木のこと」カテゴリーアーカイブ

北海道から大工さんが来ました(その1)~京都・北山杉磨き丸太の現場

北山杉

 

 

 

 

 

 

 

 
昨日、北海道の大工さん3人が京都の建物を観て勉強する、という研修旅行に来ていたので、一日ご案内していました。彼らは、僕が理事をつとめているNPO法人・日本民家再生リサイクル協会の北海道在住会員である、武部建設の若手大工さん。
武部建設は民家の少ない北海道で、民家再生や古材の再利用に積極的に取り組んでいる、貴重な会社です。
そこの若手大工さんに、
「京都の建物がどんなものか自分の目で見て学んで来い!」
という社長の心意気により、今回の研修旅行が実現したのです。

いろんなところを駆け足で回ったのですが、その道中、京都の周山(しゅうざん)街道沿いに、北山杉磨き丸太を作っているところがありましたので、彼らと一緒に見学してきました。

北山杉-2

 

 

 

 

 

 

 

 
北山杉の磨き丸太は、ちょうど冬の寒い時期に作られます。
まず、
1. 秋に杉の伐採を行い、木の中に含まれる水分を抜くために1ヶ月余り山の斜面に倒したままにしておきます。
2. 次に水分が抜けた杉の木を山から降ろしてきて、
3. 荒皮(ゴツゴツした樹皮)をむき、
4. その後うす皮(荒皮の下にあるヌルヌルした薄い皮)をきれいに取り除き、
5. 最後に水と砂を使ってていねいに人の手で磨かれて仕上げられます。
これ(特に5.)を冬の寒~い時期に、外でやるのですから、大変つらい作業です。
こうして美しい磨き丸太が作られます。

北海道の家づくりと関西の家づくりでは、やはりまず使われる木材(樹種)が違います。
関西では建築資材として主に、杉・ヒノキ・松などが使われますが、
彼らの話を聞いたところでは、北海道ではエゾ松・ナラ・唐松・ヒバなどが多いそうです。
やはり木材を見つめる彼らの目はものすごく真剣で、とても真摯な姿勢を感じましたし、同じ木造建築であっても地方によって異なる大工仕事の事情(材料・工法等)の意見交換ができたのは、僕にとって大きな収穫でした。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

【木の家-8】あなたの家から考える地球温暖化~その1・木の家と古民家再生

地球温暖化防止に関する、【京都議定書】が2/17(木)に発効されました(※)。
と聞かされても、

 

「イマイチ、ピンとこない・・・」

 

のではないかと思います。
そこで、あなたの家にある身近なものを見つめなおすことから、地球温暖化に関連するコトを考えてみていただきたいと思い、今日から3回に分けてご紹介します。

 

 

 

<木造住宅は、二酸化炭素(CO2)の貯蔵庫>
京都議定書の目的は、
『今後CO2の発生量を目標値以下に抑えて、地球温暖化を阻止しよう』
ということを各国が協調してやろうということです。
大気中のCO2は地球温暖化を促進させる物質だから、それを減らすようにすれば温暖化が進まなくなる、という理屈です。

 

さて、木造住宅は当然のことながら木でできています。
木を燃やすとどうなりますか?CO2が発生しますよね?
ということは、木造住宅は(未来には放出するかもしれない)CO2を(現在は)固定化して貯蔵している、と言えます。
今使われている木造住宅も、いつかは燃やされるかバクテリアに分解されて土に還ることになりますが、少なくともそれまでの間は大気中にCO2を放出することなく、固定しつづけているという状態を維持するわけです。
ですから、木造住宅を潰さずに長い間使いつづける、ということはそれだけで地球温暖化の防止に貢献していると言えるのです。

 

古民家再生も、同じ理由でCO2削減には貢献していると言えます。

 

 

 

ところで現在、太陽光発電パネルを導入しようとすると政府が抽選で助成金を出していますが、あれもCO2を削減するためです。なぜか?というと、

 

1. 太陽光発電パネルで電気が供給できれば、電気を作るために石油エネルギーを燃やす必要はなくなる。(=CO2排出量が減る)
2. また、地域住民の反対にあう原発も作らなくてよくなる。
3. でも太陽光発電パネルはまだあまり普及していないので、市場価格があまり下がっていない。

 

じゃあ太陽光パネルが普及するように、政府が助成金を出してやろう。
そして大量に生産して、もっと価格が下がるように頑張りなさい!というのが太陽光発電パネルの助成金です。

 

 

 

ではなぜ、政府がそこまでして援助するのでしょうか?
それはまた次回のお話にしましょう。

 

 

 


※1997年に京都市で開催された、「気候変動枠組み条約第3回締約国会議」(地球温暖化防止京都会議、COP3)。
2001年に世界最大のCO2排出国である米国が批准(ひじゅん)しないことを表明し、

 

「何を言っているんだ!」

 

と非常に腹立たしい限りですが、昨年ロシアが批准することを表明して無事発効の時を迎えました。
地球温暖化→海面上昇によって、イヌイットの方々は氷の氷解による転落事故の増加に、モルディブでは水没の危機などに直面しています。

 

地球温暖化の各国の責任比率(CO2排出量により算定)なども含めたこれまでの経緯は、詳しくは下記ページに詳しく解説されています。ぜひ一度ご覧になってみてください。

 

    ↓    ↓    ↓    ↓    ↓    ↓

 

    http://www.omplan.co.jp/main/watch_kp.html#1
        (※OM計画株式会社のホームページ)

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

【木の家-5】 災害防止と森林~その2

昨日の続きです。
(今日初めて読まれる方は、下に投稿してある昨日の記事を
まず読んでからにしてくださいね)

昨日は国産木材よりも外国産木材の方が安いので、現在日本国内においては、安い外国産木材の方が多く使われている、ということをお話しました。
すると

続きを読む

【木の家-4】 災害防止と森林~その1

今朝の日経新聞に、近畿の3県(兵庫・奈良・滋賀)でも2006年度から
「森林環境税」を徴収し始める、という記事がありました。

 

今回はこの記事には書かれていないウラの事情をご紹介したいと思います。

 

結論から言うと、災害防止・国内経済の活性化につながります。

続きを読む