりまでいくと、実際の施工時にそこまできちんと管理できるのか?
といった、別の側面の問題も発生してくるのですが、塗装と一口に言っても、実はとても奥が深いものです。
今回は採り上げませんが、下地処理として目止めを施すか否かによっても色ムラや木地の吸い込みが変わってくるし、サンディングと言って塗った後に研磨を施すと、もっと光沢や平滑さを出すこともできます。
あんまりこだわりすぎると、どんどんコストがかさんでいくので、最近はあまり突っ込んだことはお薦めしませんが、漆の世界などに入るともう大変です。
建築の世界でも、襖の縁とか引き手、床框や床の地板などを漆で仕上げることがありますが、それはそれは奥が深いものです。
そのあたりは100%国産漆だけにこだわって四国で作品づくりを続けていらっしゃる、和うるし工房あいさんが詳しいと思うので、ブログを覗いてみてください。
( ↑ 僕も毎日楽しみに拝見しています)。
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