投稿者「mokuzo_architect」のアーカイブ

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先週の金曜日の晩のことです。

3月末に竣工した、京都市N邸で建築主のN様が宴会の席を設けて下さり、工事関係者と林業家、それから東風スタッフでおじゃましました。

当日は、N邸の木を出して下さった静岡の林業家4名、大工の棟梁1名、左官の職長1名、東風3名のほか、N様のご友人・ご親戚の方など、総勢20名以上のみなさまが一同に会し、夜遅くまでいろんな話に花が咲きました。



3年前、N様のお宅を設計に着手した際には、設計の一番最初の段階から

「リビングでは20-30名が集まって、座卓を囲んで食事をしたりできるように」

というご要望がありました。
その実際の風景に居合わせることができて、20名ぐらいでちょうどいい空間だなぁ、と実感しました。



宴会の最中には、N様(ご主人)が工事中に撮り溜めた写真を自らプロジェクターを使って映写・解説して下さり、それを傍で見せてもらっている僕ら東風スタッフとしては、もううれしいやらこそばゆいやら、何とも初めての経験でした。

でも、N様がとても喜んで下さって、この家をとても気に入って下さっていることが痛いほどよくわかり、何よりもそれがとても嬉しかったです。



それともうひとつ。

今回は、木を出してくれた林業家である、静岡の鈴木林業のスタッフの皆さんが現場であるN様のお宅に来てくれて、自分たちが出した木でつくられた建物を観てもらうことができたことが良かったです。
(本当は、他にも木を出して下さったり製材をして下さった静岡の皆様にも来て頂きたかったのですが)

林業家は、毎日木に接しているにもかかわらず、実際に自分たちが出荷した木を使って作られた家を見たり、使って下さったお客様とも話をしたりお礼を言ってもらえたり、といった機会に立ち会えることはほとんどありません。

東風だけでなく、木の家をつくる際に一番大切な素材=木材を提供して下さっている方々なのですが、考えてみればおかしなことですね。

今後は東風でも、もっともっとこういう機会を増やしていって、林業関係者のみなさまに自負と誇りを感じて頂けるように努力したいと思っています。



そういう意味でも、家を建てる際に

「どの山から出てきた木なのか?」

ということをきちんと記録しておき、ちゃんとお互いをつないであげるというのも、僕たちの大切な仕事なんだなぁと、今さらながら再認識しました。

珍客来訪

先週末は日曜の夜まで、打合せや提出予定の設計作業などに追われまくっていてなかなか落ち着かなかったのですが、それらもなんとか夜には一段落し、月曜日はちょっとだけ一息つける状況に。

そんなこともあって、昨日の朝から瞑想を始めました。

こんなことを別にわざわざブログで公表する必要はないんですが、こうやって公言するときちんと続けざるを得なくなるので良いんですよね。

毎日続けたいので公言することにしました。



で、今は気候も良いので早朝にまず散歩に行き、帰ってきてから事務所の窓と玄関を開け放して風を入れながら瞑想を始めます。

そうやって昨日瞑想を始めたところ、びっくりするような珍客が舞い込んで来ました。



僕が瞑想して座っていると、何を思ったかすずめが玄関からパタパタ~っと入ってきて、台所の床に降り立ったのです。
一瞬、すずめと僕の目が合って、すずめもキョトンとしていましたが、

「あれ?」

と思ったのでしょうか。
僕の姿を見て慌てて飛び去っていきました(笑)。



僕は瞑想していたので、脳波や気配が通常の人間のそれとは違っていたのでしょうか?

なんだかよくわかりませんが、こんなこともあるんだなぁ・・・とビックリ。
思わぬ珍客に楽しませてもらいました。



また来ないかなぁ~と思いながら今朝も瞑想してたんですが、雑念が入ったためか、今朝は来ませんでした。

今日からまた怒涛の日々が始まります。
気合入れてがんばります。

すごい!驚きました

昨日、兵庫県明石市内に住宅を新築されるご予定のKさんご夫妻と1日中打合せをしていたのですが、打合せもほぼ終わったところでKさんが

「実は・・・」

と切り出して見せて下さったのが下の写真です。

なんと!
こちらも作っていないKさんのご自宅の骨組み模型を、ご主人自ら作られたのです。

骨組み模型-2

 

 

 

 

 

 

骨組み模型-1

 

 

 

 

 

 

いや~、驚きました。
そして恐れ入りました。

こんなことは初めてです。

図面を観て全体を想像するというのは、一般の方にとってはかなり難しいことだと思うのですが、それをやってしまうとは・・・。

しかもこの家の縮尺がすごいのですが、冒頭の写真のうちの一枚に、ミニカーが写っていますよね?

このミニカーの縮尺が1/43だったそうで、このミニカーの縮尺にあわせて、1/43で家の模型を作られたとのことです。

すごい・・・。

Kさん曰く

「色々なところで歪んだりしているので、あまり細かく見ないで下さい」

とのことでしたが、そんな細かいことよりも、これを作ってみようと思われて実際にやってしまう意気込みがすごいと思いました。

感服です。

270年生の杉

昨日は奈良県の吉野へ行ってきました。

吉野で林業家をされている福本林業/福本様にご案内をお願いして、静岡から来た4人の林業家の研修旅行に同行するためです。

吉野0603_1


 


 


 


 




上の写真は、120年生(=樹齢120年)の吉野杉の林です。

これだけ美しい林に育っているのは、何度も何度も間伐を繰り返して手入れされた結果です。

とても明るく下草も豊に茂っていて、思わず見とれてしまいました。



吉野0603_2


 


 


 


 



次に見せてもらったのは、270年生(=樹齢270年)と言われる吉野杉の林です。
この写真はその幹の太さがわかるように、という意図で撮りました。

ごらんのように人間よりもずっと太くて、根元だと直径1.5~2mほどもあります。
この林にはこんな木が山の斜面一面に生えていて、何ともすごい景色です。

写真に写っている林業家が上を見上げている姿からご想像下さい。



今から270年前というと西暦1740年ですから、徳川時代中期です。
「この木は270年前から今までずっと生きてきたんだなぁ」
と思うと、なんとも言えない気持ちになりました。

吉野にはまだこういう古い林が点在しているようですが、今までこんな林を残して下さっていること、そしてこういったものを見せてもらえることはありがたい限りです。

感謝。



「木が売れない。だから山が維持できない」
という声を全国の林業・木材関係者のみなさんから聞いています。

吉野の林業も同じで、関係者のみなさまは大変なご苦労をされているようです。

何とかその一助になればいいなぁ、と思って僕も一生懸命頑張っているわけですが、ちゃんと次の世代に引き継いでいくために、微力ではありますが更なる努力を重ねていきます。

一言の挨拶

僕は頭が煮詰まったり、精神的にしんどくなったりした時には、早朝に散歩へ出かけます。

本当は毎日散歩に出かけるべきなのですが、なかなか精神的にその余裕も無いことが多く、ここ最近は毎日は行っていません。

でも、このところいろいろとストレスが溜まったり頭の中がごちゃごちゃになったりしている影響で、昨日・今日は2日続けて早朝の散歩に行っています(苦笑)。



今朝もいろいろと頭の中の考えの整理をして、自分自身の視点を変えるために散歩に行きました。

でも、精神的に煮詰まっている時は、頭の切り替えなんてなかなかうまくはできないんですよね。




そうやって半ば悶々としながらいつものお決まりの散歩コース(近所の池の周回コース)を歩いていると、いきなり

「おはようございます!」

とすれ違ったおじさんから大きな声で挨拶をされました。
( ↑ この方、年齢的にはすっかりおじいさんでしたが、めちゃめちゃシャキシャキした人でした)



もちろん僕もすかさず
「おはようございます」
と返しましたが、そのおじさんはすれ違う全ての人に対して、同じように

「おはようございます」
「おはようございます」

と挨拶をされていました。

その姿を見て、とても気持ちが良かったです。



以前にもこのようなことはあったし、自分からおはようございます、と全ての人に言いたい気持ちは以前から持っているのですが、小心者の僕にはこのおじさんのようなことはなかなか実践できません(恥)。

でも、今日はこのおじさんの一言の挨拶にとっても救われた気がします。

僕の教科書

こと建築のことに関して言うと、僕は最近の雑誌とかは全くといっていいほど読みません。

確かに最新の雑誌を読むことで得られる情報もあると思うのですが、本質的に重要で深い事柄が書かれている雑誌というのは、今発行されている雑誌の中では皆無だと思っていますし、実際手にとって読んでみても、

「おっ、これはすごい!」

と感じた雑誌はありません。



僕が

「これは必死になって読まなくては・・・」

と思う本や雑誌というのは、なぜかほとんどが絶版になっているものばかりです。



なぜだろう・・・と考えるとなぜだか本当によくわからないのですが、とんでもなく貴重で素晴らしく深いことを書いているものはアマゾンにも売っていなくて、図書館にもなかなか置いてないという本がほとんどです。

(でも、僕の母校の関西大学図書館に行くと、欲しい本が結構見つかるので、とても重宝しています。
 で、借りてみると僕以外に誰も借りていなかったりするので、ちょっと寂しかったりもするのですが・・・)



そんな中、久しぶりに押入の奥から引っ張り出してきた雑誌がこれ(↓)です。

月刊 『木』
発刊 1965.01~1976.03
発行者 篠田銘木店


テキスト


 


 


 




この雑誌には、すごい人たちのインタビューや寄稿がたくさん掲載されています。
堀口捨己、吉田五十八、北村伝兵衛、大熊喜英、伊藤平左衛門、西岡常一、小原二郎、(すべて敬称略)などなど。



しかもこの雑誌がすごいのは、銘木屋さんが自費出版したと思われる点です。
僕は大変恵まれたことに、ある人からこの雑誌の全巻を数年前に譲り受けました。

まだ読んでいないものの方が多いのですが、この雑誌の内容はすごいです。
木造建築の専門家であれば、垂涎ものです。

(でも、一般の方にとってはちんぷんかんぷんだと思いますが。苦笑)

他にも1980年代に季刊で発行された『和風建築』(全24巻)とか、もう国会図書館に行かないと観られないんじゃないか?というような本が、実はうちの事務所にはあるんですよ。

これらの雑誌は、これから一生かけて使っていく、僕の教科書です。
こういう骨太な雑誌、もう出てこないのかなぁ・・・。



僕が雑誌を読まない理由は、昨今店頭に並ぶ雑誌の内容は、情報の劣化が早すぎるものが多いからなんです。

建築の材料や工法などは、2-3年使ってみたってその耐久性はわからないものが多いですから、新製品や新しい工法に簡単に手を出すわけには行きませんしね。

結局信頼の置ける材料・工法は昔からすでにあるものだったりするわけです。



そんな最新の雑誌を読まない弊害として、僕よりもお客さんの方が最新情報に詳しい、なんていう状況に出くわすこともたまにあります(苦笑)。

お客さんに最新情報を教わることも多いんですが、そういうときには素直に
「すみません、僕知らないんですよ」
と言って教えてもらっています。

というよりも、あまり新しい情報に振り回されたくないから雑誌を読まないようにしている、という側面もあるんですけどね。

僕が新製品に飛びついたりするようになって振り回されて、お客さんに
「これ良さそうですよ。使ってみませんか?」
なんて簡単にお薦めすると、その製品が原因になってお客さんに迷惑をかけてしまったら目も当てられませんからね。

というわけで、みなさまどうぞお手柔らかにお願いいたします。 m (_ _) m

管理建築士の法定講習を受けてきました

管理建築士講習会_1


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



昨日、一級建築士事務所の管理建築士向けの法定講習を受けてきました。

朝から晩までびっちり丸一日。
結構疲れます・・・。

建築士法では、一定の条件に該当する建築士(※)は定められた期間(3年)ごとに法定講習を受講することが、平成20年に義務づけられました。

※・・・一級建築士・二級建築士・木造建築士・構造設計一級建築士・設備設計一級建築士が該当



ほとんどの内容は、建築基準法および関連法令の再確認なのですが、実はそれ以外にも最近のエンドユーザーを対象とした統計結果なども紹介されており、なかなか興味深いデータがありましたのでご紹介します。

下の表がそのデータです。

タイトル : 建築設計者選定時の重視事項
対象   : 建設業を除く東証一部上場企業を主な不動産会社、生命保険会社、
        学校・医療・社会福祉法人
出典   : 日経アーキテクチュア 2007年4月9日号

薄いグレーは複数の設計候補者をリストアップする時点で重視する点
濃いグレーは最終的に設計者と契約する時点で重視する点です

(画像をクリックすると拡大表示できます)

管理建築士講習会_2


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 




このグラフから読み取れるのは、最終的に設計者を誰にするか?という判断を下す際に重視しているのは、まずコスト削減・管理能力であるという点。

次点がほぼ横並びで
○ 過去の実績
○ 企画・コンサルティング能力
○ 発注者の要望を受け入れる姿勢
と続いています。

上記の次に重視するものとして
● アフターサービス
● トラブルへの対応力、補償能力
● デザイン能力
を期待する声が強いようです。



今回の対象は個人ではないので、住宅設計時における統計データではありませんが、これはなかなか興味深いデータだと思います。

あなたの実感と比べてどうでしょうか?

京都の保育園改修工事 完成しました

京都保育園


 


 


 


 


 


連休明けから着工していた、京都市内の保育園さんでの改修工事がほぼ完成しました。

写真で見えている手前の部屋の床が、もともとは15cmほど高かったのですが、それを解体して隣の部屋とほぼ同じ高さになるようにするのが目的でした。

今回は杉の無垢材のフローリングを張り、床下に電気式の床暖房を設置しています。



奥に見えている部屋は、実は遊戯室の一部を建具で囲っただけの保育室です。
 
平常時は保育室として使っていますが、発表会などの保育園行事として遊戯室を使うときは建具を全て取り払ってしまえば元通り遊戯室として使えるようにしました。



この写真を撮ったのは今週火曜日の朝なのですが、もうすでに子供たちが走り回っていることでしょう。

適正価格

先日来ご相談を受けている方に、【建築家に依頼することでクライアントの方が得られるメリット】についてお話しする機会がありました。



その時に後述の資料を作成してお渡ししたのですが、

「これって他の皆さんにとっても知っておいてもらった方がいいのでは?」

と思われる内容であると感じたので、記事にまとめてみようと思います。



建築家に設計を依頼すると、設計報酬の分が高くつくので経費のムダだと考えられる方は多いでしょう。

「この人のこのデザインがどうしても欲しいから」

という理由で建築家に依頼される方もいらっしゃると思いますが、もう少し客観的に見て建築家に依頼するメリットがないと、建築家に設計だけを依頼するのに数百万円の費用は高すぎる、と僕も思います。



建築家に設計を依頼するメリットや建築家の役割については、東風のサイトにまとめてあります。

 → 建築家の役割~どうして建築家が必要なの?

詳しくは上記ページををご覧頂くとして、その中の
「同じ条件で数社の価格比較ができる」
という点について、実例をご紹介したいと思います。

まずはこちらをご覧下さい。
(別ウィンドウでPDFファイルが開きます)



上記の表は、東風で過去に設計・監理業務を請け負った物件において、実際に見積もりに参加して下さった工務店さんや建設会社さんが出して下さった見積書の価格です。

この見積をご提出いただいた際には、30~60ページに及ぶ設計図書(=図面)を各社にお渡しした上で、全ての条件(すなわち価格の根拠)を全く同じになるようにしてから見積書を提出して頂いています。

そうやって出して頂いた見積書であっても、これだけ価格に開きがあるのです。



なお、ここで誤解して頂きたくないのですが、東風では価格を少しでも安くするためにこのような相見積りを取っているわけではありません。

東風では価格だけで判断して頂かないように、各建設会社や工務店さんに対して、社風や力を入れていることも見積提出時に合わせて自由にプレゼンテーションしてもらうための時間をとっています。

そうすることで、価格を含めた会社の姿勢や個性も判断材料としてクライアントに提供しています。

2社以上から見積りが出てくると、
「この価格は他社と比べて妥当なのかどうか?」
という点もクリアになり、価格に対する納得感も増します。



そういったことは、工務店や建設会社さんに建物を依頼した際には実現することができないことです。

建築家に設計監理業務を依頼する上でのメリットの一つとして、とても大きなものだと思います。

間伐後の林

またまた更新の間が開いてしまいました・・・。
先週の金曜日(5/21)、また静岡へ行きました。

今回は乾燥中の材木の雨養生をする作業が目的だったのですが、それはあまりにも地道で写真の写り映えがしない作業なのでここでは割愛・・・。



で、その道中、2007年の秋に間伐した林に入って様子を見てきました。


明るい森


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 



上の写真は、2007年の11月に間伐した、約90年生の杉・桧混合林の現在の様子です。

間伐を開始した時の記事(2007.11.06)
間伐が完了したときの記事(2007.11.10)

間伐する前は林道もなくて、下草も今ほどたくさん生えていなかったのですが、間伐したことで林が明るくなり、下草も充分育つような環境に変わってきました。

撮影した当日の天気がとても良かったせいもありますが、人工林とは言え、明るく緑豊かな美しい林に変わってきました。


№24 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


上の写真は、2007年に伐採した、この林の中で一番大きかった木の切り株です。

この年の24番目に伐採したことから、24番という番号がついていますが、根元の直径は70cmほどもあり、節のほとんど無い素直な木だったので、今春竣工した京都市N邸の板材として、様々なところ(※)に使われています。
(※・・・玄関式台、下足箱天板、ダイニングカウンター、リビングボードなどなど)

この木を製材したときの様子(2008.08)はブログでもご紹介しましたが、伐採の時にクライアントのN様も立ち会って下さった、とても思い出深い木です。

「もう根は朽ちて見る影も無いかな」

と今回現場へ行くまでは思っていたのですが、実際に行って見るとまだまだしっかりと残っていて、ちょっと嬉しく感じました。


 あなたはどちらが好きですか?
 30年後に「そろそろ建て替えようか・・・」と言われる家と
 「200年前のおじいちゃんが建てたの」と2210年に言ってもらえる家