2025年1月から、御所市内にある古民家で再生工事をやらせて頂いております。
現在は既存和室の床組み(ゆかぐみ)作業を進めているところ。
すでに柱のジャッキアップや根継ぎなどは終えていて、今日は床板を張りかけているところでした。
これから、解体時に一旦取り外した敷居を再び復旧するための準備を大工さんが進めているところだったので、なかなか一般の方は見ることの少ない機会だろうなと思って写真を撮ってきました。
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上の写真の両端に黒い柱が建っているのがわかりますか?
水色の丸と黄色の丸のところが柱の根本です。
この2本の柱の間に、これから古い敷居を入れ直そうとしているところです。
敷居と柱の接続部分を仕口(しくち)というのですが、柱と敷居の仕口でよく見るのが、今回ご紹介するやり方です。
片側は【横ほぞ】という仕口。
そして反対側は【待ちほぞ】という仕口。
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ちょっとわかりにくいかもしれないのですが、水色の丸のところには、柱に横長長方形のような形で穴が掘られています。
これが【横ほぞ】のメス側仕口です。
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上の写真は敷居の端部につくられた【横ほぞ】のオス側の仕口。
このオスとメスがかみ合わさって仕口となります。
次に反対側の仕口を見てみましょう。↓
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これが先ほどとは反対側に建っている柱の根本。
先ほどの【横ほぞ】の穴は水平方向に長方形の穴が掘られていましたが、こちらは形が違っていて、垂直方向に2本細い溝が切られています。
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上記の柱に組み合わせる敷居の端部がこれになります。
黄色〇印のところにはヤトイほぞという、薄い木の板を柱側に差し込んでおき、この敷居を上から回転させながら落とし込んでいきます。
ちょっとわかりにくいな・・・と思ったので、簡単なスケッチを描きました。
まず1枚目が水色丸印で囲まれていた【横ほぞ】部分のスケッチ
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そして2枚目が、黄色〇印で囲まれていた【待ちほぞ】部分のスケッチ
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このように敷居の両端分でそれぞれ違う形の仕口をつくっておくことで、一旦設置すれば水平・垂直方向にもズレたりしない状態に設置できるようになるわけです。
しかし釘などは使っていないので、修理の際などには傷つけることなく敷居を取外すことができ、また再度設置することができます。
現代の新築の時は、ビスやボルトを使ったりすることも多いので、これと同じ仕口を用いることは少ないと思うのですが、古民家の再生の時にはよく目にするやり方です。
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