投稿者「mokuzo_architect」のアーカイブ

なぜステンレスか?

ステンレスへのこだわり


 


 


 


 


 


 



上の写真、何だと思いますか?

そう、キッチンの排水用フレキシブルダクト(配水管)です。
でもね、よ~く見て下さい。
(画像をクリックすると拡大できますからわかると思います)
この配水管はなんとステンレス製なんです。

ほとんど全てのお宅のシステムキッチンは、これが塩ビ製の配管だと思います。



もう1週間も前になってしまいましたが(スミマセン・・・)、大阪の谷町にあるキッチンのショールーム・le pur (ルプ)さんへ行ってきました。

京都市内で設計中のNさんのお宅のキッチンの打合せです。

Nさんはステンレス製の気兼ねなく使える実用的なキッチンがいいとのことで、ステンレス製のキッチンを販売されているいくつかのメーカーをご紹介したところ、le pur がいいとおっしゃったので一緒に行ってきたわけです。



le pur の平尾社長とは、昨年末に東京で行われたNPO法人・新月の木国際協会の年次研究発表会で初めてお会いしました。
明るい大阪のおばちゃん(←失礼)という感じの快活な女性、というのが僕の第一印象。

le pur さんではオールステンレスのキッチンを一つ一つ自社で設計し、製作・販売を行っています。
ホームページにも書かれていますが、製作時にエネルギーコストはかかるけれども、耐久性の高い何世代にもわたって使い続けられるものを提供したい、ということからステンレス製にこだわっておられるそうです。



でもどうも僕は腑に落ちないことがありました。

どうしてステンレスのキッチンをつくっている人が新月の木?
というところです。

で、今回ショールームに行った時に平尾社長に尋ねてみました。
「どうしてこの商売を始められたのですか?」と。



le pur さんは2000年にご商売を始められたそうですが、もともとは化学物質過敏症で苦しんでおられるお客様のために、「接着剤・揮発性有害化学物質を一切使わないキッチンを妥当な価格で提供したい」ということが起業の際のコンセプトだったそうです。

一般のシステムキッチンメーカーではオールステンレス製のキッチンであってもステンレスとステンレスの接合部には接着剤を使っていることが多いそうです。
( ↑ これは僕も今回はじめて知りました)。

しかしle pur さんでは、過敏症のお客様のに対しては接合部に全く接着剤を使わない、全て溶接によるステンレスキッチンを提供しているそうです。
(ただこれは組上げる職人の手間がかかって価格が上がってしまうので、過敏症でない方に対しては極めて安全性の高い接着剤を使っているとのこと)

そしてお客様が将来キッチンをどうしても処分しなくてはならないような事態になってしまった際には、リユースしていただけるように自社製品の中古バンクシステムも立ち上げ、それでも引き取り手が見つからずにスクラップにする場合には、そのまま全~部炉に放り込んで再生できるように、ということを考えて上述の排水ダクトまでステンレスにされているそうです。

ダクトや排水トラップの部材を全てステンレスにしているのには、排水口のヌメリがつきにくくするためという意味もあるそうです。



他にもいろんなこだわりが各所にあるのですが、全部種明ししてしまうとおもしろくないので、もっと詳しく知りたい方はle pur さんのショールームへ行ってみてください。



今回一緒に行ったNさんも感じられたようですが、やっぱり作り手の想い・こだわりが深い製品はいいものです。

僕は、物づくりおいてはコンセプトが何であるか?というのが一番大切だと思っているのですが、今回は平尾社長の口からその想いを直接伺うことができてとてもよかったです。

なんだか今回の記事は le pur さんの営業みたいになってしまいましたね(笑)。




オマケ

今回僕がいいなぁ~と思った商品はこちら(↓)

datchoven


 


 


 



リンナイの商品ですが、魚焼きグリル部分に鋳物のダッチオーブンが入れられるようになっていて、このダッチオーブンでいろ~んな料理ができるというスグレモノ。
これならピザ以外はすべてこのオーブンでできるので、ガスオーブンは要らないかも。
パン・ケーキ・グラタン・カレーなどはこれで充分できそうです。

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世界に、300年先も美しい風景を

吉野の杉

昨日、奈良県吉野に行ってきました。
奈良市内で数年後に建てるOさんのお宅に使う木を見に行くためです。

Oさんの奥様は吉野のご出身で、お父様が林業家です。
ご先祖の皆様が代々作ってきてくださった吉野杉を使って、これから4~5年かけて家を建てます。
もちろん、今回木材を出してくださるのはお父様です。

まず今年の7月ごろに木材を伐採し、葉枯らし乾燥させます。
(吉野ではこの時期の伐採が一般的なんだそうです)

その後、ヘリコプターで出材→製材→2年間天然乾燥させてから、ようやく建て始めるので、着工は2010年の夏以降になる予定です。

昨日はOさんご夫妻を含め、総勢5名で山を登り、伐採予定現場まで行きました。
使わせていただくのは、樹齢120~130年の吉野杉です。

下の写真で木に抱きついているのがOさんご夫妻。
木の太さがよくわかりますね。
お二人とも、とても嬉しそうでした。

吉野の杉

こうやって立ち木の状態から木材を見ることができると、
「あぁ~この木からうちの家ができるんだ・・・」
という気持ちになって、感慨深いですね。

〇 木が育った山
〇 木を育ててくれた人たち
〇 製材してくれる人
〇 刻んでくれる人

など、家ができるまでには、いろんな方々が関わってくださいます。

決して高価な材料を使うわけではなくても、これら様々な人たちの想いが重なり合ってできる家は、お金の価値以上の魅力がありますし、携わってくださる人たち(作り手)も
「俺たちが作った材料はこういう人が住んでくれる家になるのか!」
と、とても喜んでくれます。

出来上がってしまってから入手すると、確かに家は
【モノ】
かもしれませんが、それだけを買うのはちょっと寂しい気がしますよね。

どの家もこういう作り方ができるといいのになぁ、と僕はいつも思うんですが、銀行融資制度などの制約があって、なかなか現実的にはクリアしないといけないハードルがいくつもあるのが現状です。
(決して、高くつくということではないんですけどね。
 周到な準備や根気がまずは必要です。)

でも、一歩一歩そのハードルを低くすべく、努力を重ねています。
どうぞご期待下さい。

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住宅ローンの取材をしてきました

2/26(火)に、関西の地方銀行のローンご担当者の方( i さん)にご協力頂いて、住宅ローンに関する基本的な事柄についてインタビューをしてきました。
(大変お忙しい中、貴重な時間を割いてご協力いただいた i さん・早崎さん、どうもありがとうございました)



その結果をQ&A形式にまとめてこちらのページに掲載してみましたので、興味のある方はご覧になってみてください。

ちなみに今回ぶつけてみた質問の内容はこちら(↓)。


――――――――――――――――――――――――――――――――
 【Q1】 そもそも住宅ローンって何?一般の融資との違いは?


 【Q2】 住宅ローン融資金額に上限はあるか?


 【Q3】 住宅ローンで土地のみ(更地)を購入することは可能か?


 【Q4】 仮審査とはどういうことか?本審査とどう違うのか?


 【Q5】 市街化調整区域内の不動産物件に対する融資は降りにくい?


 【Q6】 なぜ、市街化調整区域内の物件に住宅ローンが降りにくいのか?


 【Q7】 住宅ローンの契約後、すぐに返済が始まるのか?


 【Q8】 据え置き期間というのは通常どのくらいか?


 【Q9】 据え置き期間を長くして欲しい(1年半、2年それ以上等)と言うと
     どうなるか?


 【Q10】 つなぎ融資とは何か?


 【Q11】 なぜ据え置き期間は通常1年以内なのか?


 【Q12】 住宅ローンの契約時の金額と実行時の融資金額が変わったら
      (高額になったら)どうなる?


 【Q13】 着工後、工務店との間にトラブルが生じたりして
      工事がストップした場合はどうなるか?
            ( ↑ 工期内に住宅が完成しない場合)

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

ご意見・ご感想などありましたら、さとうまで送って下さい。

 



これから住宅ローンのご利用をお考えになっている方のお役に立てれば嬉しく思います。

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新しいホームページを作成中です

実はホームページをリニューアルすべく、ようやく重い腰を上げて少しずつ少しずつ作業に着手しております。

現在のホームページは、2005年の秋にデビューして2年少し経過していますが、情報を継ぎ足し継ぎ足ししていった結果、全体像が見えにくいサイトになってしまっております。
(一方でいろんな方からお褒めの言葉を頂いており、
 とても光栄に感じております。
 これもみなさんが当方のサイトを見に来てくださるおかげです。
 どうもありがとうございます。
 感謝 m(_ _)m )



目指しているのは、見てくださる人に判りやすく情報をお伝えし、知りたいことがすぐに探せるような明快で便利なサイト。
これから家を建てたいと思っておられる方にとって、有益な情報を提供できるサポートサイトになるように心がけています。

お披露目は4月ごろの予定です。
どうぞお楽しみに。

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住宅ローン

ご報告が遅くなり、申訳ありません。
ようやくほんの一息つける状態になったので、久々に投稿します。
(↑ホンマはこんな状態ではダメなんですが・・・)



先週の火曜日(2/26)に、ある地方銀行の住宅ローンご担当者の方に時間を割いていただき、住宅ローンに関するいろんな質問に答えていただきました。

僕は住宅にどっぷりつかった仕事をしていながら金融情報にはうといので、これまではどうしてもその部分のサポートが手薄くなっておりました。
(クライアントの皆様、申訳ありません)

今回いろいろと情報を仕入れてきましたので、住宅ローンの基本的な枠組みや制約などが良くわかりました。



何とか今週前半には、この仕入れてきた情報を皆さんに役立てていただけるように、ニュースレターとメルマガで流したいと考えています。
(ブログに掲載するのにはちょっと情報量が多すぎるので、ブログには掲載しないと思います)

どうぞお楽しみに。

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300年前の備前藩主・池田光政の思い

日本民家再生リサイクル協会のイベントで昨日、岡山県に行ってきました。

岡山もやっぱり雪で、当初予定していた吹屋と備中高梁には行けなかったのですが、備前市の閑谷(しずたに)学校と倉敷へ行ってきました。

今回は閑谷学校のことをご報告します。

閑谷学校2

閑谷学校というのは、江戸時代の備前藩主・池田光政が庶民の教育を目的として1670年(寛文10年)に設立した藩校です。

徳川光圀・保科正之とならんで、天下の3名君の1人に挙げられる池田光政は、藩政の目標を儒学の教える仁政の実現に置き、儒者を次々と招きここを教育の場としたそうです。

この閑谷学校の敷地内に点在する25の建物は重要文化財に指定されており、そのほとんどが備前焼瓦で葺かれています。
そして講堂は、現存する学校建築としては世界でも最古のものだそうで、国宝に指定されています。

下の写真は講堂の内部の写真です。
(クリックすると画像を拡大表示できます)

閑谷学校1

僕はこの閑谷学校を10年ほど前に訪れています。

その時は備前焼の瓦の美しさに圧倒されて、ひたすら写真を撮りまくっていましたが、今回は木材やデザインのプロポーション・木割などを見てきました。

前回来た時になぜこれを見抜けなかったのか?と我ながら情けない思いだったのですが、まずは使われている材料のあまりの素晴らしさに驚嘆しました。
柱はすべて樹齢4~500年は軽く経過していると思われる、芯去り桧の四方柾20cm角。
(講堂内部の欅の丸柱は入室禁止のために見ることができませんでした)

そして昨日僕が一番感動したのは、その建物群の配置計画でした。

当時の藩校で教えていたのは儒学です。

ということで閑谷学校の敷地内には、孔子を祀るために孔子の聖廟が建てられています。

ここで下記の写真を見てください。

閑谷学校3

閑谷学校へ通ってくる生徒たちは、まず学校の敷地の手前に設けられた堀を越えるために、橋を渡らなければなりません。

そして、その橋の向こうに見えるのが校門で、校門の左奥に見える一番大きな建物が講堂(=校舎)です。

上の写真だと少し判りにくいのですが、門の向こうに小さな建物が垣間見えます(下の写真を見てください)。

閑谷学校4

 

このように校門の奥に見えるのが孔子の聖廟です。
つまり、生徒たちは、毎朝必ずこの聖廟に真っ直ぐ向かって登校してくるのです。

そしてこの聖廟は、この敷地内で一番高い地盤に建てられています。

備前藩主・池田光政の教育にかける思い、そして人を育てるということに対する情熱が300年以上の時を経て建物を通じて伝わってきました。

久々に感動した建物でした。

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図書館

(あらかじめお断りしておきますが、今回はかなりコアな専門家向けのネタですので、一般の方にはちょっと興味がわかないかもしれません。
ご了承下さい)

昨日は現場からの帰路、母校(関西大学)の図書館へ寄ってきました。

僕は2ヶ月に1度くらいのペースで母校の図書館に行きます。
うちの学校の図書館はとっても強力で、建築関係の専門書の蔵書はすごいんですよ。
僕ら卒業生はいつでもその本を借りられるし、もちろん館内での閲覧もできるのでとっても重宝しています。

建築関係の本は高いんですよね。
いい本は絶版で売ってないし、古本屋で探すと平気で4~5万とか、中には8~9万なんてのもザラです(それでもホンマにいい本は少ない・・・)。
しかも、いまはインターネットで蔵書の検索もできるし、貸し出し中かどうかの確認や予約までできるのですから助かります。

龍光院修理報告書

昨日の目当ては、文化財の修理報告書です。

関大図書館には日本全国の国宝・重要文化財修理報告書約800冊くらいを収蔵しているようです。
この手の資料は一般販売されていないので、ホンマにありがたいし、しかもその内容が事細かく書かれていて、とても興味深いです。
(一般の方が見てもきっとおもしろくないと思うのですが・・・)

昨日借りてきたのは、桂離宮、曼殊院門跡本堂と大徳寺龍光院書院の文化財修理報告書の3冊です。
ついでに、写真集も2冊借りてきました。
(本当はあと10冊くらい借りてきたかったのですが、卒業生は上限5冊までとされているようです)

他にも三渓園とか法隆寺とか園城寺の修理報告書も閲覧したのですが、それらはまた次回にすることにして、今回は上記の5冊を借りてきたのです。

やっぱりさすがに国税使って修理しているだけあって、きちんとこういう報告書作ってくれているんですね。
ありがたいことです。

昔の大工の仕事(仕口や継手、使用材料や大きさなど)もきちんと写真や文章で記載してくれているし、腐朽状態や床下・小屋裏の仕事の状況などがこれを読むとよ~く判ります。
がんばって勉強します。
(っていうか、本読む時間が足りなくて、ドンドン本が山積みされていってますが・・・)

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擁壁 床付検査

床付中間検査


 


 


 


 


 


 


 


 


昨日、西宮市内で工事中の現場で市役所の中間検査を受けました。

床付(とこづけ)という工程の検査で、地盤の掘削が完了したらその地盤の固さが充分かどうか?ということを確認しにくるわけです。
今回掘った深さは何と5m。

前面道路と敷地の高低差が4m強あるため、このように深い掘削作業になりました。



上の写真の右側の方がその固さを調べています。

調べ方はいたって簡単。
T字型のニードル(直径1cmくらい)を地面に突き刺し、その上から体重をかけてそのニードルがどのくらい沈むかを見て判断します。
今回の地盤は、全く問題ないということで、無事検査も終わりました。



このところの雪続きの天候で、地面の掘削工程が遅れています。
雪が降ると、山の上にある残土処分場への道をダンプが通行できなくなり、残土処分ができなくなってしまうためです。
この遅れは母屋の工期を短縮できるように知恵を絞って挽回したいと思っています。

今週はこの後、栗石を入れ、捨てコンクリートを打ち、墨出しをしてから後半は鉄筋の組み立てです。

来週月曜日には、また鉄筋の検査を受けるために役所の方に足を運んでいただく予定です。

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日本画

ここ1週間ほどの間に、立て続けに二人の巨匠の日本画を観てきました。



一人目は桃山時代の日本画家・長谷川等伯。

狩野探幽とともに僕が大好きな絵師の一人ですが、今回観てきたのは、京都市東山区・智積院(ちしゃくいん)蔵、国宝障壁画・楓図(かえでず)です。
(現在、智積院では特別公開として、寝殿を公開中。
 ここでは堂本印象筆の襖絵と長谷川等伯の羅漢図も観ることができます)

たまたま僕達が行ったときには、等伯に心酔している(と思われる)ボランティアガイドのおばちゃんが、この楓図や等伯の人生について説明してくれたので、より一層この名画を堪能することができました。

楓図の横には、26歳という若さでこの世を去った等伯の長男・久蔵が書いた桜図(これも国宝)が並んで配置されています。

等伯の息子・久蔵が25歳の時に書いた春爛漫の八重桜はとてもエネルギッシュでみずみずしく、華やかな美しさなのですが、これを描き切った翌年に久蔵は亡くなっています。
(久蔵のあまりの才能に嫉妬したため、誰かに殺されたのではないかという説もあるようです)

その悲しさをぶつけた渾身の作が、父・等伯55歳の時に描いた楓図だそうです。
秋の紅葉の盛りを色鮮やかに描き、老木の風情と迫力が迫ってきます。

絵の美しさもさることながら、その描かれた当時の背景や作者の心情に想いを馳せると、なお一層味わいの深いものでした。

長谷川等伯は南禅寺・金地院にある『猿猴捉月図』や上野の国立博物館にある『松林図』など水墨画が有名ですが、この楓図は金箔地に豊かな彩色を施した障壁画です。



そして一昨日東京出張の帰りに駆け足で観てきたのが、横山大観です。
(現在、東京六本木の国立新美術館で開催中。3/3まで)

僕は横山大観の作品展を観たのは初めてですが、とても繊細かつ大胆に自然を描く構図の素晴らしさと細やかな色使いに心打たれました。

その前に渋谷で一日中講習会に出席していたので、美術館に入ってから出るまで30分しか観られなかったのが残念でしたが、とても素晴らしい作品ばかりでした。
本当は3時間ぐらい観ていたかったくらいです。
観ているときは、感動でプルプルと小さく震えてしまいました。

なぜかは判りませんが、大観の作品を観ていると
「日本人で良かった・・・」
と感じました。

東京へ行かれる方は、ぜひこの機会にご覧になられることをおすすめします。

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静岡の桧

気付けば前回のブログの更新から10日も経ってしまっていました。
すみません。

出張に行ったりしていたので、ネタは充分たまってますから、今日からまたチョコチョコ更新していきます。
どうぞお楽しみに。

静岡の桧-1

一昨日は静岡へ行ってきました。

静岡市内の林業家グループ(SGEC認証林)の山を見せていただくためです。

上記の林業家グループはこの6人の林業家が協力し合って活動されていますが、同じ静岡市内で木を作っているとは言え、それぞれの山は土壌や地形も少しずつ個性が違っているので、当然のことながらそこから生産される木(杉・桧)も性格が違います。
(こういうところがとてもおもしろいんですよね!)

今回は2ヶ所の山に入らせてもらいました。

1つ目は枝打ちをして40年生前後になると伐採し、節のない桧の柱を作っている武田さんの山。

2つ目はとても赤身の大きい桧を作られている大石さんの山です。

静岡の桧-3

現在大石さんが作業をされているのは、75年前に植林された桧の森(上の写真)です。

大石さんは劣性間伐(れっせいかんばつ)と言って、同じ75年生の桧でもあまり太く育っていない木だけを選んで伐採し、太い木をさらに育てるために残す作業をされているところでした。

今回はおよそ30~40%の木材を間伐するそうですが、この間伐作業によって風倒木(※)などによる材の傷みのリスクを減らすことができるようになります。
※ 風倒木(ふうとうぼく)とは、台風など強い風を受けて倒れてしまう木のこと。
 木が強風で倒されてしまう時に、生きている木の幹を傷つけたりすると、
 そこから腐りが入って木が立ったまま枯れてしまったり、その傷が商品価値を
 落としてしまうことがあります。

間伐して木を間引いてあげると山の地表面に光が入るようになるので、下草の植生も豊かになり、山も健全な状態になっていきます。

多くの品種の下草が山を覆って根を張れば、それだけ山の保水力が上がります。
すると大雨の際に洪水が起こるリスクを減らすことができ、同時に川を通じて海に流れ込む水の質も良くなる(滋養が高い)ので、海の生態系を豊かにすることにも貢献します。

今大石さんが間伐されている木は75年生と言っても細い木ばかりなので、年輪の間隔が細かく、非常に緻密でとてもいい材料でした(下記写真参照)。
出荷した際の市場の評価も高かったようです。

静岡の桧-2

(画像をクリックして頂くと、拡大画像で僕の手の大きさと年輪の細かさを
 比べてみることができます。
 白太が薄く、赤身がとても大きいのがいいですね)

夜は静岡市内で他の林業家のみなさんも交え、楽しくお酒を呑みながらいろんな情報交換をしました。

木造の建物をつくるという最終目的は同じと言っても、林業家と建築家とではやはりそれぞれの専門性が異なるため、これまで知らなかった山や木に関する新しいことをいろいろ教わることができて非常に有意義でした。

僕からは日本の古い木造建築物(古民家や社寺など)の耐震性について最近徐々に解明されてきている事柄についてお話しました。

今年はたびたび静岡に行くことになりそうなので、今後お互いに協力し合うことで新しい取組みができそうです。

楽しみ、楽しみ ♪

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