新月伐採×伝統構法型住宅 京都市N邸プロジェクト」カテゴリーアーカイブ

2007秋伐採の新月材を製材しました

6/11(水)~13(金)の3日間、静岡へ行って製材に立ち会ってきました。

今回製材したのは、2007年11月上旬の新月期に伐採した杉と桧です。
この材の提供に協力してくださったのは、こちらのグループの林業家の方です。
(ややこしい注文に丁寧に対応してくださり、本当に感謝しています!)

11月~3月までの4ヶ月間は山で葉枯らしをし、3月に玉切り・造材(その1 その2)しました。

製材には杉山製材所さんひかる製材さんの2社にご協力いただきましたが、今回は長材を挽いたひかる製材さんでの作業を報告します。

(以下、全ての画像はクリックすると拡大表示できます)

2008製材1

上の写真の製材の台車に乗っているのは、長さ9.3m、樹齢85年生の杉です。
人間の大きさと木の長さを比べてみて下さい。

2008製材2

上の写真は、製材をしている最中です。

左に立っているご夫妻が、今回京都でこの材料を使ってご自宅の新築をされるNさんです。
人間の大きさと比べると木の太さがよくわかるでしょう?

2008製材3

今回採れた材料の中で一番美しかったのがこの7.3mの杉です。

赤みの色も鮮やかで節も少なく、杢目が芯に通って偏りが無い、すばらしい材料でした。
この材料はリビングの上部・吹き抜けに面した梁として使う予定です。

Nさんに木材のことで静岡へ来ていただくのは、今回で2回目です。

Nさんは昨秋のこの木を伐採する際にも、わざわざ京都から静岡の山へ来ていただきました。
それが1回目。

で、今回の製材が2回目です。

実はNさんの家の作り方は、現代の一般的な家づくりと比べてとても特殊なやり方をしています。

ちょっとその違いを比較検討してみました。
下の表をご覧下さい。

 

一般的なやり方

Nさんのお宅の場合

木材の長さ

市場に出回っている規格寸法の製材品を何本か継いで使う

材料を継がずに、1本ものの材料で組めるように、好きな長いままの材料をとってもらうように林業家に依頼

伐採時期

いつ伐採したものかは不明

1年を通じて一番いい伐採時期だけを選んで伐採

伐採時の
立会い

不可

(今は立ち会わないのが当たり前)


(実際に立ち会ってみると感動~)

製材時の
立会い

木材の
生産者情報

誰が育てたものかは不明

生産者と実際に顔を合わせて話ができる

製材を終えてクライアントのNさんに感想を伺ったところ、このように(↓)おっしゃっていました。

「原木から製材する過程を実際に見ることができて、本当に贅沢なことをしているんだと感じた」

「木を育ててくれた林業家や製材をしてくださった方に会って話をし、関わってくださる方々の顔がここまで見えるというのがとても貴重な機会で、信じられないことだった」

この静岡の木は、決してブランド品ではありません。

同じ静岡県内産でも、天竜杉は全国でも名前が通ったブランド品として有名ですが、今回の木材は静岡市内の木で全国的には全く無名の普通の木です。

品質だけを追求していけば、吉野杉などのもっと素晴らしい材料はどこにでもあるでしょう。

でも今回のやり方で一番重要なのは、

〇 木を作ってくれた人(林業家・製材関係者)とユーザー(住み手)とが
   顔を合わせる機会をつくったこと
〇 伐採時期・葉枯らし乾燥期間・生産者を完全に限定したこと
  (木をいい状態で使うためには伐採時期を選ぶことが
   と~っても重要です)
〇 家の大きさに合わせて木材の長さを山で切り揃えたこと

という3点です。

本当は全ての家がこうやって作られるべきだと僕は強~く思うのですが、時間も手間もかかるので現実的にはなかなかそうもいきません。

なぜなかなか難しいのか?については、また改めて別の機会に書いてみますね。

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2007年度の新月伐採を開始しました

11/3(土)、静岡市内のSGEC認証林2ヶ所で今年の新月材の伐採に着手しました。
(今回の新月伐採に協力してくださった静岡市の認証林を所有・管理されているグループはこちら

今年は11/9(金)までのわずか7日間に、2棟分の住宅の用材を確保する木材量を伐採します。

そしてNPO法人・新月の木国際協会の現認を受け、新月材であることの証明を行います。

2007新月伐採-2

今回の現認者、新月の木国際協会理事の大山さん。
山の状況(方位・斜度・植生・緯度・軽度・標高)などを記録します。
大山さんは小田原から深夜の電車に乗って静岡まで来て下さいました。

2007新月伐採-1

林業家(左)と大山さん(右)。
お互い木が大好きな者同士で話が弾みました。

2007新月伐採-3

伐採した木には、その場で全て木口にナンバーを打ちます。
(上の写真をクリックしていただければ、画像を拡大表示できて
 よくおわかり頂けると思います)

これにより、いつ(何年の何月何日)どこで・誰が・何番目に伐った木か?
ということが全て記録として残ります。

2007新月伐採-4

11/5(月)には、京都よりクライアントのNさんがわざわざ現場を見学しに来て下さいました。
(Nさん、どうもありがとうございました)

Nさんも初めて見る伐採作業にいろいろと感じることがあったようです。

その一方で、毎日山に入って黙々と伐採作業をして下さっている林業家のみなさんにとっても、

 〇 実際に今、自分たちが伐っているこの木を使って下さる予定の
   Nさんが京都から現場まで観に来て下さったこと
 〇 現場で一緒にお弁当を食べながらいろんな会話を交わしたこと

などが、とても励みになったことだろうと思います。

生産者と消費者を直接引き合わせ、お互いの顔や人となりが見える機会が設けられたことは、これから行う家づくりをより温かく強いものにしていく上でとても大きな意味をもってくることでしょう。

消費者であるNさんにはより深い満足感を、生産者である林業家には誇りと自信をそれぞれに感じていただけたのであれば、僕も少しはお役に立てたのだろうと思います。

11/5の夜に一旦兵庫へ帰ってきましたが、11/9には伐採完了を確認するために再び静岡へ戻ります。

先述の新月の木国際協会の大山さんにもそのときには現場へ来て頂いて、現認をして今年の伐採工程は完了です。
(もちろん、それから4ヶ月の葉枯らしは行いますよ)

またご報告いたしますので、どうぞお楽しみに。

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