お客様の幸せのために」カテゴリーアーカイブ

京都市内で「在宅リゾート」

先日、この春に竣工した京都市N様邸にお邪魔してきました。

京都市nさん宅2京都市nさん宅1


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



目的は「土壁伝統構法の家が、京都市内×エアコン無しだとどんな暑さか?」
というのを実感したかったため、というのが表向きの理由(笑)ですが、実際のところはNさんと飲みたいなぁというところだったかも。

で、Nさん宅へ行くと、夕方からの大雨で京都市内はすっかり涼しくなり、表向きの理由はどこへやら・・・
結局単なる飲み会になってしまったような気がします(笑)。



でも、酔っ払いながらもまじまじとNさん宅を眺めてみて実感したのは、
「やっぱり良い家だなぁ~」
ということでした。

Nさん宅はいろんな事情があって、僕個人としてもとても思い入れの深い家なのですが、Nさんご夫妻はこの家をたいそう気に入って下さっている様子で、
「在宅リゾート」
と仰っています。

その理由としてはいくつかあるようです。

Nさん宅の近くに豊かな緑があるため朝になるといろんな鳥が囀り始めること。
車が近くを通らない静かな環境
薪ストーブがあること。
吹き抜けの梁からハンモックのようなネット型の揺り椅子(名前は失念しました)があること。
などなどですが、自分たちが一生懸命手がけた家を京都市内で「在宅リゾート」と呼んで下さることは何より嬉しく感じます。

以前にも書いたことがありますが、僕が建築家として一番嬉しいことは、自分が納得できるような美しい家をつくることではなく、クライアントのみなさまが作った家を気に入って下さって喜んで下さること。

これに尽きます。

原木を買う醍醐味

お盆休み、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
今日も高速道路は大変な渋滞のようですね。



先日、神戸市内で新築住宅を計画中の i さんと打合せをしていた時のこと。

ひょんな話から、床板を採るために原木の伐採からやってみますか?と軽くご提案してみたところ、奥様が大変気乗りされて、とんとん拍子で
「やりましょう!」
ということになりました。

通常、新築住宅のご依頼を頂くケースでは、住宅ローンの関係上、1年以内に竣工させなければならないというケースがほとんどです。

その期間内で
伐採→製材→自然乾燥→製品化
という過程を工期の中でやりくりするのは難しいことが多いのですが、たまたま i さんのお宅は竣工までの工期があと1年半あることから、
「構造材の自然乾燥は無理ですが、フローリングなどの板材であれば、伐採から立ち会って自然乾燥させても間に合いますよ」
ということになったのです。

できれば、乾燥に時間のかかる杉よりも、もともと含水率の低い(=乾燥の早い)桧の方が良いかもしれませんね、とお伝えして、今後板のサンプルを見ていただきながら樹種を決定し、原木を買って伐採から製品化までやってみることになりそうです。



原木を買うとどういうメリットがあるか?ということを一言でお伝えするのは難しいのですが、単純に安くなる、ということではありません。

むしろ払う金額は同じでも、商品にムラがあるので、普通は買えない様な良いものも入ってくるが、その反面あまり良くないものも混在してくるという感じでしょうか。



他の話に例えて言うなら、こんな感じです(↓)

20人でパーティーをやる際に、¥20,000-の予算で魚を買ってくるとします。

スーパーや魚屋さんに行って、「20人分の魚を切り身で下さい」 と言えば、適当にみつくろっていろんなものをバランスよく取り揃えてくれるでしょう。
これが材木屋さんなどで、製品化されたフローリングを必要な数量だけ買うイメージです。



一方、原木を買う方は、漁師さんに頼んで
「¥18,000-で尾頭付きの魚を採ってきて譲ってもらえませんか?
 そのあと¥2000-で採れた魚を調理してほしいのです」
というようなものです。

尾頭付きにすると、頭で兜焼きができたり、背骨やアラなどで汁を作ったりすることもできます。

また、
「本当はこういう魚は傷物でセリに出すと値が落ちるんだけど、直接買ってもらうんだったら絶対味は良いから持って行ってよ」
といって、普通はスーパーで見かけないような大きなヒラメを売ってもらうこともできるかもしれません。

その反面、要らない部位なども出てきたり、「もっといろんな種類の刺身も食べたかったなぁ」などという声も上がるかもしれません。

でも、スーパーでは決して得られなかった迫力や、話しのネタになる(=思い出に残る)ような食材・経験を得ることができるのです。
そして、きっと量も食べきれないようなものになるのではないでしょうか。



ここで木の話に戻します。
原木を買うと、根元の一番太い部分からは、節の少ない、幅広の板が採れます。
一方、末の方では節が多くて巾の狭い板しか採れません。

 i さんには、
「その幅広のいい板の部分をリビングなどに使って、末の細くてあまり良くない部分は2階や廊下に使っていけば、同じ値段で作っても、ずっと面白いものができますよ」
とお伝えしました。



どちらが良いか?という話ではありません。
それは各個人の考え方・価値観によって異なると思いますが、スリリングで印象深いのは間違いなく後者だと思います。

今日は、「そんなこともできるのか」という話を参考までにお伝えしたいと思い、記事にしてみました。

あなたはどう思いますか?

地震からちょうど1年 駿府城の石垣

世間はお盆休み真っ最中だと思いますが、東風は営業中です。
当方は各自好きな時に休みを取る、というスタイルでやっていますので。
ご連絡・お問合せなど遠慮なくどうぞ。

このブログの閲覧者数も、平常と変わりなく推移しています。
みなさま、どうもありがとうございます。
いつも見に来て下さるみなさまのために、毎日更新すべく頑張っております。
お盆休み中の方は、ぜひビールを飲んで涼みながら覗きに来てやって下さい。



いつも静岡へ行くたびにチラチラとみているのですが、なかなか進まないのが駿府城の石垣の復旧です。

2009年の8/11、静岡で震度6弱の大きな地震がありましたが、その際に駿府城の石垣が数ヶ所で崩れました。
下の写真は駿府城外堀西側の石垣の7月末の状況です。


駿府城の石垣


 


 


 


 


 


ブルーシートで覆われた部分が崩落した箇所ですが、もともとは赤点線のような形で石垣が残っていました。



この石垣の復旧はとんでもなく大変なんですよね。

石垣の積み直しは、本来こんな風(↓)に周到に準備をしておいてから進めます。

野面石積み


 


 


 


 







崩れる前に各石にガムテープを張って、全ての石に番号を付けておき、向きや形など写真を撮って全て記録しておきます。
(画像をクリックして拡大表示していただければ、番号などが確認して頂けると思いますが、各所に補助的な墨などが書き込まれています)

その上で、ていねいに一つ一つ手で取り外していって、広い場所に置き並べ、下地の補修・築造をした後でまた記録を頼りに積み直すのです。

ちなみに上の写真は滋賀県大津市比叡山坂本周辺の穴太衆(あのうしゅう)積みの石垣です。



こういった準備をしていても時間がかかるのに、それがなくある日突然に地震で揺らされてガラガラと崩れしまったのですから、復旧が大変困難な作業であることは容易に想像がつきます。

関係者のみなさま、大変だと思いますが応援しておりますのでがんばって下さい。
静岡へ行くたびごとに気をつけて見守っていきたいと思います。

長材の製材@静岡

7月下旬に、静岡で長材の製材をしました。

一般の木材市場で規格品として常時販売されている構造材は、長いものでも6mの通し柱なのですが、東風では7~9mという材料も使います。

こういった材料は
東風:「3ヵ月後に欲しい」
と言うと、
材木屋さん:「じゃあ人工乾燥炉に入れて乾燥させておきます」
という話になってしまいます。

東風:「天然乾燥材は無いの?」
と言うと、
材木屋さん:「長材は今から伐って乾燥させるのに最低3年はかかるぞ」
と言われるのがオチです。

つまり東風でも、2年後・3年後に使うための木材を今から用意しているのです。

製材201007-1


 


 


 


 


 


上の写真は製材する前の丸太。
杉の原木です。

製材する前には一番外側の荒皮をあらかじめ剥いておきます。

上の画像をクリックして拡大表示していただけると、写真右上の方に製材機に原木を固定する作業をしているオジサンが見えますので、そのおじさんの大きさと木の長さを比べてみて頂ければ、大きさが実感できると思います。


製材201007-2


 


 


 


 


 


冒頭の写真のうちの1本を製材したところです。

この木は非常に素直な木で、節が全く無く、とても美しい木目が出ました。
きれいでしょう?

製材はこういう木目に出会えるので、とってもワクワクします。
今から使うときのことを考えると楽しみです。

3年後=2013年かな?
それまでじっくり乾燥させます。

どこのお宅に嫁入りするんでしょうね?

欅とかやぶきの古民家

i邸


 


 


 


 


 


7/31-8/1の2日間にわたり、神奈川県内の i さん宅において、民家再生協会の会議を行いました。

i さんのお宅は現役のかやぶき民家で、主な材料として欅を使っているにもかかわらず、堅くならずにとても上品なつくり方をされているすばらしいお宅でした。 

会議自体は、裏庭(中庭?)に面して経っている改装された蔵で行われ、会議の後はバーベキューと生ビールで懇親会。

とても贅沢な時間を過ごさせて頂きました。
i 様、場所を提供して下さり、どうもありがとうございました。



i さんのお宅の裏庭には、市から保存樹としての指定を受けている、大きな3本の欅の木も生えています。
まさに欅の家です。

このような建物・敷地を維持していくのは大変なことだと思います。
各地に残る素晴らしい古民家、大事にしていきたいですね。

静岡の風景

このところ、更新が滞っておりました。
いつも見に来て下さるみなさま、申訳ありません。

先々週あたりからめまぐるしい日々が続いて、そこへ酷暑が重なったのでかなりバテ気味です。
体調もあまり芳しくありませんが、頑張ります!

昨日から西明石でK様邸の建て方作業が始まっており、今日は上棟です。
この話はまた後日。



7/31から8/3にかけて、静岡に滞在しておりました。

7月は1ヶ月の間に合計3回も静岡へ行ったことになります。
過去にも、こんな頻度で出かけたことは無かったような・・・。

また追々ご報告しますが、下の写真は僕の先祖の故郷、静岡市梅ヶ島の風景です。


梅ヶ島の風景


 


 


 


 




靄が立ち込めて緑も美しく、幻想的な感じでした。


 


静岡の花


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


庭先には花が一杯咲いていました。
なんていう花かはよく知りませんが・・・(恥)。

日本文化の美徳

最近読んだ雑誌の中に、「あぁなるほどなぁ」と
深く感銘するくだりがあったのでご紹介します。



<ここより抜粋>
日本文化は見えない世界をとても大切にします。


平成16年に四国の金毘羅宮で大修理がありました。
この金毘羅宮の天井には木地蒔絵(きじまきえ)といって
木目を生かした漆塗りの装飾が施されています。

一般の人が参拝する拝殿と、神様にお供え物をする
弊殿(へいでん)と、神様を祭る本殿にそれぞれに
描かれているのですが、大修理を通して初めて分かったのは、
拝殿、弊殿、本殿と奥に行くに従ってその木地蒔絵の
図柄が非常に簡素になっていることです。
にもかかわらず技法が非常に高度になっていく。


本殿は宮司すらめったに入らない場所です。
そういう人目につかないところに、簡素な図柄と
高度の技術が使われ、深い精神性が凝縮されます。
私は「これは日本文化の神髄を象徴している」と思いました。


教育も同じで、目に見える理性教育ばかりやって
いたのでは駄目だと思います。
見えない心、その奥の無意識の部分まで含めた
教育の大切さを見直さなくてはならないと思っています。


(月刊誌『致知』8月号掲載の対談
”一道に生きて見えてきたもの”より抜粋
 国際基督教大学名誉教授・石川光男氏の発言 )


<抜粋ここまで>


 


これを読んではっと気付いたのですが、
東風で家づくりをする際にも、同じことを考えています。


簡素な図柄と高度な技術を用いなければ、
深い精神性は凝縮できない。


でも、これが相手に伝わらない、理解されないということは
実は結構あります。


僕はそういう時、
「仕方がない」
とその場は一旦諦めて引きさがります。


なぜなら、その場で言葉を尽くして伝えれば理解してもらえる
という問題ではないからです。

その一方で、わかる方は何も言わずにすっと理解されます。



もっとわかりやすく伝える方法はないか?ということは
もちろんいつも自問自答しています。


でも、基本的には僕は自分のこのスタンスを変えるつもりはありません。
なぜなら、薄っぺらい物を作る気はないからです。


みなさま、わかりにくくてすみません。

住んでからわかる。掃除機は重要です

東風でつくっているような木の家に住み始めてみるとわかることなのですが、無垢の木の床板を張った家というのは、掃除をする時に実は大変気を使います。


なぜか?

それは、普通の掃除機を使って今までどおりに掃除をすると、すぐに床板が凹んでしまうからです。

その諸悪の根源は、掃除機のヘッドではなく、車輪の付いた本体です。



カーペットが敷いてある家や、新建材の床板が張ってある家では全く気にならないのですが、無垢の床板張りの家で掃除機をゴロゴロ引っ張りまわすと、すぐに床板に傷が付きます。

この傾向は、杉などの柔らかい樹種の床板を使うほどに顕著になります。



過去の東風のクライアントのみなさまからお話を伺ってみても、
「新しい家に住み始めたら、掃除機は使わないでほうきで掃除するつもりです」
と言われる方が結構多いです。

そんなみなさまにお薦めしたいのが、本体を引っ張りまわさない掃除機です。



よく見かけるのがこういうタイプ(↓)


掃除機1


 


 


 


 


 


 


 



自立するし、電源コードもなくて充電式なので使いやすくて結構重宝するようですね。

ただ、やはり吸引力が弱いのが難点かな?



また、下のような肩掛け型の掃除機もあります。


掃除機2


 


 


 


 


 


 



上の写真は東芝のエスカルゴという商品ですが、デザインもすっきりしていて、なかなか良さげです。


肩掛け型というと、やはりこんな感じ(↓)のものを想像してしまいますが、上の掃除機と比べると全然違うイメージですね。


掃除機3


 


 


 


 


 


 


 


 


 


まぁいずれにしても、

「新しい家では棕櫚のほうきなどで掃除をしよう!」

と意気込んでいても、やはり目地や溝の底に落ち込んでしまったゴミなどは、掃除機でないとなかなかうまくとれないのが現実で、ほうきの他にも掃除機も常備しておくのが現実的なようです。



以前、修善寺のとある老舗旅館の改修工事をやった時に、腰に本体をベルトで巻きつけるタイプの掃除機を仲居さんたちが使っていました。

旅館など和室が多い建物では、ふとしたときに本体を障子やふすまの縁にぶつけてしまうことが多いらしく、そんな事故を防ぐために、腰から掃除機本体を下げているのだそうです。

研究材料

週末から出かけっぱなしの毎日が続き、ようやく事務所に戻ってきました。
今日はおとなしく、久しぶりにほぼ1日事務所にいました。

週末から、神戸・志摩・静岡・和歌山と各地を転々としておりました。
1日400-500kmの長距離運転が3日連続すると、さすがに疲れますね。



静岡へは、1年半前に伐った木の製材と、在庫の板を取りに行っていました。

今回は何たることか、デジカメを事務所に置き忘れてきたので、製材中の報告写真はありません。
すみません。

なかなか面白い製材だったのですが・・・。



初めて 【伐採後1年半経った、芯に割れが入っていた木】 を製材したのです。
この木です(↓)

割れの入った木


 


 


 






写真を見るとお分かりになるかと思うのですが、芯あたりから放射状に大きな割れが入っています。

これはおそらく、立ち木の状態で木の中の水分が冬季に凍って起こる『水割れ』と思われます。

こういった原木は商品価値がとても落ちるので、普通は出荷されないことが多いです。



ただこの木はとても素性が良くて、太さも根元で70cmもあったため、割れが入っていないところで板が取れれば一部は充分使えるかも・・・と思い、製材してみました。

長さは4.5mあったので、半分の2mに切って使えればいいなぁと一縷の望みを託したのと、伐って1年半経った原木がどんな状態になっているのかを確認したくて、半ば実験のような感覚で製材してもらいました。

というのも、普通は原木のままで1年半も置いておいたら、白太の部分は虫に喰われまくっていてとても使えない・・・という状態になっているからです。

今回の製材では、それが伐り旬(晩秋)の新月期に伐って、その後充分に葉枯らしした木だとどうなっているのか?というのを実際に見てみたかったのです。



製材してビックリしたのですが、、白太には全く虫が入っていませんでした。

さすがに白太の色は少し悪くなっていましたが、腐っているという状態ではありません。

ただ、冒頭の【割れ】は予想以上に深く貫通しており、こればかりはいかんともしがたい状態でした。

われをよけて製材を繰り返しても、どうにも使える部材が取れない・・・という状態でした。

なかなかいい経験をさせてもらえました。



という製材で、一応形になって持って帰ってきたのが下の部材です。


BlogPaint


 


 


 


 


 


 


 


 



写真で言うと、手前が末、奥が根元方向です。
長さは2.3m、巾は一番小さな末口の天端の面でも32cmあります。
厚みは75mm。


ご覧のように、節は全くなくてとてもおとなしく綺麗な木目なのですが、充分乾燥させたら白太がどうなるか?というのが未知数なので、商品としては使わない予定です。

(本当は、赤身だけでこれくらいの巾の板が取れれば使えるかも・・・と
 期待していたのですが、割れがひどすぎたためにちょっと無理でした)

同じような木目の板が合計4枚あるので、
○ 異なる置き方による乾燥速度を比較する
○ 黄色くなった白太や黒ずんだ赤身の状態がどうなっていくか
というような研究材料として使う予定です。

また随時報告しますね。
どうぞお楽しみに。



ちなみに、製材直後のこの木の含水率はおよそ86%でした。

3年間天然乾燥させた杉の含水率

木材の含水率(がんすいりつ)という言葉は、一般の方には聞き慣れない言葉かと思います。

簡単に言うと、木がどれだけ乾いているか?という度合いを表す指標なのですが、木材というのは乾燥するほど強度が上がるという特性がありますので、建築用材として木材を使う場合には、概ね20%以下になるまで含水率が下がってから木材を使うことになっています。



樹種によっても異なりますが、木材の乾燥には非常に長い時間を要します。
桧などはもともと含水率が高くない種類なので、製材後、半年もすれば充分使えるレベルになったりしますが、杉になるとそういうわけにはいきません。

最低でも製材後1年以上、できれば2年以上は乾燥させてから使いたいものですが、その間の材料管理や手間・土地代・在庫にかかる金利などがどんどん膨らんでいくため、現在では人工乾燥が一般的になっています。



今、ここで人工乾燥・天然乾燥の違いや利点などを説明するととても長くなってしまうので割愛しますが、先週高知県へ持って行って製材してもらった大黒柱の切れ端を持ち帰り、含水率を測ってみましたのでご報告します。


含水率


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


今回含水率を測定したのは上記の木材です。

この木は樹齢約110年。
2006年11月に伐採した後、4ヶ月間葉枯らし乾燥させ、
2007年6月にほぼ今と同じ太さに製材してから、約3年間自然乾燥させた状態です。
断面寸法は230mm×230mm


先週土曜日に表面の摺り直し製材をしてから雨に1日打たれた後2日しか経っていない状態なので、含水率が若干高い条件下での測定です。




含水率1含水率2


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


上の写真は、まず白太(しらた)といわれる辺材の部分を測定した結果です。
機械で表示されている数値が含水率を表しています。

含水率は木の位置によってそれぞれ異なるので数ヶ所で測る方が良いのですが、左の結果は16.2%、右の結果は18.1%となっています。

(上記の測定をしてから2日経った本日、全く同じ位置を再度測定してみたところ、
 もう少し乾燥が進んでいて左は13.3%、右は13.6%という結果でした)




含水率3含水率4


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


次に赤身と言われる心材部の含水率を測ってみました。
左が19.9%、右が20.3%と表示されています

(これまた上記の測定をしてから2日経った本日、全く同じ位置を再度測定してみたところ、
 もう少し乾燥が進んでいて左は16.2%、右は18.4%という結果でした)



上記の結果からもわかるように、白太(辺材)の含水率よりも、赤身(心材)の含水率の方が一般に高くなる傾向があります。

また、今回測定できたのはあくまでも表面の含水率であり、木材の芯の部分ではもっと含水率が高くなっていますので、この木の含水率が正確に何%であるのかは重量と体積を測って計算するより他に求める方法はありません。

そして、いくら年月が経ったとしても、大気中の湿度とのバランスによって含水率は変化するので、日本の気候では一般に15~18%程度以下には平均含水率が下がらないと言われています。

そういった中で含水率20%の木材を使うように指導されている現行建築基準法に対しては、現実問題として僕は多少疑問を持っていますが、いずれにしても木材はきちんと乾燥させてから使うべきであるというのは木材の強度発現・防蟻・防腐の観点から考えても間違いありません。



でも木材の乾燥というのはとても難しい問題なんですよね。

昔から大工さんや材木屋さんがずう~っと取り組んできた問題なのですが、未だに科学的には究明されていないところがたくさんあります。

でもそこがまた木の魅力の一つでもあるんです。