投稿者「mokuzo」のアーカイブ

増床工事竣工しました/高台にある吹抜けの家・神戸市S様邸

夏休み真っ最中の8月上旬に着工した、神戸市のS様邸2階吹抜けの半分に床を架ける&階段設置工事が9月下旬に無事竣工しました。

10月初旬には引渡しも完了し、3人のお子様たちの念願の(?)子供部屋として使われています。

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上の写真に写っているのは子供部屋4.5帖×3室=13.5帖が直列に配置されている空間。
今はワンルーム状態ですが、間仕切の役目をする組み立て式の家具(棚)を配置されれば3室に分かれます。

どの部屋を誰が使うのかは、2男1女で繰り広げられる熾烈なジャンケン争いの結果で決まると仰ったのはお父様(笑)。
いつも楽しげなS様ご家族です。

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2008年の新築工事の際から、

「長男が中学校に入学する2013年に子供室を増床する」
という計画で予定通りつくられた今回の工事は、ご夫婦のお考えに沿って夏休み期間中に行われたことで、子共たちの脳裏にしっかりした思い出として刻み込まれた様子です。

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吉野のストックヤードでこれから1年天然乾燥させます

先週末から昨日にかけて、数回奈良県吉野へ行ってきました。

伐採・製材した木材を乾かしておくストックヤードに、木材を搬入するためです。
台風の影響で雨が続き、なかなか予定も立てられなかったのですが、運送屋さんや大工さんの想定外のスケジュールに助けられて(苦笑)、昨日ようやく搬入した材料に屋根がかかりました。

 

yoshinostockyard

 

まだとりあえず一旦搬入が終わっただけの状態ですが、これから部材の仕分けをしたり割れ止めを塗ったりする作業が残っています。
焦らずボチボチ進めていく予定です。

 

これらの材料のうちの構造材(柱・梁)はこれから来年の夏まではここに置いたままでゆっくり乾燥させます。

この秋~来年にかけて着工する予定の物件がいくつかあるのですが、それらは昨年から乾燥させている木材がほぼ同じ量の木材を兵庫県三田市内に寝かせてあるので、そちらから使います。

まだ製材してからそんなに間がないので、近寄ると杉の香りがプンプンしています。

 

木造建築東風の木材への取組や考え方については
以下のページで詳しく紹介しています
→ http://www.mokuzo-architect.jp/timber.html
木造建築東風のホームページはこちら(↓)
新築・伝統構法のサイト
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高台の家・神戸市S様邸―2階床がだいぶ張れました

2階に子供室3部屋を増床中の神戸市S様邸。
8/24(土)に現場監督さん・大工さんとの打ち合わせを兼ねて、現場の様子を観に行ってきました。

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↑ 竣工時はこんな感じだったのが、現在は同じ場所から見ると・・・

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↑ こんな感じになっています。

2階に上るとこんな感じ ↓

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もともと吹抜けだった部分に架けた床が9割方張り上がり、だいぶ生活空間っぽい感じになってきました。

工事は予定よりも工程がずれ込みぎみで、建築主のS様ご家族にはご迷惑をおかけして申訳ない限りなのですが、仕事は丁寧にしてくださっています。

 

このお宅の概要は以下のページでご紹介しています。
→ 高台にある大きな吹抜けの家/兵庫県神戸市

 

 

 

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窓を開けたままエアコンをかけた方が涼しくなるケース!?

ウソのような、ホントの話です。
東風で設計した京都の伝統構法住宅のお客様から伺いました。

と言っても、全ての住宅でそうなるわけではありません。
吹抜けがある住宅に限った話です。

 

夏になると、太陽は頭上高くまで昇りますよね?
そのため、夏季においてもっとも熱くなるのは、何と言っても屋根面です。
もちろん、現在の新築住宅には屋根面にかならず断熱材を充填するのですが、それでもやはり熱を完全に遮断できるわけではありません。
じわじわ、ジワジワと熱が室内に伝わってきます。
ですから夏になると、

「1階よりも2階の方が暑い!」

ということになるわけですね。

ここまではみなさまよくお分かりでしょう。
で、問題はここからです。

 

通常、クーラーをかけて冷房する時は窓を閉め切ります。

窓を閉め切ってクーラーをかけている時の室内の状態は、

「屋根面を貫入して室内に届く熱を
少しずつ室内に溜め込みながら、それを上回る
冷気をクーラーで作って冷やしている状態」

です。

ここで、吹抜けのある住宅の場合に限り、2階の窓を開けたままエアコンをかけてみた状態を想定してみます。
2階の窓を開けながらクーラーをかけている場合は

「屋根面を貫通して室内に届く熱を
溜め込まないように2階で外へ逃がしながら、
冷気をクーラーで作って冷やしている状態」

です。

 

考えてみれば、後者の方が涼しくなるのは当たり前ですね。

これを図解してみたイラストを東風のスタッフ・Uさんが描いてくれましたので添付しておきます。
ぜひ画像を拡大してご覧下さい。

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杉の木目、雨に濡れた時の美しい表情

7月下旬に奈良県で杉の原木の製材を行った際のことですが、30分ほどにわか雨が降って、屋外に積んでいた杉が濡れました。

一般の方にとっては意外に感じるかもしれませんが、無垢の杉は濡らしてもまたきちんと乾けば全く問題ありません。

むしろ、原木から製材した直後(2-3ヶ月間)はわざわざ雨ざらしにして、表面に出てくる渋(タンニン)を洗い流すくらいです。

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この木は北西向きの斜面で育った、およそ100年生の杉ですが、目が細かく詰んでいた(=年輪同士の間隔が狭く、近接していた)こともあり、端正な木目で、雨に濡れた時の表情はとてもきれいでした。
木は濡れると木目がよりはっきり見えるようになります。

これらの木はこれから1年以上かけてゆっくり乾かしてから使うことになりますが、どんな現場へ嫁入りすることになるか楽しみです。

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→ http://www.mokuzo-architect.jp/timber.html

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神戸市S様邸増床工事 中間検査に合格しました

神戸市内で2008年に竣工したS様邸。
お子様達の成長に伴い、個室が必要になってきたため、竣工当初より計画に組み込まれていた、大きな吹抜けへの増床工事が始まっています。

下の画像は竣工当時のものですが、体育館のような大きな吹抜け空間の半分に、梁を何本か新設し、フローリングを張っていく工事です。

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(※画像をクリックすると、見やすくなります)

 

昨日は指定検査機関の中間検査を受けました。
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↑ 太い梁は竣工当時からあったもの。
それに架けてある細めの梁を今回新設しました。

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今週から大工さんが張っていく予定の、杉のフローリング。
国産の無垢材で厚みは35mm。
奈良県吉野産の杉で、人工乾燥がかけられた木材です。
フローリングだけは、いつも人工乾燥材を使っています。

「子供たちの通学期間に工事をするとやはり落ち着かないので、夏休みの間に工事をしたい」

というS様ご夫妻のお考えもあって、今月中には増床工事が完成する予定です。
また進捗状況をご報告しますので、どうぞお楽しみに。

 

 

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2013の杉 製材が始まりました/天然乾燥・葉枯らし材でつくる伝統構法の家

7/23(火)に奈良県桜井市で今年の杉の製材を行いました。
和歌山県田辺市の山中で伐採して頂いた、西北斜面に生えていた杉です。

樹齢は約100年のものですが、あまり大きな木は頼んでいないので、どれも小ぶりな木ですが、林業家の福本様が選りに選ってくれた逸材ばかりで、節はありますが目の詰み具合や通直性も素晴らしく、いい木ばかりでした。

この日は朝から1日かけて約30本の原木を製材して頂きました。
全て挽き終えるまでには、あと4-5日かかる見込みです。

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↑ 製材する前の原木たち。長さは4m。

今回は荒皮を先にむいておいてから製材します。
木口に書いてある番号は、木材1本ずつに打つ通し番号です。
製材時に、木目、色、節の多寡と大きさなどを記録しておいて管理データとして残しておくための番号です。

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↑ 年輪が非情によく詰んでいます。
芯の偏りもほぼなくて、とってもいい木です。
(ほとんどすべてこんな木を揃えて下さいました)

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↑ 市場で買うのではなく、山で買うと林業家が気を利かせて少し長めに玉切りしてくれます。
発注は4mでお願いしていても、だいたい20cmくらい長くしてくれるのはとてもありがたい限り。
人差し指で抑えているところが、端から測った木材の長さ4mの位置ですが、実際の材料は4230mmあります。

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↑ 今回製材をお願いしたのは、奈良県桜井市の森口製材所さんです。
50代前半の社長さんですが、とっても丁寧に挽いて下さってありがたいです。

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↑ すこし太目の木からはこんな素晴らしい梁がとれます。
末口φ320mmくらいなので、決して大きな丸太ではないのですが、どれもとっても素直な木ばかりでした。

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↑ この木は長さ4m、巾135mm、背305mmに挽きました。
これから1年以上天然乾燥させます。

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↑ 色合いはちょっと違いますが、木目だけなら吉野材と言っても通りそうです。

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↑ この日は梁・桁材、長さ4mのものばかりを固めて挽きました

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↑ 原木から梁・桁を採る際に出てくる切り落とし材。
これは鴨居や方立てなど、化粧の枠材として使います。
厚みは35mmと45mmの2種類で挽いてもらいました。

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梁・桁の厚み調整のために出てくる、15mmの切り落とし材は野地板として使います。
節の少ないものは化粧野地板や腰板用に、節の多いものは下地用にと分けて使います。

東風ではこうやって木材を作っています。
まず信頼できる林業家に直接依頼して、伐採・葉枯らしさせた旬伐りの原木を調達。

次に製材所で一本ずつ木を観ながら製材し、そこから1年以上かけてゆっくり天然乾燥させる。
(今、自社ストックしている材で一番長く寝ているものは、伐採後7年経っています)

木造建築 東風(こち)の伝統構法石場建ての家づくりサイトはこちら
→ http://www.mokuzo-architect.jp/

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竣工して3年。伝統構法・石場立ての家@京都市

昨日(2013.02.19)は、外構工事のご相談で、京都市N様のお宅に寄せていただきました。
2010年竣工の伝統構法・石場立ての家です。

こちらのお宅は、東風にとって、この上なく大切で思い入れの強い家ですが、
行く度に素敵に住んでいらっしゃるご様子に感心します。

最近飼い始めた犬のなじゅちゃん(メス)が、薪ストーブの前でまったりしてました(笑)。

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薪ストーブの目の前が、彼女の定位置なんだそうです。

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 ↑ 「ん? な~にぃ~?」

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 ↑ 竣工した時に撮った写真は調度品が入っていなかったので少し味気ないものでしたが、

やはり生活が始まると空間に断然潤いが出てきます。

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 ↑ 左脇に写っているのは、ご主人の趣味であるLPレコードの棚。

ご主人はオーディオや音楽が大好きで、ダイニングカウンターの下にも
びっしりCDが並べられていますが、使われているアンプは何と真空管です。

 

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 ↑ 昨日は定期点検をする目的もあって、2階へもおじゃましました。

上の写真は、たくさん入り節がある北山杉磨き小丸太でつくった階段手摺。

竣工当初に小さな割れが何箇所か入ってしまったので、割れがどんどん
大きくなっていかないように・・・と心配していたのですが、もう大丈夫なようです。

 

住み始められてから数年経った家へお邪魔して、お客様の楽しそうな表情や
暮らしぶりを拝見させて頂くのは、建築家にとって、とてもうれしい瞬間です。

作り手としては、「いい建物ができたなぁ~」と感じる竣工時も、もちろん魅力的
なのですが、やはり建物はお客様のために作っているわけですから、それを
喜んで・気に入って使ってくださっている様子は、何物にも代え難い喜びです。

このお宅の家づくりの全容は木造建築 東風(こち)の以下のページでご覧になって頂けます
→ http://www.mokuzo-architect.jp/works_kyoto1.html

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通し柱効果とは?京都大学での振動実験(2011.08.08)を見学

昨日(2011/8/8)、京都大学で行われた振動実験に行ってきました。

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上のような2階建ての木造フレームを大きな振動台に載せ、実際にフレーム全体を地震波で揺らし、その挙動(傾きや破損状況など)を観察するという実験が行われました。

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普段、木造建築を手がけている全国各地の設計士や工務店さんが見学のために集まっており、みなさんの関心の高さも伺えました。

昨日の実験の目的は

「通し柱の太い/細いによって、地震時の建物の挙動にどのくらい変化が見られるのか」

という、【通し柱効果】を確かめることです。

現在、もっとも一般的な木構造として使われている在来工法の場合は、どちらかと言うとこの通し柱効果は少ないと思います。

しかし、昔からの伝統的な古民家などで用いられている伝統構法の場合は、この通し柱効果がかなり効いていることが昨日の実験でよくわかりました。

昨日の実験を詳しく解説すると、とても難しい話になってしまうのでここでは割愛しますが、イメージとして理解して頂くために図を描いてみました。
もしよろしければご覧になってみてください。

通し柱効果とは?

→ tooshibashirakouka0808

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伝統的な木造建築物における床構面の変形実験

2011/8/2(火)に大阪大学で【伝統工法 床構面の面内せん断試験】が行われ、見学に行ってきました。

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上の写真は試験中の状態で、四角いフレームの上から厚み約3cmの杉板を釘で打ちつけたものをタテに起こし、横から力を加えて変形させたものです。

緑色の点線と黄色の矢印は僕が書き加えた線です。
杉板を張ったフレーム(緑点線枠内)が頭頂部で黄色→方向に引っ張られているため、平行四辺形に変形しています。

 

杉板は2階床板として床梁に直接とめられているものを想定して作られています。

この実験では、建物の床の部分が水平地震力を受けた時に、
【どのくらいの力で-どのくらい変形するのか】
という変形度合いと力の関係を調べることが目的です。

床を調べる実験なのに、試験体が垂直に起きているから、ちょっとピンと来ないですね。

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フレーム変形後の杉板端部の拡大写真です。
各杉板は長さ90mmの鉄釘で打ち付けられています。
水平方向に加力されているので、フレーム全体が平行四辺形のように変形し、杉板が1枚ずつずれている様子がわかります。

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変形後に板を横からみたところです。
所々、釘の頭が抜けてきて浮いています。

 

これは3ヵ年計画で進められている、「伝統的工法を用いた木造建築物の設計法確立」のために、木造軸組みの物理的データを集める目的の一環で行われた実験です。

実際にこういう実験を見ると、いろんなことが判ったり、感じられたりして、とても興味深いです

8/8には京都大学でまた別の実験が行われることになっており、それも見学してきます。
次は通し柱の効果を調べる変形実験です。

 

 

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