投稿者「mokuzo_architect」のアーカイブ

植栽の効果

京都会館


 


 


 



昨日は午後から京都に行っていました。

京都市内で来年から着工する予定のN邸の確認申請に先立った、京都市の条例に適合しているか否かを届け出るためのいろんな書類を提出するためです。

その1つ、埋蔵文化財を守るための届出を行うために、まず最初に埋蔵文化財保護課のある京都会館に行きました。



京都会館は1960年に昭和の建築家・故前川國男氏が設計を手がけたものです。

京都会館も含め、この人の建築は鉄筋コンクリート造が多いのですが、僕はこの人の建築が好きです。
(なぜでしょうね?自分でもよくわかりませんが)



でもこの建物、単体で京都の街中にドーンと建っていたら、きっとちょっと違和感があるでしょう。
岡崎の割と空間が開けたところにあるのでいいのかもしれません。

上の写真で見るように、この京都会館は大きく育った街路樹のけやきに遮られていて、その外観を直接街中にさらけ出していません。
(画像をクリックすると拡大表示して見ていただくことができます)
鉄筋コンクリート打放し仕上の無骨で無機質な建物なのに、とてもやさしい印象を与えるのは、きっと街路樹のけやきがこの建物と一体になっているからでしょうね。



京都会館で文化財保護課に書類を提出した後、京都市役所までトコトコ歩きながら街中のいろんな建物を見るともなしに見ていました。
普通の商店でも個人宅でも京都の建物は見ているといろいろと楽しいです。

住まわれている方の美意識が高いんでしょうね、きっと。

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世界に、300年先も美しい風景を

今年の伐採計画

昨年に引き続き、今年も11月に静岡で伐採を行います。

現在日程を調整中ですが、今年は月の満ち欠け(新月期)のいい日を選ぶと共に、伐採に向かない日とされる【大槌(おおつち)・小槌(こつち)】の日を避けてスケジュールを決めるつもりです。

目下のところ、伐採時期として一番有力なのは11月中旬から下旬にかけての9日間ですが、林業家とも相談した上で決定しなくてはなりません。
伐採時期がどうか好天に恵まれますように・・・。

今年は昨年よりも桧を少し増やそうと思っています。



今年の伐採現場は、昨年の現場よりも標高が高く、斜面も急です。
生育にはより厳しい条件なので、目の詰まった良材が期待できます。

伐採の見学を希望される方はさとうまでご連絡下されば、伐採期間中に現場までご案内します。
(ご連絡いただいた方には、伐採スケジュールが決まり次第、改めてご連絡します)
遠慮なくお申し出下さい。



今年は伐採から製材までの行程を新聞社などに取材依頼してみようかと思っています。
一連の流れを追ってみていただければ、いかにこの過程が意味深く、そしてまたおもしろいものであるか、ということがわかると思います。

何よりユーザー(建築主)にとってのメリットが大きいのです。
それを広くみなさんに知っていただきたいと強く思うのです。

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民家フォーラムが開催されます

11/1(土)-2(日)の2日間にわたり、奈良県宇陀市で民家フォーラム2008が開催されます。
主催はNPO法人・日本民家再生リサイクル協会。

現在、同協会の近畿地区会員が定期的に集まって実行委員会を重ね、準備を進めています。



民家フォーラムは1998年から毎年全国各地で開催されていて、今年で11回目を数えます。

今年のテーマは空家の有効活用。
あえて奈良市内の観光地を避けて、奈良市内から1時間ほどの距離にある宇陀市を開催地として選んだのには理由があります。

人口減少に歯止めがかからない地方都市とそれにより増え続ける空家民家。
そして住人がいなくなれば解体される可能性が日増しに高まっていく古い民家を、もっと有効活用できないものか?という全国の地方都市共通の問題について、みなさんに考えて頂く機会を作るというのが、今回の民家フォーラムの目的です。



1日目のシンポジウムでは、基調講演にカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した映画『もがりの森』で主演を努められた宇多滋樹さんを迎えます。
宇多さんは各地での講演活動の傍ら、奈良市内の町家でカフェも営んでおられて、古民家やまちなみを大切にするNPOの活動にも参画されています。

基調講演の後には、地元宇陀市内で古民家を店舗として使われている方やまちなみを残す活動を陰で支えている方などにご登壇いただき、みなさんにご紹介します。
静かな地方都市での地道な取り組みに、全国各地から来られるみなさんが耳を傾けることで宇陀のみなさんを応援したいと思っています。

当日は、なんと僕が11/1(土)の2人組司会のうちの1人を努めることになっています(汗)。
みなさん、どうぞお越し下さい。

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クライアントの自作家具

先日、兵庫県川西市のクライアント I さんのお宅へ行きました。

I さんのお宅は約3年前に中古住宅を購入→うちでリフォームさせていただいたのですが、
「もしかして雨漏りでは?」
との連絡を受け、早速確認に行ってきました。

漏水しているのではないかと思われる屋根の箇所は、当方のリフォーム工事の時には触らずにおいた既存建物部分でした。

通常の雨の降り方では漏水する可能性が低い箇所ですが、今年のゲリラ豪雨のような叩きつける雨が降った場合には漏水するかもしれない、と思われたので対策を講じ、すぐに処置を施しました。



その時に見かけてビックリしたのが、I さんの自作家具(テレビ用ラック)の塗装です。
(画像をクリックすると拡大表示できます)

塗装


 


 




↑ まるで春慶塗り(しゅんけいぬり)のようです。
 メチャメチャきれいでした。
 I さんによると、使った塗料はオスモ社製の塗料だとのことでしたが、
 下地がとんでもなく平滑に仕上られているからこそ、ここまできれいに
 仕上がったのだろうなぁ、と感心しました。



I さんはリフォーム工事の最中に、解体工事や塗装工事などいろんな作業に積極的に携わって、
「家族が住む家を自分の手でつくる工程を息子たちに見せたい」
とおっしゃっていました。
そんな I さんのお宅の工事中の写真で一番素晴らしい写真がこれです。
(註:この写真は I さんが撮られたものです)

リフォーム工事が完成した後も、I さんはダイニングテーブル、キッチンのカウンター、テレビ台、ご自身の書斎の机などなど、いろんな家具工事に取り組んで家づくりを楽しまれているようです。

行く度にいろんなところが少しずつ魅力的に変化していく I さんのお宅を拝見すると、工事に関わらせてもらったことに対する喜びをじわ~っと感じます。

I さん、ありがとうございます。
これからもがんばって家づくりを楽しんでくださいね。

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景観を守るために その2

現在、京都市内でN邸の建築確認申請を出す準備を進めています。

この物件の現場は左京区(銀閣や詩仙堂などがある区域)内にあるのですが、左京区の東の山の中腹には、あの有名な大文字があります。

毎年8/16に行われる五山の送り火を賀茂川べりから観る景観を守るために、賀茂川と大文字を結ぶエリア内の建築物を作る際には、その視線を遮らない高さであることを証明しなさいという申請手続きがあります。
(ちなみに、京都市内では同じような規制の対象となっている区域が他にもたくさんあります)

僕も今回はじめてその申請を行うのですが、
「なかなかやるなぁ~」
と感心したのでちょっとご紹介しますね。



まず、申請に必要なデータは下記の通りです。

〇 計画地(現場)の正確な位置(緯度・経度)
〇 計画地地盤の標高 (← 海抜××m)
〇 計画している建物の最高高さ
〇 大文字と賀茂川の緯度経度・標高

京都市役所の市街地景観課に行くとパソコンが置いてあって、そのパソコンのプログラムを使って計画地の正確な位置は割り出せるようになっています。
これで大文字までの水平距離、賀茂川までの水平距離もあっという間に算出してくれます。

当然のことながら、賀茂川べりの標高と大文字の標高もこのパソコンに入力されていますから、あとは現場の標高がわかれば、断面図を描いて大文字を邪魔しない高さかどうか?ということを証明する資料は作成できるわけです。

そこで
「じゃあ現場の正確な標高はどうやって測るの?
 いちいち測量士さんに頼まないといけないの?」
という話になりますよね?

ここからがなかなかスゴイところなんですが、実は京都市内のそこら中の道路に下のような小さなピンが埋め込まれています。

景観1


 


 


 


 


 


 


 


 


ピンだけ拡大するとこんな感じ(↓)
直径は3cmくらいの小さなものです

景観2


 


 


 



で、このピンの位置・標高が全て記録されているのです。

ですからこのピンの高さと現場の地盤レベルとの差を測れば、それで正確な標高が割り出せる、というわけです。



技術的にはなんら大したことのないレベルですが、そこまで一生懸命になって景観を守ろう!としている姿勢がすごいと思います。
いやぁ~感心しました。

おそらく他の都市でも同じようなことは行われていると思いますが、人知れずひっそりと頑張っているいい取り組みだなぁと思ったのでご紹介しました。



ちなみに、上記のピンの画像を拡大してみていただければお分かりになると思いますが、このピンは国土交通省のものです。

ですから、もしかするとあなたの街にもあるかもしれませんよ。

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今朝の毎日新聞朝刊に掲載されました

木曽のみんながつくってくれた大阪の家


 


 


 


 


今朝(9/22・月)の毎日新聞朝刊・全国版で、当方が設計・施工管理を行い2007年3月に竣工した伝統構法の家、木曽のみんながつくってくれた大阪の家が紹介されました。

取材にご協力いただいた建築主のTさんをはじめ、毎日新聞の記者の方ほか関係各位に深く感謝いたします。



なお、記事の中で一部誤りがありましたので書き記しておきます。
記事の中で、
「親類が営む山下建築が用意したひのきや杉、けやきなど・・・」
という記述がありますが、
建築ではなく山建築(やまいち建築)が正しい名称です。

山一建築さんはこの現場の木工事を担当してくださったのですが、根気よく丁寧に作ってくださったおかげでとってもいい具合に仕上がっています。
社長の笹川さんがこれまでに集めてこられた約20種類の木材を提供してくださり、Tさんのお宅にはいろんな珍しい木が使われています。

(有)山一建築
TEL 0264-36-3195
長野県木曽郡木祖村小木曽5340

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新しいサイト公開しました

昨日の夕方、予定より3日早く新しいサイトを公開し始めました。

先週末から昨日にかけて僕は東京出張だったのですが、あっという間にサイト製作会社のスタッフの方が入れ替え作業を済ませてくれました。



今回のサイトは更新や変更がとっても楽~♪です。
( ↑ 運営者としては何よりありがたい)

感想・ご意見などありましたらどしどしお寄せ下さい。



今回のサイト公開に際して、クライアントのTさん・Uさんが家づくりの感想・コメントを寄せて下さいました。
あまりに褒めちぎられすぎているのでちょっと恥ずかしいのですが、本当にうれしい限りです。

これまでのサイトにはなかったページとして、Q&Aページを追加し、設計報酬木材へのこだわりなぜ建築家が必要なのか?なども独立したページに構成し直しました。

これまでのサイトに比べると、より情報を探しやすくなっていて、幅広くみなさまのお役に立てるような形になっていると思います。
どうぞご利用下さい。

今後ともよろしくお願いいたします。




あなたはどちらが好きですか? 
30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家、と
 「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2208年に言ってもらえる家

新しいサイトを近日公開します

今年の春ぐらいからたまに話していましたが、うちの新しいサイトがほぼ完成しました。
公開は9/19(金)の予定です。

今までのサイトはアメリカ在住の日本人の方に2005年に作っていただいたのですが、更新して情報を追加していくうちにゴチャゴチャしてきて、だんだんわかりにくくなってきてしまっていたので

「もっとわかりやすく、サクサク見て頂けるようにしよう。
 多くの皆さんの役に立つような情報がたくさんあるようなサイトにしよう」

というコンセプトで、実は今年の2月から作り始めていました。



途中、現場にかかりきりになってしまったため作業を中断していて、なんと着手からもう半年以上経ってしまったわけですが、新しいサイトはこれまでのサイトとは少し違う雰囲気になっています。

みなさんどんな風に感じるだろうか?と考えるとワクワクしたり、ちょっと不安に思ったりしています。
どうぞお楽しみに。

スイスでいよいよ実験が始まりました

ついにスイスとフランスの国境地帯で注目の物理実験が始まりました。

日本にもスーパーカミオカンデというこれとよく似た実験施設がありますが、今回の実験施設は規模などが違うようですね。

僕はもともと物理とか宇宙に関することが大好きなので、ビッグバンとかブラックホールがどうとか聞くと、専門的には良く判らなくても(笑)ワクワクしてしまいます。



僕が今回の実験に期待しているのは、どうやらこの実験が成功すると、新しい物理理論が確立される(というか証明される)ので、これによって新月伐採の効果・理論的な裏付けがなされるだろう、と言われているためです。

結論が出るのはまだ2-3年先になりそうですが、今から楽しみで仕方ありません。
世の中がどんな風に変わっていくんでしょうね。

この実験ではすごく小さなブラックホールが生成されるかもしれないと懸念されていますが、いやはやとんでもない実験をやっているものです。

毎日新聞の取材を受けました

9/7(日)に、毎日新聞社の取材を受けました。

伝統構法(※)型住宅と、2007年6月に改正された建築基準法の影響についての特集記事をまとめたいということで、国土交通省の担当官のほか、伝統構法型住宅の建築主と設計実務者に話を聞きたいと申し入れがあり、うちで設計・施工管理をやらせていただいて昨年竣工したT邸に行ってきました。

※ 伝統構法というのは、筋交いやコンパネなどを使わずに、土壁と木組みだけで柔らかくしなやかな構造体をつくる木造の構造形式の一つです。
 古民家や社寺建築などがこの伝統構法でつくられています。
 同じ木造でも現在主流の在来工法や2×4工法などとは構造的に対極にあるものです



9/22(月)の朝刊の 『くらしナビ 住まいLiving』 というコーナー(←全国版だそうです)に記事が掲載されるそうなので、詳しくはそちらをご参照いただくとして、今日は毎日新聞社の記者が建築主のTさんにいろいろとインタビューをしていく中で印象に残ったオフレコの部分をお伝えしたいと思います。



このTさんのお宅は、奥様のご出身地である長野県木曽の木(主に木曽檜)を使って建てたい!というのが当初からのコンセプトでした。

Tさんがこの家を建てたことでとても良かった事として挙げてくれたのが、木工事を担当してくれた長野県の(有)山一建築をはじめ、奥様のご親戚・ご近所のみなさんなどがいろんな形でこの家の建築工事に関わってくださったことで、木曽と自分(←ご主人)との精神的な距離がとても近くなった、ということでした。

ご家族で奥様の里に帰れば、
「おう、帰ってきたか!」
と、とても親しくご親戚のみなさんが迎えてくださり、家のことにまつわる話が尽きないそうです。

自分にとって配偶者の親戚というのは、直接血のつながりがなくてまだ付き合いも浅い人たちですから、どうしても少し心理的な距離が遠くなってしまいますよね?

僕も今回のTさんの家づくりに関わってきて、ご主人のその気持ちが良く判るのですが、家づくりを通じて、物理的に距離の離れている身近なみなさんとの心理的な距離がグッと縮まった、というのは設計者としてもとてもうれしいことだなぁと感じました。



住宅の建築というのはとても手間がかかる割には利益が少なく1物件あたりの売上げも上がりにくいので、建築業界の中ではビジネス的に魅力の薄い世界として捉えられることもあるのですが、僕はこういう人間と人間の濃い~係わり合いが得られるので住宅の仕事が大好きです。

今回のTさんのインタビューに同席して、Tさんのお宅の建築に関わらせてもらえてよかったなぁ~としみじみ幸せに感じました。

 

 

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