投稿者「mokuzo_architect」のアーカイブ

うっかり・・・

昨日、京都での打合せを終えて伊丹まで車で帰ってきて、
「あれっ?もしや・・・」
と思い至り確認してみると、どえらいことに気付きました。

普通免許(車)の期限が切れている!

ガ~ン。
誕生日から1ヶ月以上過ぎてしまっていたのでした。

そういえば、3ヶ月位前にハガキを見たような覚えもあります。



もしかして、免許取り上げられてしまうんだろうか・・・とメチャメチャブルーな気でて伊丹警察署へ行き、交通課のおまわりさんに事情を説明すると、

「期限が切れてから6ヶ月以内なので(←というか僕の場合まだ10日しか経っていませんが)、視力・聴力などの検査を明石の免許試験場で受けてもらえれば大丈夫ですよ」

とのこと。



よかった~。

みなさんはこんなことにならないように気をつけて下さい。

景観を守るために

すっかりブログの更新が滞ってしまいました。
楽しみにしていてくださる皆さん、ゴメンナサイ。

先週末に京都市内へ行った折、岩倉の円通寺へ行ってきました。

円通寺

 

 

 

 

 



ここは市内の便利なところからは離れていて、アクセスが少し不便なので観光客も少なくてお気に入りの場所です。

比叡山の借景庭園として知られているお寺ですが、僕は年に1~2回くらいのペースでたまに行きます。
比叡山の借景庭園には、他にも北区に正伝寺(しょうでんじ)などがあります。
ここも全~然人が来なくて静かなお寺でなかなかいいですよ。



ところで冒頭の写真を見て驚かれた方もいらっしゃるかと思います。
( ↑ そんなあなたは、かなりの筋モンですね)

というのも、円通寺はこれまで一切の写真撮影を禁止していた(僕の記憶の範囲だと・・・)のですが、今回行ったところ、庭園方向に限っては撮影を許可していました。
(建物は撮影不許可)

今回は帰りがけに、玄関でご住職がたまたま話しかけてくださったおかげで、円通寺周辺の景観を守るために、ご住職が過去数十年間にわたって並々ならぬご苦労・ご尽力をなされてきたことを知ることができました。



現在は円通寺から眺める景観を守るために、この一帯には景観規制が掛けられています。
高い建物は建てられなくなり、建物の屋根の色・形などにも制限があります。

ご住職は40年前から円通寺の景観を守るために、いろんな努力をされてきたそうです。



誤解を招く恐れがあるのであまり詳しくは書きませんが、ご住職は

 〇 景観が良くなれば京都に来る観光客も増える。
             ↓
 〇 そうすれば地元の企業も潤って、自治体の税収も増える。
             ↓
 〇 そして税収が増えればさらに景観を良くするための活動にも力が入る

という好循環を起こすことが必要だとお考えになっているようです。
自分とこの景観さえ守れればいいというような偏狭な考えではなく、みんなのための益となる方へ向かうように努力されているところが素晴らしいと感じました。



京都市内で建築する際の様々な規制がありますが、これまでは役所からその規制内容について条項として聞くばかりで、

〇 なぜそのような規制を掛けるのか?
〇 そのような規制を掛けることにどういった狙いがあるのか?

ということにまでは考えが及ばなかったのですが、今回円通寺のご住職のお考えをお聞かせ頂いて、景観問題に対する自分の意識をシフトさせることができました。

ご住職、感謝します。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

浴室~ユニットバスと在来工法の違い

設計業務に際して、クライアントのみなさまとご一緒に、水まわりの設備機器の選定のためにメーカーのショールームへ行くことがよくあります。

たいていのみなさんは、ショールームでの打合せをしていると一様に「疲れた~」という顔になってきます。

もちろんそうではない、見れば見るほど目が輝いてくるようなメーカーのショールームもあるんですが、そういうメーカーはごく少数ですね。

その中でも顕著な例がユニットバスのショールームです。
いっしょにいるこちらが申し訳なく感じてしまうくらいです。

今回はこの浴室について少し採り上げてみたいと思います。

現在、建物の内部に取り込んだ形の、一般家庭用の浴室の形としては、

1 在来工法による浴室(現場施工。下の写真参照)

在来浴室

2. プレファブリックによるユニットバス(←メーカーサイト参照)

の2通りがあります。
ここでそれぞれの特徴をまとめてみました。

 

 

ユニットバス

在来工法

施工方法

メーカー工場でパネル化
したプレファブリック製品を現場で組み立てる

左官・大工・タイル職人などが全て現場に合わせて作る

壁・浴槽・天井

 

などの仕上材

メーカーが用意している
いくつかの選択肢の中からしか選べない

タイル・木・石など、自由に選べる

断熱性

高い

 

(冬寒くない)

低い

 

(冬は寒い)

メンテナンス性

高い

 

(汚れがつきにくい)

低い

 

(汚れが取れにくい)

価格帯

50万円~

100万円~

浴室については、ショールームで現物を見ながらいろいろとご説明するのですが、

質感を重視する場合          ・・・在来工法
機能性・断熱性・コストを重視する場合・・・ユニットバス

というところにだいたい落ち着きますね。

うちのクライアントのみなさんは、ユニットバスの質感には満足できないけれど、タイル張りの在来工法のお風呂は冬寒いのが・・・というところでいつも悩まれることが多いです。

と、ここまで書いてみてふと気付きました。
寒くない在来工法の浴室を考えたら喜ばれるんじゃないか?と。

もちろん、機械設備(ミストサウナ、浴室暖房/カワック、浴室床暖房など)を設置すれば問題は簡単に解決できるんですが、それではうちのクライアントの皆さんはきっと納得されないでしょう。

寒く(冷たく)ない床材としては、いまのところコルクタイルが一番いいでしょうね。
コルクタイルは色が限定されるのでなかなか使いにくいのですが、撥水性・断熱性には申し分ありません。
手入れが面倒ですが、桧のすのこ床も冷たくないですね。
(↑毎日上げ下ろしして乾燥させてあげないとカビが生えてしまいますが)

あとは壁材と断熱方法です。
ちょっと考えてみようっと。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

現場見学と工場見学

日曜日に、滋賀県でこれからご自宅を建てられる予定のTさんと、工務店2社の工場見学に行きました。

 

Tさんのご自宅の設計は先月末で一応完成し、現在2社の工務店に見積もりを依頼しています。
今週末(5/25)には両社から提出と説明していただく時間を設けることになっていますが、それに先立って「両社の工場を見学させていただきたい」と僕から申し入れて見せていただきました。



みなさんも、ご自宅を建てていただく工務店の完成(現場)見学会などには、きっと何度か足を運ばれたことがあると思いますが、工場見学をされた方はきっと少ないのではないでしょうか?

 

なぜ現場ではなく工場なのか、お判りですか?

 

確かに完成した現場を見学するだけでも、各工務店の趣向や得意とする材料の使い方・デザインなどの傾向は判ります。
でも工場を見るのと現場を見るのとでは、見えてくる側面がまったく違います。



現場を見学してわかることは、下記のようなことでしょう。

○ 仕事の丁寧さ
○ クライアントに対する姿勢・付き合い方
○ デザイン力や材料の使い方

こういった事柄(↑)がわかれば、その工務店に依頼するかどうか?ということを判断するのには充分じゃないか、という方が多いと思います。



ここで話を分かりやすくするためにたとえを使ってみます。

現場を見学してわかるのは学校で言うと
【学力テストの範囲=成績】
だけでしょう。

小学校では、学力テスト以外にも毎年4月に家庭訪問がありますよね?
工場の見学はその【家庭訪問】とおなじようなものです。

○ どんな環境で、どうやって自分の家が作られていくのか?
○ どんな人たちが自分の家を作ってくれているのか?
ということを肌で感じていただくための機会として、そしてより多面的に工務店の実像を捉えていただくための手段として、この工場見学はとても重要です。



学力テストだけで、一生つきあっていくパートナー(←家のことです)を誰にお願いして作ってもらうか?を決めてしまうよりは、やはり一度ご家庭を訪問してから決めた方が腑に落ちますよね?

 

見積書の値段は、確かに工務店決定の際に必要不可欠な要素のひとつではありますが、見積書だけで判断されると、工務店側も残念に思うケースも多々あるでしょう。

 

工場を見ると、そこには工務店が何を大切にして(どこに力を入れて)日々努力しているのか?ということが如実にわかります。
経営者の性格も含めて、工場の佇まいやストックされている材料などを見れば、どんな工務店なのかは僕には一目瞭然です(良い面も悪い面も)。

 

きれいに整理が行き届いている工場
古材がたくさん積まれている工場
原木がダイナミックに積まれている工場
新建材がうず高く積まれている工場
いろんな生き物がたくさん棲んでいる工場
木材だらけの工場

 

いろいろあると思います。

 

 

 

とか何とか言っても、うちは自社で工場を持っていませんのでえらそうなことは言えませんが、
「工務店を決定する際には見積書の値段だけで決めないでください」
ということを毎回必ずクライアントのみなさんにお願いしています。

 

今日は、現場見学会や見積書の値段だけではわからない側面(魅力)が工務店にはたくさんあるということをお伝えしたかったのです。

あなたの納得できるこれからの家づくりのために、少しでもお役に立てていただければ幸いです。



古民家/石場建て伝統構法 を 高気密・高断熱で暮らしやすく
(株)木造建築 東風のサイトはこちら↓

棟換気 その2

昨日に引き続き、棟換気の話題です。



『棟換気』と言うからには、棟で排気するわけです。
空気の採り入れ口は軒先です。


屋根面に太陽光があたり、その熱で温められた屋根の中の空気は上昇気流となって上へ上っていこうとします。
ですから、夏は2階の棟のあたりが一番室内温度が高くなるわけですね。
その一番熱くなった空気を棟で抜いてやろうというのが棟換気です。




昨日、板金職人が換気棟部材を取り付ける前に、棟部分の下葺材(ルーフィングという防水シート)を切るというのでいっしょに屋根へ上りました。



棟換気6


 


 


 


 


 


 


 


 


上の写真のように、換気棟部材が付く棟の部分でルーフィングを切断し、空気が抜ける道を作ってやりますと、湯気とともに熱気が噴出してきました。
(↓湯気はちょっとこの写真には写っていませんが)

棟換気7


 


 


 


 


 


 


熱気は手をかざしていられないくらいの温度です。
(熱ッ!て感じ。温度計があれば測ってみたかった・・・
 温泉卵ぐらいなら十分できそうでしたよ)


屋根面に設けた空気の通り道(通気層)は厚さたったの1.5cmしかありませんが、しっかり空気は抜けています。

金属製の屋根仕上げ材を使う際には特に熱気を室内へ貫流させやすいので、やはり棟換気は必要です。

これから家を建てられる方はどうぞお忘れなく。
(僕はまだ使ったことがありませんが、瓦屋根の際に使う棟換気部材もありますよ)

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

棟換気

昨日、屋根を葺く板金屋さんが現場に来て、棟換気部材を取り付けてくれました。
棟換気部材というのは、太陽光で温められた(というか、熱くなった)屋根の下の熱気を棟(屋根の一番てっぺん)で排気して熱気を抜くための部材です。

上昇気流と金属板で作られた弁のようなもので、動力などはありません。

棟換気

 ↑ 断面形状はこんな感じ。
 これを屋根の一番てっぺん(棟)にかぶせます

棟換気1

この部材は2層構造になっています。
上の写真は上下の層をずらして写真を撮ったもの。

グレーの部分が雨をよけるための屋根の役割をして、
その下の深緑色の部分がベンチレーション(換気)のための部材です。

取り付けが完了するとこんな感じ(↓)になります

棟換気5

ガルバリウム鋼板や銅板などの金属製材料で屋根を葺くときによくこの部材が使われるのですが、
「なんで雨が漏らないんだろう・・・」
と、どうも不思議でなりませんでした。

そこで!
昨日、現場で本当に漏水しないか実験してみました。

もちろん、取り付ける前に、ですよ(笑)。

下の写真がその実験のときの様子です。

棟換気2

まず、棟換気部材の下に、漏水確認のための乾いた板を置きます。

棟換気3

そして板の上に棟換気部材をかぶせて、ありえないくらいの勢いで上からホースで水をかけまくります。

棟換気4

水をさんざんかけ終わった後、棟換気部材を移動させてみました。
ご覧のように、全然問題なかったです。
(一部に水滴がついているのは、移動した際に部材から垂れ落ちてしまった水です。漏水は一切していませんでした)

この後、真上からかけてもまったく問題ない様子だったのでさらに過酷な状況で!と思い、斜め下から吹き上げるように水をかけてみました。

それでもまったく問題ありませんでした。
ということで、安心してこの部材を使うことができます。
(って、実はすでに別の現場で使ってますけどね)

明日は、
「じゃあ、この部材がどのくらい有効なのか?
 ほんまに効くんか?」

というところをお話します。
どうぞお楽しみに。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

仕事はやっぱり朝でしょう

僕はもともとスーパー朝型人間です。

何度かここにも書いているので、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、平均起床時刻(=業務着手時刻)はam3:30ごろです。
当然、夜にはめっぽう弱いのですが・・・。

今はほとんど毎日×1日中現場にいるため、現場に持ち込んだコンピューターで昼間のうちに資料を作ったり文章をつくったりしたものを事務所に持ち帰ってきて、翌朝一気にメール・FAX・印刷・業務整理などを行っています。
( ↑ 現場には固定電話線を引いていないので、インターネット・FAXが使えません)


この生活パターン、なかなかいい調子です♪

一日中現場にいると、やっぱり現場の段取りも良くなるし、職人さんともよくコミュニケーションが図れるのでとても仕事がやりやすいです。

で、集中的に業務を片付ける早朝(3:30~6:30)は、絶~対に誰も電話をかけてこない(当たり前か)ので、自分だけのペースで仕事ができます。



このところいろんな現場の段取りがようやく一段落着いてきたので、昨年末からの懸案だったサイトリニューアルに取り掛かる余裕が出てきそうです。

小便器のススメ

小便器


 


 


 


 


 


 


 


あまりキレイな話ではありませんが・・・。



最近クライアントのみなさまに、スペースに余裕があれば腰掛便器の他にも小便器を設置するようお勧めすることがあります。


特に子供さん(♂)がたくさんいらっしゃるご家庭など。

先日インターネットのゴシップネタにも載っていましたが、男性が腰掛便器で座って用を足すようになっている比率と腰掛便器に向かって立った姿勢で用を足す人の比率が、約半々なのだとか。

確かに座って用を足せば、便器のまわりやトイレの床面が汚れたりすることはありませんが、なんだか少し寂しいような気がするのは僕だけ?
(こんなことを書くと、「掃除をする立場の人間の気持ちも考えろ~!」というお叱りが来そうですが、単純な話で、汚した者が掃除すればいいと僕は思います)



で、設計をしている時によくクライアントのみなさまから言われるのが

「トイレの床は板張りにせずに、シート状の仕上材を貼りたい」


という要望です。






お気持ちは良くわかりますのでそれを止める気もありませんが、もうひとつの解決策として男性用の小便器を設置する、という方法があります。


腰掛便器に向かって立った姿勢で用を足すから汚れるのであって、小便器で用を足せば汚れる度合いや確率はかなり低減されると思うのです。



冒頭の写真は、昨秋完成したSさんのお宅に設置した小便器ですが、これは北欧のメーカーがデザインしている小便器で、形がとてもきれいでしょう?


不思議な話ですが、
「ぜひ!この小便器にしてほしい」
と要望されたのは、
Sさんの奥様でした。


理由は美しいから。

確かに日本製の小便器に比べると3万円ほど価格は高いのですが、見た目だけではなく機能的にも用を足しやすい(=汚れにくい)形になっていて、使わせてもらうたびに


「よく考えてるなぁ~」


と感心する製品です。


 


あなたのお宅にも、ぜひ小便器をいかがですか?


オススメします。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

板金工事

屋根工事

今日から西宮の現場では、大屋根の板金工事が始まりました。
大屋根はガルバリウム鋼板立平葺きです。

このところの原油高騰を受けて、鋼材の値段は上がりっぱなし(汗)。
サッシも設備機器も、昨年からの1年間で2回も価格改定(=値上げ)が実施されました。
かなり異常な状況です。

まぁ、確かにガソリン代もレギュラーで160円に手が届きそう(というか突破しているところも多い)という状況なので、仕方ないかも・・・。

今朝の天気予報では、宝塚周辺は何とか晩までもつ、という予報だったので安心していたのですが、結局3時ごろから降り始めてしまいました。

すでに下葺きを済ませてあるので雨漏りはしませんが、板金の職人さんは2人で現場へ来ていて、今日一気に進めてしまおうという算段だったらしく、少し気の毒。

台風が来ているようですね。
強風が吹かないといいけど。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を

一昨日に続いてお茶の稽古のときの話題から。



茶道の稽古に行くと、挨拶をして席入りした後に、まず床を拝見します。

毎回軸と花が飾られていて、どんな内容が書かれている掛け軸か?何の花が生けられているのか?ということを先生から教わります。

今回の花は、漆塗りの花台(というか板)の上に載せた銅製の一輪挿しに凛としたハマナスが生けてありました。



その時先生に教わったのですが、床飾りにも「真行草」の形があるそうです。
ここではあまり詳しく書きませんが、花を生ける器や花台、花の種類と組み合わせや姿形などで真行草をわけるとのこと。

茶室は部屋の広さによって広間と小間とに分類されますが、一般に小間は草(そう)のスタイルで建物が造られるため、床飾りや炉縁なども草のものが用いられます。

草のものとはどういうことかというと、花台には塗り物ではなく素木のものを用いるとか、花器には釉のかかっていない素焼きのもの、または竹篭などを用いるというのが草のスタイルです。



先生からいろんな話を伺っている最中に、僕が作っている建築は基本的に『草』なんだと気付きました。

天井を張らずに小屋組を化粧として見せるデザインや、木に塗装を施さずに素材のまま使うのは『草』のスタイルです。

また1つ謎が解けたような気がします。

(株)木造建築東風のサイトはこちら
世界に、300年先も美しい風景を