投稿者「mokuzo_architect」のアーカイブ

東風

今日は立春です。

皆様、昨晩は太巻きを食べられましたか?(笑)
( ↑ 関西出身の方は、これが昔からの全国的な風習だと思っていらっしゃる方が結構多いようですが、違いますよ♪
 東日本から来た僕も、最初は「何これ?」とびっくりしました。)



本日より、サトウ都市環境デザインは

  木造建築 東風(こち)

と名称を変更します。



年末にじっくりスタッフとこの名前を考えて内定し、
その後内々でいろんな方にご意見をお伺いし、
お正月の年賀状で「改称します」ということを発表しました。

その後たくさんのみなさまから温かい応援のメッセージを頂いております。
どうもありがとうございます。



新しい事務所の看板の字を書いて下さる方とそのご家族のみなさまにも、とってもいい名前ですねと褒めて頂き、とても嬉しく感じております。
(新しい看板はみなさまのご協力を得て、ゆっくり製作しています。
 今しばらくお待ち下さい。)

【 東から吹く風 】
という名に恥じないように、今後もより一層皆様のお役に立てるよう励みます。

スタッフ共々、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

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世界に、300年先も美しい風景を

板の製材

先週、また製材所に行ってきました。
僕は製材が大~好きなのです♪

今まで見えなかった木の木目や表情が一瞬で目の前に現れてくるスリル。
自分の想像を裏切って、より美しい目が出てきてくれる瞬間。
もう楽しくて仕方ありません。

今回は板材の製材です。
今週の木曜日(2/5)から構造材を刻み始めることになっている、京都市N邸の玄関式台に使う板の厚みや巾を決定するために、いつもの西本製材所へ行ってきました。



今回挽いてもらったのは、下の杉の板です。
巾は一番狭いところで450mmくらいありました。

式台1






原木から板に製材したのは昨年の7月初旬です。
それから約半年間寝かせて乾燥させました。

乾燥に伴って木は割れたり反ったりします。
この板も素性はとってもおとなしい木なのですが、やはり少しだけ反っていましたので、その反りを落として平滑に面を出すために摺り直し製材をしてもらいました。

製材後、いろんな方向に向けて置いてみてスタッフと検討した結果、下のような感じで使うことに決定しました。

式台2


 


 


左が根元方向(立ち木の状態では下)、右が末口方向(立ち木の状態では上)です。
画像をクリックして拡大表示すると、木目も確認していただけると思います。



この板は杉で柔らかいので、足ざわりは温かみがあって優しいのですが、その反面、傷がつきやすいという欠点があります。

その点を補うために、実はこの板をチョウナではつって化粧ナグリを施そうと考えています。
ナグリ目は人によって好みがあるので、見本を作ってNさんに見て頂いてご了承を頂けたら施すことになります。



杉のナグリの式台は一般にあまり見かけませんが、なかなか味があります。
それから、ナグリ目がつくと、少々傷がついても目立たなくなりますので、使う上で神経質になることもありません。

ナグリ加工は京都市上京区の銘木屋さんにお願いしようと思っていますが、その工程はまたブログでご報告しますのでどうぞお楽しみに。



いつもこのブログを読みに来て下さってどうもありがとうございます。

いよいよ明日は立春。
うちの事務所名も明日から東風(こち)に変わります。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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鞆の浦へ行ってきました

またブログの更新が1週間空いてしまいました。
いつも見に来てくださるみなさま、すみません・・・。

この週末は広島へ行っていました。
日本民家再生リサイクル協会の中国地区主催イベントに参加するためです。

イベントは夕方からだったのですが、それに先立って地元で民家再生に奔走されている、【ぬまくま民家を大切にする会】の理事・藤原さんが午前中に鞆(とも)の浦に連れて行って下さいました。

鞆の浦では、波止の縁に建つ重要文化財・太田家住宅(↓)を見学しました。

鞆の浦は、宮崎駿監督の最新作・崖の上のポニョの舞台(?)として、そしてバイパスを通すか通さないかの景観論争で揺れている町として有名ですが、僕は初めて訪れました。

街中には石畳と古い民家がたくさん残っていて、海に面した静かな湾があるところはどことなく京都の伊根町に似て、趣のあるとても美しい町ですね。

また今度、ゆっくり訪ねてみたいと感じました。

夜は、築後200年以上を経ているという先述の藤原さんのご自宅にみんなでお邪魔して、楽しいお酒を飲みました。

今年の春には桜鯛を食べに、そして夏には大勢の子供達を連れて、また藤原さんのお宅へお邪魔しようということになりました。

藤原さん、今回は大変お世話になりました。
どうもありがとうございました。

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庫裏の調査

先週の水曜日、大阪府北部のお寺の庫裏(くり)の調査を行いました。
庫裏とは住職のお住まいのことです。

年末に相談のご連絡を頂いていたのですが、築後100年以上と思われる庫裏が寒くて仕方がない、断熱を施すなどして何とかしたいというご要望でした。



調査当日は午後から雨の予報だったこともあり、現場に到着したらまず屋根に登りました。
さすがお寺の庫裏だけあって、屋根には反り(てり)がついており、棟付近まで上るにしたがって勾配がきつくなってきます。

おそらく棟では6~7寸くらいの勾配だったのでは?と思いますが、5寸勾配を超えると足場なしで上るのはかなり危険です。

同行したうちのスタッフにも付いてこないように言い含め、一人で棟まで登って瓦の状態を確かめました。

瓦

 

 

 

 

 

 

 

瓦は変色したりしていましたが割れもほとんど見当たらず、材料自身の耐久性としては、まだあと10年くらい大丈夫かな?という感じでした。
しかし、葺いてから50年程度経過しているのではないかと思われる瓦はところどころズレが生じていて、雨漏りしているのではないかと思われる箇所が数ヶ所あります。

材料はあと10年くらい使えそうですが、現在の材料を使って葺き直しても近い将来再度新しい材料で葺き替えなくてはならず、
1.外部足場架設のための費用
2.瓦撤去・復旧のための職人手間
が2度かかってしまうことになり、得策とは言えません。

ということで、改修に際してはまず屋根の葺き替えが大前提となるとお伝えしました。

せっかく中をきれいに改修しても、屋根の葺き替えの際に上から雨と泥が落ちてきてドロドロにしてしまったのでは全く無駄になってしまいますからね。



その後、

 ○ 内部の構造材の確認
 ○ 建物の傾き
 ○ 床下の土の状態
 ○ 柱の根石の高さと付近地盤面との関係

などを確認して辞しました。



あらかじめ図面を頂いていたので、調査は大変スムーズに進み、こちらも助かりました。

今後は調査結果を基にして、改修方針や予算、材料のことなどについてお話をして進めていくことになりそうです。

 

 

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世界に、300年先も美しい風景を

製材を行いました

1/22(木)に、兵庫県三田市の西本製材所さんで京都市N邸の木材の製材(修正挽き)を行いました。

この材料は、
 ○ 2007年11月に静岡で伐採
   → 2008年6月に静岡で第1回目の製材
   → 今回(2009年1月)に製材
という経過を経ています。

先々週はこの材料を出すために、僕は大工さんと2人で静岡へ1週間行きっぱなしだったのです。

製材2009-1

 

 

 

 

 

 

 

上の写真は修正挽きを行う前の木材です。
9割が杉、1割程度が桧で全て静岡産の木材です。

製材2009-2

 

 

 

 

 



↑ こんな台車に乗せて製材していきます。

胴差

 

 

 

 

 

 

 

↑ この写真に写っているのは、長さ7.7M×巾300mm の杉です。
一般の市場では、この長さでこの巾の1本ものの材料を探すのはかなり難しいです。

もちろん、伐採直後のボトボトかつ節だらけの材料であればいつでも調達できるでしょうが、一年で一番いい時期に伐り、天然乾燥させてある素直な美しい杢目の国産の杉となると、入手はとても困難です。

この写真では杢目が写りこんでいないのでお見せできないのが残念ですが、2008年6月に行った製材直後のこの材料の表情はこんな感じでした。

この杢で7.7mかつ巾300というのがいかにすごいことか、お分かりになる方はかなりの事情通ですね。


 

大黒柱と通し柱

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


他にも、今回立ち会ったときに大黒柱と通し柱も挽いてもらいました。

上の写真の左側が大黒柱(長さ6.6m 220mm角)
右側が通し柱(長さ6m 150mm角)です。

大黒柱はもっと太いものもあったのですが、杢目がおとなしくて割れも少ない素直な材料を選んでこれにしました。

この木は2006年の秋に伐って2007年の初夏に製材後、和歌山の友人・東さんが好意で預かってくださっていたものです。
東さん、本当にありがとうございました。
おかげさまで素晴らしい材料が採れましたので、ぜひ一度見に来て下さい。



この物件で使う木材は総数約400本になるので、今回ご紹介したのはごくごく一部です。

これらの材料は2月5日から西本製材所さんのご協力を得て、約4ヶ月かけて大工が手刻みで加工し、5月下旬に京都で上棟の予定です。

また順次ご報告しますのでどうぞお楽しみに。

 

【お知らせ】
2/4(立春)より、事務所名称を
サトウ都市環境デザイン→木造建築 東風(こち)
に改称します。
「なぜ東風か?」はこちら

 



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看板製作中

2/4(立春)の事務所名称改称に向け、少しずつ準備を進めています。

そのうちの一つ、新しい事務所名を冠した看板の製作に取り掛かりました。
いつもこのブログを読んで、コメントを寄せてくださる愛媛県のKさんが、1/8の記事を読んで桜の板を贈ってくださり、先週の静岡への出張から帰ってくると、自宅に届いていました。

Kさん、ありがとうございます。

早速梱包を解くと、出てきたのはこんな表情の桜の古材でした。


桜1

























この板、もともとは出書院の敷居兼床板として使われていた部材のようです。

これに、まずプレナーをかけて、そのあと仕上げていき、割れや木目の具合を見ながらカットしていって、こんな風(↓)に生まれ変わりました。

桜2


 


 


 


 


 


 


 


 


 



次はこれに事務所名を彫って、色を置きます。



この板、写真ではタテに置いていますが、タテ使いにするか横使いにするかはまだ決めていません。

というのも、実は東風という文字をある方に書いて頂けるようにお願いしているところで、来週あたりその方に会いに行ってこの板も見ていただき、書いてくださる方のイメージにお任せしてタテか横かを決めていただこうと思っています。

もちろん毛筆で書いていただくのですが、書いていただいた字を板に写して京都で彫刻してもらい、茶室の扁額のように緑青で着色する予定です。

出来上がるのが今から楽しみです。
また進んだらご報告しますね。

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木出し@静岡

この1週間はブログの更新が滞ってしまいました。
いつも見に来てくださるみなさま、どうもすみません。

静岡の山奥(といっても静岡市内ですが・・・)で木出し作業を行っていたためです。

 

木出し 

 

 

 


↑ 木出し作業を行うために、馬の上に並べた梁
 (すべて静岡産の杉/新月材です)

 

木出しとは、
「この木はリビングの南面の通し柱にしよう」
「この木は大屋根の棟を受ける棟木にしよう」
などと、実際の木の癖や面(つら)などを見て各部材を使う位置や方向を決定していく作業です。

 

今回出したのは、来月上旬から刻みに取り掛かる京都市・N邸の木材(合計約400本)です。
火曜日の早朝にトラックで兵庫県を出発し、金曜日にはストックヤードから搬出したすべての木材を10トントラックに積み込み(結局10トン車1台では載り切りませんでしたが・・・)、土曜日に後片付けをして深夜に帰ってきました。
(帰宅したら日付が変わっていました)

 

静岡で作業をしていたストックヤードや宿泊先は携帯の電波が届かなくて、もちろんインターネット接続もできなかったので、メールがたまりまくりです(汗)。
順次お返事を書いていきますので、しばらくお待ち頂けましたら幸いです。
(クライアントの皆様、ご迷惑をおかけして申訳ありません m(_ _)m )

 

今週も火曜日までは東京出張の後、現場に行ったり製材所を回ったりする予定になっているので僕はほとんど事務所にはいません。
落ち着くのは1月末ごろになってしまいそうですが、今週は毎日ネット接続できる環境にいるのでブログは定期的に更新していきますね。

メルマガも書かなくっちゃ。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【お知らせ】
2/4(立春)より、事務所名称を
サトウ都市環境デザイン→木造建築 東風(こち)
に改称します。
「なぜ東風か?」はこちら

 



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えびすさん

四国在住の友人・Kさんが面白い材料の写真を送ってくれました。
下の古材がそれです。


えびす1


 


 



いやぁ~、こういうのは僕は初めて見ました。

傷跡の具合から想像するに、おそらくもともとは座敷の床脇の地板かなにかとして使われていたのでしょうが、物を飾る場所に彫刻を施すというのは面白いですね。

しかもえびすさんというのが、またベタでいいなぁ、と思わず笑ってしまいました。

右に彫られているのはおそらく鯉だと思いますが、どうしてえびすさんと鯉の組合せなんでしょうね?
『福よ来い』という意味でしょうか?



下の写真はえびすさんの部分のアップです。

えびす2


 


 


 


 




この写真を見る限りでは樹種はケヤキに見えますが、冒頭の写真を見ると違う木のような気もするし、一度実物を見てみたいなぁ。

この板を所有されているKさんは本業は建築とは全然関係ないお仕事をされている方で、だんじり命!の人ですが、このような板(主にけやき)の古材のコレクション(?)をされているそうです。

自分の家を自分の手で建てたい

今日、うちの事務所に一人の大工さんが打合せに来られました。

この方は、「自宅を自分の手で建てたい」と考えていらっしゃいます。
で、さすが大工さんだけあって、

「材木はできれば(奈良県)吉野産の乾燥した木を使いたい。
 でも木材の見た目にはあまりこだわらない。
 だから節はあっても構わない」

ということでした。



で、建築工事費用はできるだけ安くあげたいので、知り合いの業者などに頼めるところは自分で直接発注して、無駄な経費を省きたい、とおっしゃっていました。

これって、ごくごく当たり前の考えですよね?

でもこういう考え方は、一般的に日本の建築業界では嫌がられます。
で、僕は今日、この大工さんにこう答えました。

「うちはいいですよ。
 一向に構いません。
 うちは、自分のところでこなした業務に対する報酬を払っていただければ、それで構いません。」

と。

それを聞いた大工さんは、心なしかちょっと拍子抜けしたような表情でした。
まさかいきなりそんな答えが返ってくるとは思っていなかったようです。



こういう特殊なご要望をお持ちの方は結構いらっしゃるようですね。
うちも過去に似たような事情の物件をいくつか引き受けさせていただいていますが、みなさん大体よその工務店さんなどで散々断られたり、相手にしてもらえなかったりして、うちにたどり着いたというケースが多いようです。

木材支給とか、大工さんは親戚の方にお願いするとか、電気工事は知り合いに頼むとか・・・。


確かにうちでもお断りすることもあります。

それは例えば、
「業務はやってほしい。でもそのお金は払いたくない」
「タダでいろいろ教えてほしい」
という要望です。
これには、正直なところお応えできません。

なぜならうちもビジネスで仕事をお引き受けしているのであって、慈善事業でやっているわけではありませんから。
当たり前ですよね?



でも、行った業務に対する適正な報酬をお支払い頂けるのであれば、分離発注だろうが部分発注だろうが、何でも問題ないはずですよね?

と僕は思うのですが、でもこういう考え方は現実的に日本の建築業界では嫌がられるのです。

とここまで書いてきて、ふと思いました。
これってすごくチャンスが転がってるってことじゃないですか!
これからこの手の話はどんどん増えてくるでしょうしね。



何だか、今年に入ってからお客さんにいいヒントをいっぱい頂いているような気がします。
頂いたからには、ちゃんとお返ししていかないといけませんね。

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新しい看板用の材料を探しています

先日このブログでもお伝えしました通り、02/04(立春)に合わせて事務所名を改称いたします。
(現名称/サトウ都市環境デザイン → 新名称/木造建築 東風)

年が明けてからそれに向けていろいろと準備を始めたところですが、その一つとして事務所の看板を新しく作ろうと思っていて、その材料を探しています。



探している材料は、楓(かえで)か桜の板。

楓の理由は単純です。
造建築だけをつくる東という事務所なのだから、
木+風=楓。

桜の理由は、東風が春の季語であることから春を連想させる木といえば桜だろう、というものです。



木の色としては、明るくて白っぽい楓よりも、やや褐色で落ち着いた雰囲気の桜の方が僕は好きなのですが、どちらにするかは板をいろいろ見せてもらって


「絶対これっ!!」


とピンとくる木との出会いに賭けてみたいと思っています。
また材料が見つかったらご報告しますね。



僕は全ての木の中で一番好きな樹種は実は楓ではなく杉なので、今回も最初は杉でやろうかと考えました。

しかし杉は軽くて柔らかいので、表札としてはもう少ししっかりとした素材を使いたいなぁと考え、名前の意味から楓か桜に絞ったというわけです。



楓も桜も、木の性質としておもしろい模様が出やすい木です。
(例えば、楓の場合はこんなのとかこういうものもあります
 ↑ 実はこの2種類はどちらも楓の仲間ですが、樹種としては別の物です)

このような木の模様のことを斑(ふ)とか杢(もく)と言います。
樹種によって個性はあるのですが、杢の雰囲気によって蟹杢、縮み杢、うずら杢、、笹杢、玉杢などと呼び名を変えます。

こういう、木を探す作業というのは、とっても面白いんですよね。
やめられません♪




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