投稿者「mokuzo_architect」のアーカイブ

燃費

原油の高騰に伴ったガソリン・灯油など燃料の高止まりで、いろんなものが値上げされていますね。
値上げする側も、それを購入する消費者側も、みなさんそれぞれに苦悩があると思います。



僕の車にはメーターに燃費が随時表示されるような機能がついているので、この車に乗り換えてから燃費で遊ぶようになりました。

燃費ゲージ


 


 


 




どうするのか?というと、いろんなシチュエーションを変えて走行してみて、その時の燃費を測定してみるのです。
結構おもしろいので、その結果をご紹介しますね。

ちなみに、下記のデータはすべてハイオク給油・1500ccの乗用車で測定したものです。
僕はいつもハイオクを入れています。

「何!贅沢な!」と思われそうですが、実はそんなことないんですよ。



実際にやってみてもらえればわかりますが、レギュラーガソリンに比べて、ハイオクガソリンは燃費が1割前後伸びます。
ですから、価格差が10円くらいあっても燃費が1割伸びた分で差し引きチャラなんです。

僕はこれをバイクに乗っていた時(約20年前)からいろんな車で試していますから間違いありません。



まず一番燃費が悪くなるのは渋滞中。
これは言わずもがなですね。



次が信号が多い街中を走る時。
だいたい平均すると、うちの車の場合は12~13km/l です。

でも、急発進すると燃費は一気に下がります。
一般に急発進すると燃費が下がると言われていますが、あれは本当です。
一時的ですがかなり悪くなるので、あまりオススメしませんね。

急停車・急発進などを繰り返すと、運転している人の気持ちもギスギスしてくるのでゆっくり運転するようにしましょう。



次に燃費がいいのは高速道路走行時です。
でも、これも巡航速度によって変わるのがおもしろいです。

まず120km/hあたりで走っていると、街乗り走行時とほとんど変わりません。
燃費は12~13km/l です。

速度を100km/hまで落とすと、燃費は15~16km/l くらいまでぐっと上がります。
速度を20%(120→100)落としただけで、燃費も20%くらい上がることになりますね。

さらに速度を80km/hまで落とすと、また燃費が18~19km/l まで上がります。
ここでも20%速度を落とすことで燃費が20%くらい上がっていることが分かります。

でも、高速道路で燃費を上げるのは、おそらくここまでが限界でしょう。
雪道や視界不良時などの悪条件下を除いては、80km以下で走るのはあまり現実的ではないからです。



で、最後に一番燃費がいい走行状態をお教えします。

それは、信号が無い一般道を60km/hで走行することです。
いろいろ試してみましたが、やはりこれが一番燃費がいいですね。

うちの車の場合だと、20~21km/l くらいまで燃費が伸びます。



じゃあ、走り方(=燃費)が変わることで実際どのくらい出費が変わるのか?ということが知りたくなってきますよね?

試しに100km離れたところまで移動した時にどう違うか?ということをシミュレーションしてみましょう。
ハイオクのガソリン単価を¥160-/l としますね。


高速道路を120km/h で走った場合・・・100km÷12.5km/l×¥160-/l=¥1280-
( ↑ 実際にやったら捕まりますのでご注意を)

高速道路を100km/h で走った場合・・・100km÷15.5km/l×¥160-/l=¥1032-

高速道路を80km/h で走った場合・・・100km÷18.5km/l×¥160-/l=¥864-

信号のほとんどない一般道を60km/h で走った場合・・・100km÷20.5km/l×¥160-/l=¥780-



僕は一日に100~200kmくらい車で移動することはざらにある(週1~2回)のでこんな実験ができますが、走り方を変えるだけでも結構違うものでしょう?
早く走ると時間を短縮できるというメリットもあるので、どちらを取るかは各自の判断になりますが、ひとつ言えることは、ゆっくり走るとおだやかな気持ちで走ることができてストレスもあまり溜まらず、安全です。

最初はこんなじれったいことやってられるか!と僕も思ったものですが(←実は飛ばすの大好き♪で、単車に乗っていたときはメーターを右下一杯まで振り切って遊ぶような非常に危険な運転をしていました)、最近は歳をとったせい(?)か、ゆっくり走る方が好きになってきました。

以上、ご参考まで。

古民家/石場建て伝統構法 を 高気密・高断熱で暮らしやすく
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どこまでがゴミか?

現代の建物(住宅からビルまで全てを含む)のほとんどは工業製品でできています。
鉄・ガラス・コンクリートの他、各種建材、ゴムなどなど。
一体いつからこうなってしまったのでしょうか?

建築工事の最中にはたくさんゴミ(産業廃棄物)が発生します。
うちの現場でも、工事中は何度も産廃処理場へトラックを走らせます。

全くお恥ずかしいことにこれまではそれが当たり前だと思っていましたが、このごろ
「これは当たり前じゃない。異常だ。」
と思うようになりました。
( ↑ 我ながら遅過ぎますね)



新築やリフォームをする際=工事中に出る建材の切れ端は、もちろん全てゴミになります。
つまりこのような切れ端たちは、工場で膨大なエネルギーを使って作られてから一度も社会の役に立つことなく再び処分されていくのです。



批判と誤解を恐れずにさらに言うならば。

きちんと家の構成部材として使われている建材であっても、平均すると数十年後(※)には解体されて処分場へまわります。
(※)・・・日本の住宅の平均寿命は26年

たった数十年間のためだけに、自然界に存在しなかったものをいろんなエネルギーを使って人間が作り出し(製造時)、それを処分する際に再びエネルギーを使って焼却処分する(または埋め立てる)。
リサイクルされるといわれる材料でも、リサイクルして製品化する際にはまた新たなエネルギーを消費し、その一部は一度も使われずにまたゴミになる。

それで、ゴミが処分しきれなくなって大問題だ!と叫び、新しい人工島をつくる。
CO2が大量に排出されて温暖化してきて大変だと叫ぶ。



なんかおかしくないですか?
こんなん、当たり前ですよ。
自分で自分の首を絞めているわけですから。
中国の農薬混入問題も、ある意味では根が同じ問題のような気がします。



そういうことを、このごろ毎日真剣に考えています。
何とかしないといけない、と。

確かにすぐには何とかできません。
でも今、自分なりに少しずつ準備を進めています。



答えはもうすでにぼんやりと自分の中にはあるんですが、それを実現するために必要なのは技術力ではありません。

必要なのは現在の価値観(←何に重きを置くのか?)を変えること。
そして理解が得られるように説明することです。



まだ準備・調査の途中なので全てをお話しすることはできませんが、このように感じ・行動を始めていることだけはお伝えしておきたいと思い、新たな決意表明をしてみました。

中途半端ですみません。
でも、きっといいものをお届けできるようになると思いますのでお楽しみに。

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赤松磨き丸太

昨日は京都へ行っていました。

上京区にある中儀銘木店さんで、茶室などでよく使う化粧丸太を見せていただくためです。

よく知られた北山杉の磨き丸太の他、桧やあすなろの錆び丸太、赤松・香節・りょうぶなどの皮付丸太、栗のナグリやシャレ木など、様々な銘木を見せていただき、それぞれの産地や作り方・伐採~乾燥~製品化までの工程などについて詳しく教えていただきました。
(中儀銘木店の中川さん、お忙しいのに僕達のために貴重なお時間を割いてくださってどうもありがとうございました!)

下の写真は赤松の皮付丸太を作る工程です。
高温になるドライヤーのような送風機であぶりながら、荒皮を一枚ずつ丁寧にはがしていく作業です。
(以下、すべての画像はクリックすると拡大表示できます)


赤松1


 


 





最初はこんな( ↓ )ゴツゴツした肌をしている赤松の丸太ですが


赤松2


 


 


 


 


荒皮を少しずつ少しずつ丁寧に削ぎ落としていって
( ↓右半分は削ぎ落とす前、
   左半分は削ぎ落とした後)


赤松3


 


 


 



最終的にこんな風に( ↓ )仕上げます


赤松4


 


 


 


赤松の皮付丸太は独立する前に勤めていた会社(鈴木工務店)でよく使っていたのでなじみの深い材料ですが、作る過程を見せてもらったのは初めてです。
産地の話なども含め、とても勉強になりました。



僕は2000年に独立してからというもの、化粧丸太を使う仕事はしていませんが、これからどんな形で自分の建物に採り入れていくべきかということを実際に考えてみると、非常に迷います。

というのは、思いっきり数奇屋のデザインにしてしまえば話は早いのですが、昨今求められる建物のデザイン傾向とは少し相容れないものだからです。
僕も数奇屋のデザインは細部まで心が尽くされていて大好きなのですが、現在の傾向はどちらかというと数奇屋風よりも民家風のデザインが好まれています。
(民家風のデザインと言っても、古色付けなど表面の仕上げとはあまり関係ありません。
 ちょっと簡単に言葉では説明しきれませんが、むしろ材料としての木の使い方とか、寸法とかが違うのです。)


建物というのはあくまでクライアントのみなさまにご満足いただけるように作るのが大切ですから、ここがとても難しいところです。

クライアントの皆様にご提供する【商品】として求められるデザインと、自分の設計スタンスと、素晴らしい材料とをどこでバランスを取って取捨選択していくか。
自分なりの答えは簡単には出ませんね。

この答えが出るまでには、まだまだ数十年かかるかも・・・。

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茶道の稽古

昨年末に宣言したとおり、今月から茶道の稽古をつけて頂くために週一回西宮へ通っています。

今月はすでに2回の稽古を付けていただいたのですが、10年前に習ったことはきれいさっぱり忘れていますね(苦笑)。

先生から、なぜ今茶道を習いたいと思ったんですか?と問われ、このようにご説明しました。



今回は、前回(←10年前)とはちょっと覚悟が違います。

ふくさは化繊のものではなく、正絹の高いものを買いました(←オイ。)
稽古の時に使う作務衣を作ってもらうべく、サンプル生地を取り寄せました(←オイオイ。)
今回は大枚をはたいて(←大げさ)背水の陣を敷いております。
( ↑ ただ単に形から入ってるだけとも言う・・・)
 


まぁそんなことはどうでもいいとしても、きちんと正座して、決められた型に沿って静かに一つ一つの所作を行っていくと、心が澄んで気が引き締まります。

 茶筅(ちゃせん)がコトリと茶碗にあたる音。
 茶碗にお湯を注ぐ音。
 お湯を注いだときに立ち上る抹茶の香り。
 正座でのご挨拶

先は長いですががんばります。

ブログで宣言すると、何事も絶対実行しないといけなくなるので自分のためにはとてもいいですね。



ココだけの話、実は書道もやりたいんですが(笑)これはちょっとやめておきます。

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ご紹介 『水源の森から』

昨年秋に、静岡市内で新月伐採を行った際に協力をお願いした林業家(Yさん)が『水源の森から』というブログを立ち上げられたようです。
今発見しました。
( ↑ Yさん、ブログ作ったのならお知らせして下さいよ~)

自然をとても身近に感じられる情報を提供されています。
さすが林業家ですね。

温暖な静岡でも今月は雪が降ったようで、きれいな雪景色の写真や、鷹の写真も紹介されています。
ぜひ一度覗いてみて下さい。



僕は2月中旬にまた静岡へ行く予定です。

今回は、上記のYさんを含めた6人(←うちのイトコもそのうちの一人)のグループ・静岡市林業研究会 森林認証部会(SGEC)のみなさんの山を見せていただくためです。
上記のブログとは別に、静岡市林業研究会 森林認証部会(SGEC)のホームページも新しくなったようですね。



山に入るとすごく気持ちいいんですよ。

携帯電話はもちろん圏外♪
車の音も届かない
聴こえてくるのは風に揺られる葉の音や鳥の声

という具合で、生命のエネルギーを体全体で感じることができて心が洗われます。

今からとっても楽しみです。

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感謝の薪

薪

原油が高いですね。
ということで、ガソリンも灯油も高くなっています。

そのあおりを受けてか、例年に比べて薪ストーブの売れ行きが好調(なのか関心が高いだけか?)だそうです。

このところ、うちのクライアントのお宅に
「薪ストーブが欲しい!」
という方が増えてきました。

そんな皆様が頭を抱えるのが薪の調達です。

正直、薪は高い!です。
針葉樹だったら安いんですけどね。
(建築用木材の廃材はほとんど針葉樹で、これらはいつも処分費を払って産業廃棄物処理場へ持って行っています)

鋳物でできたストーブに針葉樹は温度が上がりすぎてストーブを傷めるということから、必ず広葉樹の薪を使うように、と言われています。

( ↑ これ、よく聞きますけどホンマでしょうか?
  僕の静岡の祖父の家では、昔からず~っと針葉樹も広葉樹もごちゃ混ぜで
  薪ストーブを焚いていますが、壊れたところ見たことない・・・。
  でも、おしゃれで高価な薪ストーブではなくて、安価で庶民的な
  薪ストーブなんですが・・・)

で、この前思いつきました。

クライアントのみなさまへの感謝の印として、1年に1回くらい、2トントラック満載の薪を数軒で分け分けしてもらおうか、と。

薪ストーブを買う!という方は、たいがいチェーンソーとナタくらいまでは準備されます。
でも、トラックまでは用意されることは大変なので、大量に不要な原木をもらってきたりすることは不可能です。

でも、うちの事務所のトラックで要らなくなった原木をどこかにもらいにいければ、あとは各自クライアントの皆様がうちまで引き取りに来てもらって、うちのトラックで持って帰る(軽トラはまた返しに来てね)というシステムにすれば、なかなか喜ばれるんじゃないか?と思っています。

今年中に一度試してみよう!

ただ、これを商売にすると本末転倒になるので、あくまでクライアントのみなさまへのお礼の気持ちとして、実費(ガソリン代とか)のみ負担してもらって、手間代などは不要。
しかも頻繁にこんなことばかりはできないので、年1回だけですよ、というアイデアです。

薪ストーブを設置するお宅が増えてきたら、各家の取り分が少なくなる・・・など今から不要な気苦労をしておりますが(笑)、こういうのってなかなかいいプレゼントやん、と我ながらちょっと気に入っているアイデアです。

ぜひ実行してみてまたご報告します。

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前回の記事でお知らせしたお店はこちら

昨日の記事で触れた奈良のごはん屋さんは、【はちみつ】さんというお店です。
ホームページがありましたのでご紹介します。

でも連れて行ってくださったOさんによると、予約しないと入れないという盛況ぶり(←納得。)だそうですから、行かれる方は前もってご連絡を。

食を通じて考える家づくり

年が明けてからというもの、業務に追われてブログの更新が滞っております。
いつも覗きに来てくださるみなさん、申訳ありません。



昨日は新しいクライアントとの打合せで奈良に行っておりました。

【食】をとても大切にされているOさんご夫妻に、近鉄奈良駅近くのOさんお気に入りのお店に連れて行っていただき、とても美味しいお昼ご飯をごちそうになりました。

奈良のごはん


 


 


 



お店の名前とか場所とか全然覚えていないのですが(ゴメンナサイ)、もうメチャメチャ美味しかったです。

味付けにはほんの少しの塩だけしか使わず、野菜(=素材)の持っている味をぎりぎりまで引き出すというスタンスでつくられる料理は本当に素晴らしかったです。
もちろんこのお店、素材にはとことんこだわっていらっしゃいました。

このお店の料理に対する考え方は、根本ではうちのデザインスタンスとよく似ているなぁと思いました。
僕が建物を設計するときは、木の量感・素材感を充分に活かすため、それを殺してしまう余計なものは極力足さないようにします。

やはりどの道でも基本は同じですね。



その後Oさんのお宅にお邪魔して、新居のイメージをつかむためにいろいろお話をうかがっていきました。

打ち合わせを始める前に、骨董好きのOさんが食器(陶器や磁器)に関するいろんな解説をしてくださっている最中、10分くらいかけて奥様がコーヒー豆をガスコンロで焙煎し、とっても美味しいコーヒーを淹れて下さいました。

僕は未焙煎のコーヒー豆が一般に売られているとはこの時まで知らなかったので、それにまずビックリ。
そして淹れてくださったコーヒーのあまりの美味しさに2度ビックリ。

これからはうちでもコーヒー豆を焙煎しよう!
と決意しました。

コーヒーが好きな方はぜひお試し下さい。
無茶苦茶オススメです。

焙煎と言ってもそんなに難しいことはなく、こんな道具の中にこんな感じの生のコーヒー豆を入れて家庭用ガスコンロで煎るだけです。
その後は、通常通りミルで豆を挽いて淹れればいいのです。

これで飲むと、
「今までのコーヒーは何だったんだ?」
と思うくらい、おいしいですよ。



と、建築や家づくりとは全然関係ない話をしていますが、やはりOさんのご自宅にうかがってとても良かったと思いました。
なぜならそれは、食にこだわるOさんのライフスタイルの一端を実感することができたからです。



当初、昨日の打合せには、Oさんが

「さとうさんの事務所に行きますよ」

と申し出て下さいました。



でもそこで、

「Oさんの普段の生活スタイルがどんな感じなのかを見たいので、できればOさんのご自宅にうかがいたいのですが」

とこちらから申し入れたため、Oさんが大好きな料理やコーヒーを一緒に味わうことができたのです。

これはOさんの家づくりに着手する前の最初のイメージ作りに、大きな影響を及ぼします。



家というのは、出来上がって比べてみると良~くわかるのですが、クライアントの個性が思いっきりにじみ出ます。
そしてその家に入れば、その差は歴然として誰でも感じ取れるものです。
(昨日打合せ中にOさんともその話をして、過去に数件当方で設計した物件をご覧になっているOさんも、その違いを実感しておられました)

家づくりには、要望される機能やデザイン、材料の質感ももちろん大切なのですが、そんなことは正直言って2の次です。
何より



【 そこに住む人たちの生活スタイル・考え方 】




が一番大切です。

これから家づくりに取り組まれる方は、そこを作り手にきちんと理解してもらえる努力を絶対に怠らないようにして下さいね。

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偽装について思うこと

昨年は食品偽装事件が多かったですね。

先週末にテレビの報道番組で関サバと称して販売していた大手スーパーや回転すし店の商品が関サバではない、ということを突き止めていく取材報道を視ていました。
良いとか悪いとかの批判は他の方にお任せするとして、僕は自分自身の問題に照らし合わせて考えてみたいと思います。



それは木材の生産地偽装ということです。

正~直なところ木材の生産地詐称については、それが仮に行われていたとしても厳密に見破るのはとても無理です。

「一般的な傾向から考えておそらく違うと思われる」
というような曖昧なことは言えても、個体差もあり、山の斜面の向き(東西南北どちらを向いているか)や標高・土壌によって、木材の目(年輪)や色は全く違ったものになります。

それこそ、半径10キロと離れていない2つの生産地間でも、それぞれの産地に標高差が数百メートル(※)もあれば、木材の質は違います。
それだけ微妙なものなのです。

※ 例えば、1つは山の麓の森、もう1つは山の尾根に近い森であれば、平面距離ではお互いにすぐ近くの森であっても、標高差が3~400m発生するのはざらにあることです



故意か否かは別問題として、そういう意味では製品化された木材の質だけから産地詐称を見分けるのは無理な話です。

まぁ国産材か否か?ということを見分けるくらいなら、95%以上の確率でできますけどね。



木材の産地詐称品にお金を払いたくない、という場合は認証林(FSCやSGECなど)の木材であれば、産地・生産者を特定することはできます。

「認証林の木材だけを使って欲しい」
とあなたが建設業者に頼めば、それを実現することはさほど難しくなくなってきました。

でもうちでは認証林制度にあまりこだわっていないので、当面は設計事務所としての認証材サプライヤー(供給者)の資格を取る予定はありません。



今のところ、うちで産地を明確に特定できる木材の供給方法としては、認証材を使う以外に、静岡で作っている新月伐採材があります。
ただし、これは一般の認証材(FSCやSGEC)よりも数段高い履歴作業を行っています。
(というか、実はこの木は全てSGEC認証材なんですけどね)

なにしろ、一本一本に伐採時に個別ナンバリング(番号付け)を行い、生産者・生産地だけでなく、どの山のどの斜面の木か?そしていつ伐った木かという伐採年月日まで分かるようにしているからです。
そしてこの材に関しては、伐採時に新月の木国際協会の認証を受けています。

下の写真を見ていただければ分かると思いますが、伐ったらすぐに木と切り株の両方に1本ずつ固有の番号を振っています。
(画像をクリックしていただければ、拡大表示されてよくわかると思います)

新月材のナンバリング


 


 


 


 


 


 






しかし、僕にとってこの作業の目的は詐称を防ぐためではありません。
新月期という、木材にとって良い伐採時期を選んで伐っているということをきちんとクライアントに伝えるためです。

そして可能であれば、伐採時にエンドユーザーであるクライアントに静岡まで行っていただき、クライアントご自身に伐採現場に立ち会っていただく、という作業をお奨めしています。

2007年11月に行った伐採でも、京都からわざわざクライアントのNさんご夫妻に静岡まで来ていただきました。
Nさんには、木が生きているんだということを実感していただけたようで、林業家(生産者)と会話を交わすことなどを含めて、消費者・生産者双方にとって貴重な機会を提供しています。



詐称かどうか?ということに目くじらを立てるのは、消費者利益を考えれば確かに必要なことだと思いますが、ただそれだけのこと(意味・価値)にエネルギーを浪費するのは少し寂しい気がしますね。
もう少し別の、もっと深くて大切な価値があると思うんですが・・・。

そんなことをテレビを見ながら考えました。



2007年11月の新月期に伐ったこの木材は、現在静岡で葉枯らし乾燥中です。

3月中旬までこのまま葉枯らし乾燥を行い、現場ごとの必要な長さの木材に伐ってから製材にまわし、その後自然乾燥させてから刻みます。

この材に関しては、絶対に人工乾燥やプレカットは受け付けません。
なぜなら、それだけ自信を持っているサービス・商品だからです。



現在、あと1棟分だけこの木材の使用枠があります。
興味をお持ちの方は、お手数ですがまずこちらのページをお読みになってからお問い合わせ下さいね。

できれば、玉切り(3月)・製材(4月)作業にも立ち会っていただいた方がより深い満足感が得られると思うので、お申込はお早めに。

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年末にクライアントから頂いたプレゼント

年末、12/30の晩のことです。



川西市で1昨年リフォームを行ったクライアントの I さんから電話があり、
「お届けしたいものがあるので今から事務所に伺ってもいいですか?」
と言われました。


特に用事もなかったので、どうぞいらして下さいと言ったところ、15分ほどしてから I さんがお見えになりました。

持ってきてくださったのはかすうどんに入れる【かす】とよばれるもので、牛の腸(←てっちゃんのことらしい)を乾燥させたものと、手作りの生ハムでした。



詳しく聞いたところ、かすはどうやら1昨年の工事中に、I さんが僕にかすうどんの話をしてくださって、僕が食べたことが無いと言ったのを憶えていてくださり、わざわざ買って来てくださったそうです。

そして I さんは最近生ハム作りに凝っていて、一斗缶を利用したスモーカー(燻製器)使って自宅で生ハムを作っているそうです。


そしてその作った生ハムをぜひ僕に食べさせてあげたい!と思ってメチャメチャ寒い中、原チャリを走らせてわざわざ届けてくださったのです。


 


そして I さんが好きなそば茶を淹れて事務所の和室で話をしていると、今 I さんは、竣工してからも自宅で使う家具を少しずつ作り続けていて、
 〇 キッチンのローボード(2台)
 〇 書斎の本棚
をすでに完成させて、現在はリビングのテレビやオーディオなどを置くAVボードを製作中なのだとおっしゃっていました。



その話を聞いて、なんだかとても嬉しくなりました。 

うちでつくらせてもらった建物の中に、さらに自分でいろんな造りつけの家具を作って取り付けていること、ご自宅で生ハムを作って下さっていることなどから、家に対する I さんの愛情が感じられたからです。



自分が手がけた建物が大切に使われていると感じられることは、設計者としてはこの上なく幸せなことです。

年末にクライアントから頂いた、うれしいプレゼントでした。