新月伐採×伝統構法型住宅 京都市N邸プロジェクト」カテゴリーアーカイブ

荒壁

京都市N邸で、ついに荒壁をつける作業が始まりました。

荒壁というのは、土壁の下塗り部分のことです。

ご存知の通り、土壁は仕上がるまでにたくさんの工程を経ていくのですが、その一番最初ぬ塗りつける土のことを荒壁と言います。


土壁1105_4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが今回塗りつける荒壁用の土です。

一般的な土と比べてあまりに色が違うので、
「色をつけるために何か混ぜているの?」
と思われそうですが、混ぜているのは藁スサだけです。

4月末に現場へ入れてから、ちょうど半年寝かせたことになりますが、その間にこんな色に変化しました。



ちなみに、4月に現場へ搬入した時の土の色はこんな感じ(↓)でした。

土0430

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ねっ?普通の色をしているでしょう?

これが藁スサの威力であれだけ黒くなるのです。
オドロキですね。



土壁1105_1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


そして、土壁はこんな感じで塗り始めています。
塗りつけてみると、思ったよりも土の色が黒くてビックリしています。

 

というか、塗りつけた瞬間は黒が割と深くて、とてもきれいな色をしていますが
土が乾くにつれて緑がかった色に変わっていきます。
 
 土壁1105_3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


塗りつけた方の面(この写真は内壁側を写しています)は上のような感じになりますが、(つづく)↓
 
 
 
 土壁1105_2
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


反対側から見ると、竹小舞の隙間からこんな具合に塗りつけられた土が
「にゅう~」
っと出てきます。
 
いかにも、絡みついてるって感じです。

しかしこのままでは、この面に土を塗りつける時にうまくいかないので、
土が軟らかいうちに、この土の頭をコテで撫で付けます。
この作業のことを裏掻き(うらがき)と言います。
 
撫で付けると、下の写真のようになります。
 

 
土壁1105_5
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


先週は2日間かけて1階の壁を塗りつけました。

明日月曜日には2階の全ての壁を一気に塗ってしまう予定ですが、月曜日には建築主のNさんご夫妻も現場に来られて、コテを持って塗りつけてみることになっています。



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土壁下地 ほぼできました

壁下地

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

京都市N邸の土壁下地(竹小舞)が、主なところはほぼ編めました。

あとは設備関係の配管によって切れてしまったところの補修や、編みにくくて後回しにしたところを残すのみです。



現場では荒壁(土壁の下塗り)が始まりました。

荒壁については明日アップしますのでどうぞお楽しみに。



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竹小舞下地 その2

昨日に引き続き、竹小舞下地について書いてみます。



今回土壁下地用に使っている竹は、国産の真竹(まだけ)を小割にしたものです。

一般によく流通している土壁下地用の竹としては、孟宗竹(もうそうだけ)を小割りにしたものが多いようですが、一般に流通しているものは工場出荷時にすでに防虫加工がなされています。

今回真竹になったのは、竹屋さんに
「防虫処理をしていない、いい時期に伐ったものを使って欲しい」
と特別にお願いした関係もあるようです。

 

真竹

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


写真をよく見ると、右と左で色が違いますね。
左は今年の秋に伐った竹、右は昨年の秋に伐った竹です。
いずれも9月~11月の間に伐っているので、防虫加工はしていません。

竹は木以上に伐り旬が短く、伐り旬を外して伐ると、後になって虫がたくさん出てきたり、すぐ腐ってしまったりします。

よく新年早々に行われるお茶会(←初釜と言います)の準備のために、年末に青竹で作った雨樋を入れ替えたりしますが、この竹も伐る時期をよく吟味しておかないと、後でえらい目に遭います。

やはり材料は奥が深いです。


 

縄

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


上の写真は竹をくくりつけるための縄です。

今回使っているのは、麻糸を芯にして作った藁縄です。
実はこの縄も、棕櫚縄を使おうか藁縄を使おうかと迷ったのですが、作業性を考慮して藁縄にしました。



これらの材料を使って、熟練の職人さんたちが現場で壁下地を編んでくれています。

竹

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回現場へ来てくださっている職人さんは、各地の文化財の工事などの仕事にもよく行かれるそうです。

確かに、こんな仕事をしてくれる職人さんはとっても少ないでしょうから、いろんなところへ呼ばれるでしょうね。

でもこれからはこういう建て方が見直されて、どんどん仕事も職人さんも増えていくことでしょう。



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竹小舞下地づくりが進んでいます

久々の更新です。

今日から11月ですね。
みなさま連休はいかがお過ごしでしょうか?



京都市N邸の現場では、竹小舞下地を編む作業が進んでいます。

土壁1021

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この現場は道路からよく見えるので、現場にいると近くを通りかかる人がしげしげと眺めているのをよく見かけます。

確かに、京都でもこんな作り方をする家は今どきほとんどありませんからね。
竹小舞下地については、次回もう少し詳しく解説します。



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構造見学会へのご来場ありがとうございました

10/18(日)に、京都市N邸の現場において、構造見学会を開催させて頂きました。

延べで30名以上の方にご来場いただきました。
どうもありがとうございました。



今回は建築業界関係のみなさんの申込が予想以上に多くて、急遽
 建築関係者→ 午前中に開催
 一般の方  → 午後に開催
という風に、時間帯を分けて行いました。



時間帯を分けた理由は、各々お互いに見るところや質問の内容が全く異なるからです。

案の定、専門家の皆様からは、構造計算に関することや工法、材料に関する質問が相次ぎました。



見学に来て下さった方から、新米と枝豆のお土産も頂いたりしてビックリ!
早速美味しく頂いています。
(小西さん、西本さん、ありがとうございました)



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京都市N邸 屋根の断熱工事

京都市N邸で屋根工事が進行中です。
下の写真は大屋根の野地板張りおよび断熱材充填工事の様子です。


断熱材1015_1


 


 


 


 



↑ 通常の約2倍の背の垂木の側面を一部欠き取って、
  垂木と垂木の間に化粧野地板を上から落としこんでいきます


断熱材1015_2


 


 


 


 



↑ 垂木の上に載っている板(手前に見えている板張りの部分)は
  外壁よりも外になる部分で、断熱はしません。
  板が落とし込んである範囲にだけ、断熱材を充填します。

  この現場では屋根の垂木を少しむくらせています。
  屋根をむくらせると、外観に硬い感じがなくなり、ふっくらと柔らかくなります。
  画像をクリックして拡大表示していただくと、垂木がゆるやかに曲がっている
  様子がお分かり頂けると思います。
  


断熱材1015_3


 


 


 



↑ 白く見えているのが断熱材です。
  化粧野地板と野野地板との間に挟まれているような形になっています。



このように面倒な工事をするのは、屋根の垂木や野地板を化粧として見せる形にするためです。

天井を張らずに屋根の構造をそのまま見せると、デザイン面でいやらしさがないダイナミックな空間ができるので、なかなか好評です。



ただこういったデザインは、美観上は魅力的ですが、暖房効率が悪かったり、梁の上に埃がたまりやすい、などのデメリットも確かにあります。

そこはいつもクライアントのみなさまと協議しながら、1軒ずつ個別に納まりを協議して決めていきます。



伝統構法 鼻栓【お知らせ】
10/18(日) 京都市内で新月伐採材を使った
伝統構法の家の構造見学会を行います。
詳しくはこちらをご覧下さい

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10/18 新月伐採×伝統構法の家 構造見学会を開催します

クライアントのN様のご厚意により、10/18(日)に現在施工中の伝統構法型住宅・京都市N邸の構造見学会を行うことになりました。


N邸建方_3


 


 


 


 


 




 



道路側から見た建物全景。
見学会当日までには、いくらか屋根の瓦も葺けていると思います。


N邸建方_2


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 





建方当日の様子。
上の写真は通し柱の足元ですが、石場立てになっている様子がお分かりになると思います。


N邸建方_1


 


 


 


 


 


 


 


 





 


上の写真は通し柱と胴差(2階床を支える梁)の仕口の写真です。
長ほぞに鼻栓を差して木組みだけで緊結しています。



この現場は、2007年11月の新月期に伐採し、自然乾燥させた木材を使っています。


木造2階建ての石場立て型伝統構法で、構造材の緊結に金物は一切使っておらず、足元も石に載っているだけの構造です。

耐震偽装問題後に改正された現行建築基準法になってからは、京都市内で初の新築伝統構法物件だそうです。

壁は昔ながらの土壁+竹小舞でつくり、屋根には日本瓦を葺きます。




このような形で建物を作る機会は、近年大変少なくなっていますので、興味のある方はぜひご参加下さい。


見学会当日は時間の許す限り、ご参加いただいたみなさまのご質問にお答えし、皆様のお役に立ちたいと考えております。


同業者の方も見学可能です。
遠慮なくご参加下さい。

※同業者の方へ:参加お申込の際、建設業に携わっていることを明記しておいてください。
        お申込人数が多かった場合、別時間帯にさせて頂く場合もあります。



開催場所:京都市左京区 
      ※お申込いただいた方に現場の地図をお送りします
開催日事:2009年10月18日(日) 13:00~16:00


参加お申込はこちらからどうぞ

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京都市N邸 上棟しました

上棟1004_1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長い時間がかかりましたが、京都市の伝統構法住宅が無事上棟しました。

雨に打たれたり部分的に仕口を修正したりしながら進めてきた建方作業だったので、上棟した時はホッとしました。

結局、建方に取り掛かってから上棟まで、延べで合計5日を要したことになります。

 

上棟1004_3

 

 

 

 

 

 

 

 

 



上の写真は、大屋根の棟木(むなぎ)を納める時の様子です。

この棟木は長さ約9m、巾30cmの杉の一本ものです。

このような大きな材料を曲がったりねじれたりしないように乾燥させるのにはいろいろと神経を使いましたが、ねじれは全くなく、曲がりもほんの少しで納まったのでまずまず成功です。

もともとの木の性格がおとなしかったからでしょうね。

 

上棟1004_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は、2階床の高さから棟付近の構造材を見たところです。

家の中心の大黒柱の上に一本ものの地棟(じむね)がかかり、地棟の両側から丸太梁をその上に架け、さらにその上に前述の棟木が載っています。

これらの小屋組みは純然たる構造材ですが、最終的に全て化粧材として見えてきます。

細かく手の込んだ彫刻とか、意図的なデザインなどは全くしませんが、この家の最も重要なデザイン要素の一つです。

部材の太さ、曲がり、木目、向き、取り合せなどを一本ずつ考えて決定してきましたが、最終的に違和感なくまとまりました。

材料が太ければ野暮ったくなるし、細すぎると貧弱になるし構造的にも垂れたりしてくるので難しいのですが、結局はバランス感覚が最終的な判断基準になってきます。



遠い将来自分達が死んでいなくなった後も、この建物を見た大工さんがこの建物に込めた僕らの思いを木材から感じ取ってもらえるように、と考えてつくりました。

設計図書がなくなっても、わかる人には絶対に伝わります。



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建方2-3日目

前回に引き続き、建方の報告です。

足固め、胴差、差鴨居の長ほぞを入れるのに大変苦労して、建て方に要する時間と手間が大幅にオーバーしてしまいました(汗)。

下の写真のような胴回りまで組み上げるのに、結局丸3日を要しました。

 

建方0928

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしここまでが一番大変なところだったので、胴まで組み上がって一安心。

次回、また上棟までの残りの報告をします。



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建方 1日目

昨日もお伝えしたとおり、京都市内で石場立て伝統構法型木造住宅の建方作業に入っています。

1日目の様子をご報告します。

 

建方0926_1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

まずはこの家の中心にある大黒柱を立てる作業から始まりました。

この柱は2006年の晩秋の新月期に伐った、樹齢約110年の杉の柱(220mm×220mm)です。
写真を見て頂ければ一目瞭然ですが、当日はカラッとしたとってもいいお天気でした。


 

建方0926_1

 


 

 

 

 

 

 

 

 


上の写真は、この家に8本ある通し柱のうちの1本の柱脚の部分を組み立てているところです。

写真を拡大して見て頂ければお分かりになるかと思うのですが、柱は石の上に載っているだけで緊結にも金物を一切使っていません。

組み始めの段階であれば、かけやという大きな樫の木槌で叩くと、ギシギシと音を立てながら構造体全体が少しずつ右に行ったりして動きます(笑)。

きっと大地震のときには、こうやって前後左右、上下に移動したり跳ねたりしながら動いていくことでしょう。

紙相撲と同じ理屈です。



通し柱は150mm×150mmの杉の通し柱。
柱の左右から刺さってきているのは桧の足固めで、左側が120mm×210mm、右側が120mm×120mmの太さの木です

これらの木は全て静岡の同じ山から伐った木ですが、大黒柱よりも少し若い木で樹齢は約90年。
2007年11月の新月期に伐った新月材です。

 

建方0926_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大黒柱と3本の通し柱=合計4本の柱に囲まれた立体フレームが組み上がりました。

今回の構造材は、仕口の部分の長ほぞが30cmもあってとても長いのと、いちいち貫を入れて編むように組んでいかないといけないので大変です。

暑い中、大工さん達も一生懸命頑張って建ててくれているのですが、なかなか作業ははかどりません(汗)。

現場担当のスタッフと僕も、微力ながら現場で一緒にお手伝いをさせて頂いておりますが、毎日作業が終わるころにはへとへとになって体の節々がギシギシになっています。

担当スタッフは気付かないうちに何度もどこかでぶつけたらしく、脚が青アザだらけになっていました。



しかし、この建て方作業が何とか進められているのも、近隣のみなさまのご理解やご協力のおかげで、大変ありがたく助かっております。

みなさま、本当にありがとうございます。
いろいろとご迷惑をおかけいたしますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。



今回の建方の様子は少しずつビデオカメラで撮影して記録しています。
後日編集して、youtubeに投稿する予定ですのでそちらもどうぞお楽しみに。

また明日、続きをご報告します。

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