11/30(日)に、京都市右京区京北町に行き、玄関式台の化粧名栗(なぐり)加工をして頂きました。
いつも通り、ちょうなによるはつり加工をして下さったのは、原田銘木店の原田隆晴さん。
今回の材料は奈良県宇陀市で建築中の石場建て伝統構法住宅/i 様邸の玄関(というか土間の上り口)に使います。
i 様邸の間取りは、日本の伝統的な農家の形に似ているので、よく見かける農家の上り口に納まっている一枚板のような風情で、この板が納まります。
下の写真は、名栗加工をする前の状態です。
この板は、静岡市の北部で伐採した木から製材したものです。
樹齢は約130年。
標高約900mの寒~い北斜面で、少しずつ少しずつ育った木です。
伐採は2008年の晩秋。
それから葉枯らしして、足かけ6年間、東風で天然乾燥させていました。
白太はほぼ取り去ってしまい、赤身 だけになるように木取りしました。
根本の方は幅広く、末の方へ向かって狭くなるように、自然な木の板幅なりに製材しています。
板幅が400mm~600mmと広いので、木裏面には反り止めの蟻桟を入れています。
施主の i 様ご夫妻+東風2名の合計4名に、じい~っと見つめられながら、一人黙々とちょうなを振り下ろされていましたが、やはり人に見られながら仕事をするのはものすごく緊張するそうです。
(当たり前ですね。原田さんすみません・・・)
写真を撮るとシャッター音がするので、作業中の写真撮影は極力控えて、撮影音の出ない動画にしました。
以下に2本の動画をアップしておきます。
逆光のアングルで撮ると、陰影が強く出て、また違う表情になります。
上の式台のような、幅広い平面を加工するときは丸刃(蛤刃)のちょうなではつるのですが、雰囲気の違うハツリ目を出すときは、下の写真のように平刃のちょうなを使います。
この鴨居のような細い材料は、先ほどの式台の頭上に鴨居のような形で設置する無目(むめ)という部材です。
どちらもちょうなによる名栗加工ですが、床面(式台)は優しく上品な表情に。
頭上の無目は荒々しさを感じさせるようにハツリ目を大きくし、そして鋭さを出すために斜めにはつってもらいました。
これら2つの部材が、一つの空間で上下に配置されるとどうなるか、今から楽しみです。
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